2025年5月22日
三浦工業(東京都港区)は5月15日、愛媛県、四国電力(香川県高松市)、愛媛大学と取り組んでいる「水素サプライチェーンモデル構築プロジェクト」の一環として、愛媛県松山市の北条工場内に水素燃料ボイラーを設置し、運用を開始したと発表した。四国電力が製造した水素を活用し実証運転を行う。
水素燃料ボイラー(AN-250)は、北条工場内の食堂棟横に設置された。運用方法としては、四国電力が松山太陽光発電所で発電された電力を利用し、水を電気分解することでグリーン水素を製造。圧縮した水素を水素カードル(300Nm3)に充填する。
生成した水素は、ボイラーの燃料に用いて、発生した蒸気を既存のガス焚きボイラーの蒸気配管に接続し、食堂での調理や給湯、食器洗浄などの熱源として利用する。従来のガス焚きボイラーと併用することで、CO2排出量削減につながるとしている。
三浦工業は2023年3月、愛媛県および四国電力と、四国初の「水素サプライチェーンモデル構築プロジェクト事業」事業実施に向けた連携協定を締結した。同事業は愛媛県内での水素関連産業の発掘・育成、水素エネルギーの使途拡大・エネルギー転換促進を目的としている。2024年度には、電熱併給型e-Fuel製造技術の開発に取り組む愛媛大学が加わった。3月には、松山太陽光発電所の構内に、グリーン水素製造実証システムが竣工した。同システムは1日当たり30Nm3の水素生産が可能で、今後は愛媛県内の工場を中心に供給し、水素サプライチェーン構築を目指すという。
三浦工業は2月、キリンビール(東京都中野区)などと、ビール製造工程にグリーン水素由来蒸気を活用する実証事業を開始すると明かした。2026年6月には実証事業を始め、グリーン水素へのエネルギー転換におけるGHG排出量削減効果や技術的な課題を検証するとしている。
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2025年5月21日
三菱重工業(東京都千代田区)は5月14日、関西電力(大阪府大阪市)の姫路第2発電所(兵庫県姫路市)に新設したCO2回収パイロットプラントが本格稼働開始したと発表した。
アミンなどの溶剤を用いて化学的にCO2を吸収液に吸収・分離する「液体アミン型CO2分離・回収システム」のパイロットプラントで、発電所のガスタービンからの排ガスを用いてCO2を回収する技術の研究開発を行う。回収能力は1日約5t 。
三菱重工業は、1990年から関西電力と共同でCO2回収技術の研究開発に取り組んでいる。このプラントでは、三菱重工業が実施する実証試験に対して、関西電力は助言と試験設備の運転に必要となるエネルギーなどの供給を行う。
三菱重工業は、次世代に向けた革新的なCO2回収技術の実証を通じて、CCUS(CO2回収・有効利用・貯留)事業の競争力強化につなげていく。また、環境規制対策といった温室効果ガス排出削減にとどまらない多様な顧客ニーズに、より高度に対応していく。
さらに三菱重工業は、2022年に米国エクソンモービル(ExxonMobil)と提携しており、エクソンモービルと共同開発中の次世代CO2回収技術を、このパイロットプラントで実証し、環境負荷低減とコスト削減に向けた研究開発を加速させる。さらに、三菱重工のデジタルイノベーションブランドである「ΣSynX(シグマシンクス) Supervision」の遠隔監視システムを実装する。
両社は、1991年から南港発電所(大阪府大阪市)内に液体アミン型CO2分離・回収システムのパイロットスケール試験設備(2t-CO2/日 規模)を設置し、排ガス中のCO2を効率的に分離・回収するアミン吸収液やCO2回収プロセスを共同開発してきた。
また、両社は2024年1月、近年火力発電設備の主流になっている、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル発電方式に適応したCO2回収プロセスや、さらに高性能なCO2吸収液の開発を目指して、パイロットスケール試験設備(5t-CO2/日 規模)の設置することで合意、建設を進めてきた。
両社が共同開発したアミン吸収液の「KS-1TM」と、それを改良した「KS-21TM」は一般的なアミン吸収液と比べ、CO2の分離に必要なエネルギー消費量を大幅に抑えることができる。2025年5月現在、これらの技術を用いたプラントを18基納入しており、発電所や化学プラントなど、多種多様な分野で活用されている。

三菱重工グループは、2040年のカーボンニュートラル達成を宣言し、エネルギー需要側・供給側双方の脱炭素化に向け戦略的に取り組んでいる。このうちエネルギー供給側の脱炭素戦略である「エナジートランジション」における柱の一つとして、多種多様なCO2排出源と貯留・利活用をつなげるCCUSバリューチェーンの構築を掲げている。
独自のCO2回収技術を活用したCCUS事業を強力に推進するとともに、ソリューションプロバイダーとして温室効果ガス排出削減に地球規模で貢献し、環境保護に寄与するソリューションの開発をさらに進めていく考えだ。
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