2026年1月3日
製品評価技術基盤機構(NITE/東京都渋谷区)は12月23日、地方公共団体やインフラ事業者などに活用してもらうため、「公共調達・重要インフラ向け蓄電池システムの安全ガイドライン」の暫定版を作成・公表した。
安全な蓄電池システムの導入により、地震や台風などの非常時・災害時においても、衝撃や浸水による発火・破裂などの二次災害を防ぎ、重要インフラの機能維持・早期復旧に資することを目的としている。
このガイドラインは、行政サービスや情報通信、電力などの重要インフラに用いられる蓄電池システムの非常時・災害時などに求められる安全要件を記載している。また、リチウムイオン蓄電池に限らず「重要インフラにおいて使用されるすべての蓄電池システム」を対象とした。
地方公共団体やインフラ事業者などに、いち早く活用を検討してもらうために暫定版を公表。試験方法や判断基準を含む別紙を加えた確定版は、2026年5月頃に公開する。
蓄電池システムは、行政機能維持や通信基地局のバックアップ電源として使用されたり、再生可能エネルギーの導入拡大に伴う電力負荷平準化に用いられたりしており、重要インフラの機能維持を支えている。
一方で、国内外で蓄電池システムの事故が発生している。NITEの独自調査では、水没させただけで発煙することが確認されるなど、地震や洪水の災害発生時に事故に至るおそれの高い蓄電池システムが市場に流通していることが危惧されており、今後、再エネの導入に伴い、地方公共団体や電力関連施設などへ蓄電池システムがさらに普及することにより、事故件数の増加も予想される。
しかし、非常時・災害時などの蓄電池システムの安全性に関する基準はない。こうした中、経済産業省の蓄電池産業戦略推進会議では、リチウムイオン電池以外も含めた健全で多様な定置用蓄電池システムの導入を促進するために、NITEに対して2026年を目処に蓄電池システムの安全性や信頼性の向上に向けたガイドライン作成を求めた。
このガイドラインで想定する非常時、災害時などにおける蓄電池システムに求められる機能は以下の6機能とする。6機能毎に設置箇所に合わせた要件、基準を示した。
・行政機能維持・復旧(政府、自治体の政府・行政サービス機能維持)
・災害・治安機能維持・復旧(自衛隊、海上保安庁、警察、消防の政府・行政サービス 機能維持)
・生命維持機能・復旧(指定医療機関、指定避難所の運営など医療機能維持)
・交通機関機能維持・復旧(航空、空港、鉄道、港湾機能維持)
・ライフライン機能維持・復旧(情報通信、金融、電力、ガス、水道、物流、化学、クレジット、石油機能維持)
・公的設備機能維持・復旧(街灯、信号、EV給電施設の物流機能維持)
「設置時」「保守管理時」「耐地震波衝撃」「耐走行振動性」など各要件にはClassを規定し、基本的に数値があがるほど厳しい要件となるように設定した。また、「継続使用可能性」はClassとは区別してGradeと規定して、Class同様に基本的に数値があがるほど厳しくなるように設定した。
具体的な安全要件として、たとえば、耐地震波衝撃については以下のような要件を定めている。
・Class 3:震度7の地震振動後に発火・破裂と有害物による周辺への影響につながるような事象がないこと
・Class 2:震度6弱以上震度6強以下の地震振動後に発火・破裂と有害物による周辺への影響につながるような事象がないこと
・Class 1:各種法令等を遵守し、震度5強以下の地震振動後に発火・破裂と有害物による周辺への影響につながるような事象がないこと。
蓄電池メーカーや蓄電池システムインテグレータが、このガイドラインに沿ってモノづくりを行い、地方公共団体などがガイドラインを参照して作成した調達仕様書や補助金交付要綱によりそれらの製品を調達することで、非常時・災害時においても2次災害を起こさず継続使用できる重要インフラ用蓄電池システムが日本に普及することが期待される。
また、今回のガイドラインは、防災に関わる国際規格であるISO 37179:2024(スマートコミュニティインフラー防災ー実施のための基本枠組み)を参考にしている。このISO規格は、2030年までの国際的な防災指針「仙台防災枠組」を踏まえて防災を考慮したインフラの計画・建設・活用・維持・改善のための原則と基本要件をまとめた国際規格で、事前防災への投資を行うことで、災害リスクを軽減(DRR)させるとともに、災害後に速やかに回復することを目指している。
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2026年1月2日
環境省は現在、建設機械の電動化普及に向けたモデルケース構築に向け、工事での電動建機導入を進めている。日立建機(東京都台東区)は、京都府京都市の公園駐輪場整備工事に、8tクラスのバッテリー駆動式ショベルZE85と可搬式充電設備を、西尾レントオール(大阪府大阪市)は、首都圏中央自動車道の工事現場に、同社保有の電動建機と独自改造建機を提供した。
日立建機は、12月1日から22日まで、環境省が実施した京都府京都市の国民公園「京都御苑」の駐輪場整備工事にて、8tクラスのバッテリー駆動式ショベルZE85とともに、九州電力(福岡県福岡市)と共同開発した可搬式充電設備「Go-ENE」をレンタル提供し、試行工事に参画した。
工事が実施されたエリアは、景観保護などを理由に、固定式充電設備の設置が制約される。今回の工事では、可搬式充電設備「Go-ENE」を活用し、場所を選ばず電動建機への充電を行い、充電用電源が未整備の都市部の施工現場においても、可搬式充電設備により効率的な充電環境を構築できることを実証した。
バッテリー駆動式ショベルは内燃機関を持たず、稼働時の排気ガスと騒音が軽減される。そのため、実証では、来苑者の快適性を維持しながら施工が可能であることや、エンジン音がないため作業員同士の声がけや合図が明瞭になり、安全性向上にも寄与できることも確認した。
環境省の直轄工事において、日立建機のバッテリー駆動式ショベルが採用されたのは今回が初めて。日立建機グループは、試行工事で得られた知見を活かし、今後も環境省や関係各所と連携し、公共工事におけるカーボンニュートラル施工の普及・促進に貢献していく。
西尾レントオールは、高規格幹線道路という大規模なインフラ工事現場を考慮し、実稼働環境下での性能や運用性確認を目的に、タイヤローラー「TZ701ニシオ改」と電動ハンドガイドローラー「HV620evo」の2機種を提供した。
同タイヤローラーは、酒井重工業(東京都港区)製のベース機を西尾レントオール技術部門が独自の改造を施したモデル。今回の試行における給電にはHVO(水素化処理植物油)燃料を用いた発電機が使用し、運用全体でのCO2排出削減を図った。
電動ハンドガイドローラーは、酒井重工業製で、排気ガスゼロ、低騒音を実現したバッテリー駆動式。トンネル内や住宅密集地など、環境配慮が求められる現場での活用が期待されているという。
同工事実施地は、首都圏中央連絡自動車道(一般国道468号)千葉県成田市川上~香取郡多古町間。期間は11月14日から11月28日までで、路盤準備工や下層路盤工などに用いられた。
西尾レントオールは引き続き、建設業界のカーボンニュートラル実現に向け、電動建機のレンタルラインナップ拡充や現場の課題解決に資する機材開発・改造を積極的に推進していく考え。
【参考】
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