2025年11月24日
マクニカ(神奈川県横浜市)は11月19日、タイで、ペロブスカイト太陽電池(PSC)の亜熱帯環境下における世界初の実証事業を開始したと発表した。高温・高湿、大気汚染(PM2.5)など厳しい亜熱帯環境下において、PSCがどの程度性能を維持できるか、耐久性と発電性能を検証する。実証は、タイの再エネ企業SENA Green Energy Company Limitedと共同で行う。
なお、同事業は、環境省の「二国間クレジット制度(JCM)資金支援事業」に採択されており、同制度を活用し、日本からタイへの優れた脱炭素技術の普及を目指す。
PSCは、「軽い・薄い・曲がる」といった特性を活かし、これまで太陽光パネルの設置が難しかった建物の壁面などへの設置を可能にする。その一方で、熱や湿気、紫外線などの影響を受けやすく、亜熱帯環境下での性能検証が求められていた。今回の実証が行われるタイはこれまでPSCの導入実績がなく、また現地の電気規格に適合するシステムがないことも検討事項であった。
そこで、同社は今回、高温・湿潤な環境下でのPSC適合性を検証する。さらに、現地における運用からメンテナンスまでの一貫した実施体制を確立し、継続的なCO2排出削減に寄与することを実証することで、タイをはじめとする東南アジアでのPSC普及促進を目指す。
取り組みは、2024年度からすでに始まっており、現地での電気規格調査や現地規格に適合するシステムの構築および稼働検証が完了。SENA社保有の住宅屋上にPSCを8枚設置し、初期的な評価も実施済みである。
2025年度は、本格的な実証と運用体制の確立を進める。今後は、屋根だけでなく、住宅の壁を含め全方位にPSC約60枚を設置し、亜熱帯仕様(高温多湿かつ多量な紫外線)および大気汚染(PM2.5)された環境での耐久性と発電性能を検証。またPSCをIoT機器と接続し、出力をモニタリングすることで、メンテナンス体制の確立も実証する。
実証において、マクニカは、実証向けPSCの開発・提供や実証環境のシステム構築・技術的指導、性能モニタリング・データ収集・解析を行う。SENA社は、タイ王国内のPSC実証環境の提供とともに、実証環境での設置工事。性能モニタリングを担当する。
実証期間は、2025年10月中旬から2026年2月中旬まで。
同実証は、環境省の2024年度「二国間クレジット制度資金支援事業のうち水素等新技術導入事業」に採択されたことを受け実施するもの。期間は2024年度からの3年間。実施に向けては、PSCの発明者である桐蔭横浜大学の宮坂 力特任教授の指導の下、マクニカは代表事業者として、共同実施者であるSENA社と2社で推進している。
マクニカホールディングス 執行役員兼マクニカ イノベーション戦略事業本部 本部長の佐藤 篤志氏は、「今回の実証事業はその目標に向けた記念すべき第一歩であり、今後はペロブスカイト太陽電池を用いた自家発電・自家消費を広く普及させていきたい」と述べた。
記事内容へ
2025年11月23日
PXP(神奈川県相模原市)は11月17日、同社のペロブスカイトCIS軽量タンデム太陽電池モジュールの開発が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の2025年度事業に採択されたと発表した。同事業を通じて、同太陽電池の変換効率・耐久性向上と、大面積モジュール化に取り組む。
同社は今回、NEDO事業のうち「太陽光発電導入拡大等技術開発事業」に係る枠組みに応募し、次世代型太陽電池技術開発テーマの一事業として採択された。
同社のペロブスカイトCIS軽量タンデム太陽電池は、ペロブスカイトとカルコパイライト(CIS)の2種類の太陽電池を重ねた「曲がる太陽電池」。超軽量かつ高い変換効率が期待できる。先行して実用化が進んでいるペロブスカイトSiタンデム太陽電池と比べても吸収波長の制御が可能で、理論変換効率が高いという特性がある。
重さは、セルが1m2当たり0.2kg、モジュールが1m2当たり0.7kgと超軽量。厚さに関しても0.7mmと薄く、フレキシブルで割れないことから、多用途への展開も見込まれる。
これらの特長を活かし、同事業では、変換効率・耐久性向上や大面積モジュール化を進め、早期の実用化を図る。具体的には産業屋根・営農、移動体、道路・通信インフラ市場をターゲットに新領域拡大を目指すとしている。
気候変動対策への世界的な関心が高まる中、日本においては、エネルギー基本計画に示される再エネの主力電源化に向け、導入加速が急務となっている。一方で、日本の太陽光設備はすでに世界一過密な状況にあり、従来型の太陽光パネルを設置するための適地は限られる。
NEDOの「太陽光発電導入拡大等技術開発事業」は、太陽光発電の導入拡大時の適地制約・期待されるニーズの多様化といった課題解決にあたり、太陽光発電システムが従来設置されてこなかった新市場への最大限の導入拡大に貢献するための取り組みである。
PXPは今後も、国産の「曲がる太陽電池」の可能性を追求しながら、これまで太陽電池の取り付けられなかった新領域への展開を加速させ、日本が目指す2050年カーボンニュートラル実現に貢献していく。
記事内容へ