2025年9月18日
日鉄エンジニアリング(東京都品川区)は9月11日、石油資源開発(JAPEX/同・千代田区)、エンバイオC・ウェスト合同会社(同)、からくさホテルズ関西(大阪府大阪市)と共同で、物流施設屋上で発電した再エネをオフサイトPPAで活用するスキームを構築し、運用を開始したと発表した。この取り組みは、需要特性の異なる複数の需要家に電力を供給する点に特徴がある。
運用スキームとしては、まずエンバイオC・ウェストGKが、物流施設「ロジスクエア京田辺A」に設置・所有する出力1875kWの太陽光発電設備にて、再エネ電力を創出する。特定卸供給事業者であるJAPEXが、発電した電力を調達し、小売電気事業者である日鉄エンジニアリングが、からくさホテルズ関西などの複数の需要家に託送供給を行う。
初年度の年間発電量は約3471MWhの見込みで、CO2排出量は年間1468t削減できるという。
供給先に電力需要の特性が異なる施設を組み合わせることで、再エネ由来余剰電力の低減につながり、効率的な再エネ活用が実現できると、日鉄エンジニアリングらは同スキームのメリットを説明している。
日鉄エンジニアリングは、これまで20年以上にわたり、地産地消電力による地域循環共生圏の構築やPPAによる再エネ電源導入促進、発電・蓄電設備などの調整力の需給調整市場への活用を含めた電力ソリューションを提供している。
近年は、オンサイトPPAの新たな活用法として「発電余剰電力融通型」に着目し、導入を進めている。2024年には、YKK AP(東京都千代田区)向けに、埼玉県美里町の「YKK AP埼玉工場」新建屋で発電した再エネ電力を、埼玉県内の別の2拠点に託送する取り組みを開始した。この取り組みにより、初年度は年間約117万kWhを発電、CO2排出量削減効果は年間512tとなる見込みだ。
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2025年9月17日
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は9月10日、グリーンイノベーション(GI)基金事業「次世代型太陽電池の開発」プロジェクトの追加公募を行い、リコー(東京都大田区)、エネコートテクノロジーズ(京都府久御山町)、パナソニック ホールディングス(大阪府門真市)による実証事業を採択したと発表した。このうちリコーは、インクジェット印刷ペロブスカイト太陽電池生産に関する実証を行う。
リコーは、複合機開発で培った有機感光体技術やインクジェットヘッド技術などの技術を複合的にかけ合わせることで、ペロブスカイト太陽電池の高変換効率化・高耐久化に加え、高生産性や低コスト化を目指している。
インクジェット印刷は、高精度パターニングにより任意の場所に全機能層を積層できる。意匠性の付与やサイズのカスタマイズが自在であり、太陽電池のさらなる普及拡大を後押しすると、同社は説明する。
今回の実証では、大和ハウス工業(大阪府大阪市)、NTTアノードエナジー(東京都港区)とコンソーシアムを組織し、インクジェット印刷ペロブスカイト太陽電池の生産技術とともに、施工設計技術・電装設計技術の開発を手がける。太陽電池・施工・電装の一連の技術をワンストップで行うことで、早期の社会実装につなげる狙いがある。
期間は2029年度までの5年間の予定で、2030年度に年間製造能力300MW以上、発電コスト14円/kWh達成を目指す。
エネコートテクノロジーズは、同事業において、生産方式として創業来初めてとなる「ロールt ロール工法」を導入し、同社の強みであるフィルム型によるペロブスカイト太陽電池市場の形成を進める。また、同事業の採択を機会に、屋外定置を目的としたペロブスカイト太陽電池事業に本格参入するとしている。
事業推進に向けては、同社の起源である京都大学のほか、日揮(神奈川県横浜市)、KDDI(東京都港区)、NPEX(同)、YKK AP(同・千代田区)、トヨタ自動車(愛知県豊田市)、豊田合成(同・清須市)、青山学院大学などと企業・アカデミア連合を組成。研究開発の成果を社会実装へとつなげ、国内外への大規模普及を進めていく。
パナソニック ホールディングスは、ガラス型ペロブスカイト太陽電池の量産技術開発とフィールド実証を行う。
同事業の名称は「次世代型太陽電池実証事業」。事業期間は、2024年度から2030年度までの7年間で、総予算は378億円。
【参考】
・新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)―グリーンイノベーション基金事業「次世代型太陽電池の開発/次世代型太陽電池実証事業」で3件を新規採択しました
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