2026年2月4日
東京都は1月30日、2026年度の予算案を発表した。一般会計の総額は前年度比5.4%(4950億円)増の9兆6530億円となり、5年連続で過去最大を更新した。
重点的な取り組みの1つである持続可能な環境先進都市実現に向けては、環境配慮型データセンター(DC)整備促進事業費96億円など699億円を計上。成長産業支援では、AI活用として242件の関連事業が盛り込まれた。
2026年度予算は、「『20250東京戦略』の迅速かつ確実な実行に向け、大都市東京の強みを遺憾なく発揮し、明るい未来を実現する予算」と位置付け、スピード感のある実施を基本に編成された。
一般歳出は、成長の原動力となる「人」の力を最大限に高める施策や国際競争力の強化、都民の命と暮らしを守るレジリエントな都市づくりの強化などにより、前年度比5.4%(3701億円)増となる7兆2678億円となった。
「持続可能な環境先進都市・東京」の実現に向けた取り組みでは、脱炭素化の実現とエネルギーの安定確保との両立を一層加速させるとともに、リチウムイオン電池による火災事故対策やサーキュラーエコノミーなども迅速かつ的確に進めていく。
主な取り組みと予算は次の通り。
・家庭のゼロエミッション行動推進事業(162億円)
・業務用ZEV大規模一括導入促進事業(18億円)
・廃棄物処理施設に対するLiB火災緊急対策事業(13億円)
・環境に配慮したデータセンター整備促進事業(96億円)
・中央防波堤埋立地におけるグリーン水素の製造・利活用事業(11億円)
・水道料金に係る基本料金無償臨時特別措置(399億円)
小池 百合子知事は同日の定例会見で、2028年度から稼働を目指す江東区内の「中央防波堤埋立地におけるグリーン水素の製造・利活用事業」について触れ、新施設の敷地内に設置する太陽光電力のみで大規模なグリーン水素の製造を行う「国内初の製造施設を整備する」と、今後のプランを示した。
都は、多様化・複雑化する都民ニーズや人口減少などに伴う労働力不足などの課題への対応として、「東京都AI戦略」に基づき、都民サービスや職員の内部業務において、積極的にAIを活用している。2026年度予算においても、行政サービスや業務効率性のさらなる向上を目的に、AI関連事業を計242件・389億円を計上した。
2026年度の主なAI関連事業
・コンテナターミナル所要時間の予測(インフラ・まちづくり)
・先端技術などを活用した地下街浸水対策に関する調査(インフラ・まちづくり)
・AIを活用した氾濫危険情報発表の支援(インフラ・まちづくり)
・AIを活用した人材バンクシステムの構築(子供・教育)
・ミドル層の負担軽減のための介護情報ポータル構築事業(福祉・医療)
・AIを活用した混雑など未然防止事業(産業・雇用)
・屠畜用機械AI監視システムの構築(産業・雇用)
・生活安全相談に関する「相談業務支援システム(仮)」の構築(安全・安心)
・AI技術を活用した 番通報優先受付(安全・安心)
・情報公開審査会事務等支援(その他)
このほか、共通基盤として、職員向けAI人材育成事業や庁内向けAIワンストップ相談窓口の本格稼働、「Microsoft Copilot」のライセンス導入などを進めるとしている。
【参考】
記事内容へ
2026年2月3日
出光興産(東京都千代田区)は1月29日、全固体リチウムイオン二次電池(全固体電池)の材料となる固体電解質を製造する大型パイロット装置の建設を開始した。同装置で製造した固体電解質は、トヨタ自動車(愛知県豊田市)が開発するEV向け全固体電池で使用される。
出光興産とトヨタ自動車は2023年10月に、 全固体電池の量産化に向けた協業を開始 。固体電解質の量産技術開発や生産性向上、サプライチェーン構築に両社で取り組んでいる。
2027〜2028年に全固体電池を搭載したEVの市場投入を目指しており、今後は小型実証設備から大型パイロット装置へと段階的に製造装置をスケールアップし、その先の事業化につなげる計画だ。
現在稼働中の小型実証設備2基では、トヨタ向けの固体電解質および異なる種類の固体電解質の開発が行われているが、今回事業化に向けた次のステップとして、大型パイロット装置が建設されることとなった。
生産能力は、年間数百tとなる見込みで、世界でもトップクラスの生産規模となるという。装置は、出光興産「千葉事業所(千葉県市原市)」敷地内に置かれ、2027年中に完成す予定。同装置の建設工事は千代田化工建設(神奈川県横浜市)が手がける。
今回の固体電解質の量産化に向けた技術開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/次世代蓄電池・次世代モーターの開発」に採択され、補助を受けながら計画を進めている。2025年2月に公表した固体電解質の重要な中間原料である、硫化リチウムの大型製造装置の建設についても、2027年6月の完工に向け順調に進捗しているという。
全固体電池は、従来の液系電池と比較し、電解質が固体であるため、温度変化に強く、発火リスクが低いというメリットがある。また、固体電解質でイオンがより速く動けるため、全固体電池を搭載したEVには急速充電時のさらなる時間短縮や、出力を向上できるポテンシャルが見込まれる。さらに、高電圧・高温に強いため、エネルギー密度の向上や長寿命化が期待される。
こうした中、自動車・電池・金属分野のメーカーは全固体電池の実用化に向けた研究・開発に注力。日産自動車(神奈川県横浜市)は、2028年度までに全固体電池を搭載したEVの市場投入を目指して、全固体電池の研究開発を進め、2024年4月には、全固体電池のパイロット生産ラインを初公開した。
このほか、三菱マテリアル(東京都千代田区)は2023年12月、車載用全固体電池の材料のひとつである「硫化物系固体電解質」の量産において、製造に関する新たな取り組みを開始。三井金属鉱業(東京都品川区)は2024年9月に、全固体電池向け硫化物系固体電解質「A-SOLiD」の初期量産工場を新設すると明かした。稼働開始は2027年の予定。
なお経産省は、「蓄電池に係る供給確保計画」の一環として、蓄電池の開発や生産、関連素材、製造装置に関する設備投資など企業の取り組みを支援しており、トヨタ自動車のEVなどに搭載する次世代角形電池や全固体電池の開発・生産計画が認定されている。
記事内容へ