2026年3月1日
系統用蓄電池物件のマッチングや売買ポータルサイト「系統用蓄電池.com」を運営するライフワン(東京都新宿区)は2月24日、系統用蓄電池用地として、ENEOS(同・千代田区)が保有する10物件の土地を取得したと発表した。再エネ拡大を背景に系統用蓄電池が独立インフラとして評価される中、事業拡大を見据えた複数物件の取得となる。
電力会社の系統に直接接続する系統用蓄電池は、電力インフラの安定化に資するとともに電力取引きが行われる各市場において売買益を確保するモデルとして需要が高まっている。
日本全国で系統用蓄電池の用地取得および開発を手がけるライフワンは、土地の選定から設備設置、保守、最適運用まで一貫してサポートするサービスを提供している。同社は2025年12月23日に、東京ガス(東京都港区)と提携し、高圧系統用蓄電池を対象とした最適運用サービスを委託開始した。初号案件は、ライフワンが所有する系統用蓄電池(出力2MW、容量8MWh)5件について運用を委託したほか、今後の新規開発案件も優先的に東京ガスが運用を請け負うことで合意した。東京ガスとの業務提携を契機とし、ライフワンは自社物件の運用から得た生の市場データや最適運用の知見などを、同社が運営するプラットフォームのサービス向上に反映させることを目指す。
今回、ENEOSから取得した用地は、東北から九州エリア計10カ所で、総面積は約1万5027.61m2。10物件の概要は以下の通り。
・東北電力エリア:宮城県仙台市(678.52m2)、秋田県能代市(602.34m2)、同・横手市(2,312.62m2)
・東京電力エリア:茨城県土浦市(1,245.32m2)、同・つくば市(1,613.66m2)、 同・稲敷郡(1,784.13m2)、群馬県藤岡市(1,337.54m2)
・中部電力エリア:愛知県犬山市(1,367m2)
・九州電力エリア:鹿児島県伊佐市(3,101.48m2)、同・指宿市(1,360.22m2)
同社のポータルサイト「系統用蓄電池.com」では、系統接続見込みの用地売買情報が掲載されているほか、系統用蓄電池事業に新たに参入したい事業者や、用地選定を任される担当者、投資家などが活用できる情報なども提供している。
国は再エネの主力電源化に向け、電力需給調整を担う系統用蓄電池事業への参入を強力に推進しており、2026年度「再生可能エネルギー導入拡大・系統用蓄電池等電力貯蔵システム導入支援事業」の当初予算案を、前年度の当初予算を大幅に増額し、350億円(補正予算80億円)とした。同事業の2025年度補助金(予算額400億円)は37案件が採択された。
記事内容へ
2026年2月28日
中部電力ミライズ(愛知県名古屋市)は2月20日、滋賀県米原市に新設した蓄電所「米原長岡蓄電所」の営業運転を開始した。同社にとって初の系統用蓄電所で、建設から保守、運用までを自社で一貫して手がける案件となる。
系統用蓄電池は、再エネ導入拡大に伴い不均衡になりやすい電力の需給バランス調整に有効な設備である。米原長岡蓄電所では、余剰電力時間帯の充電と不足時間帯の放電を遠隔で制御し、電力系統全体の安定化に寄与する運用を行う。
定格出力は990kW、容量は4,936kWhで、一般家庭約570世帯の1日分の消費電力量に相当する。リチウムイオン電池を採用し、関西エリアの送配電網に接続し、需給調整機能を担う。
中部電力ミライズは、同蓄電所を単なる設備運用ではなく、「地域アグリゲータ事業」として展開する計画だ。
同社はこれまでも顧客の蓄電池などのエネルギーリソースを最適制御し、調整力として複数用途に活用するマルチユース運用を実証してきた。実証では、同社が開発したDR高速制御エンジンを活用し、蓄電池など多様な需要側リソースを制御。各リソースの特性を踏まえた制御により、経済性の観点でリソースの価値を最大化している。
同社は、今回の取り組みを地域内の複数の蓄電リソース(事業者・自治体・顧客設備)を統合制御し、調整力や電力市場への供出価値を創出する事業モデルと位置付ける。4月以降には、宗教法人仁和寺をはじめとする京都市内の顧客設備などとの統合制御を進めるとしている。
同蓄電所は、パワーエックス(岡山県玉野市)社製の系統蓄電システム「MegaPower2700A」2台(合計容量4,936kWh)を採用した。中部電力ミライズへの納入は今回が初となる。
同製品は、標準20フィートISOコンテナタイプで、1台当たりの公称容量2,742kWh、定格容量2,468kWhのリン酸鉄リチウムイオン電池を搭載する。岡山県玉野市のパワーエックス国内製造ラインで生産しており、再エネ電力の吸収・放出を通じた需給調整と系統安定化の活用を想定している。
記事内容へ