2026年8月9日
日新電機(京都府京都市)は7月23日、サンシャイン九州本部(福岡県福岡市)が福岡県飯塚市に整備した高圧系統用蓄電所「飯塚蓄電所」に、コンテナ型蓄電システム、蓄電池用パワーコンディショナー、蓄電池制御装置を納入したと発表した。7月から運用を開始している。
同蓄電所の送電端出力は1,990kW、蓄電池容量は7,460kWh。アグリゲータの運用指令により、容量市場、需給調整市場、卸電力市場の3市場全てに対応する。
このうち需給調整市場では、周波数変動を設備側で検知して自動制御し、原則として10秒以内の応動と5分以上の継続が求められる「一次調整力」を含め、「二次調整力①・②」「三次調整力①・②」の全5区分へ対応する高精度な需給調整が可能だ。
系統用蓄電池では、市場ごとに取引する対象や収益を得る仕組みが異なる。卸電力市場では、電力価格が低い時間帯に充電し、高い時間帯に放電することで、その価格差から収益を得る。需給調整市場では、電力系統の需給バランスを保つための調整力を提供し、その対価を得る。容量市場では、将来必要となる供給力(kW価値)を確保する市場に参加し、落札後、実需給年度に供給力を確保することで、容量確保契約に基づく対価を得る。
複数市場に対応することで、市場価格や調整力の募集状況などに応じて蓄電池の運用を組み合わせ、収益機会を広げることができる。今回導入したシステムは、こうした複数市場での運用を可能にし、アグリゲータからの指令に応じた充放電制御に対応する。
また、周波数変動を設備側で検知して自動制御する機能は、蓄電池が外部からの指令を待たず、系統の状態に応じて自律的に充放電を制御する「自端制御」につながる。特に需給調整市場における一次調整力では、設備が周波数偏差を検知してから原則として10秒以内の応動と5分以上の継続が求められるため、周波数を設備側で高速に計測し、その場で制御判断まで行えることが、一次調整力への対応と電力系統の安定化につながる。
日新電機によると、蓄電システムの主要機器には、全て国内製品を採用しているという。また、IoT製品のセキュリティ対策を評価する制度「JC-STAR」では、基本的な要件を満たすことを示す★1のラベルを取得している。同制度は、経済産業省が策定した方針に基づき、情報処理推進機構(IPA)が2025年3月に運用を開始した。同年9月に政府機関向けの機器選定基準に反映されており、重要インフラ事業者や地方公共団体などへの活用も働きかけている。
蓄電池はコンテナタイプだが、蓄電池盤とコンテナを分けて輸送し、現地で組み立てる方式により、搬入制限のある道路などでも搬入できる。また、静音設計で周辺環境に配慮した。
なお同事業は、経済産業省の2025年度「再生可能エネルギー導入拡大・系統用蓄電池等電力貯蔵システム導入支援事業費補助金」に採択された。
系統用蓄電池の事業では、複数の電力市場への対応や制御技術の高度化により、効率的な運用と収益性の向上を図る取り組みが進んでいる。
同じ補助金に採択された事例では、三菱地所(東京都千代田区)ら3社が福岡県筑前町で6月1日に着工した系統用蓄電所が、3市場に柔軟に対応するほか、AIを活用した高度な運用により、収益性と安定性の両立を目指す。
パワーエックス(岡山県玉野市)とニシム電子工業(福岡県福岡市)は2月5日、電力系統からの充電を行う太陽光併設型蓄電システムとして、一次調整力対応で国内初となる一般送配電事業者の認定を取得したと発表した。同システムは同日、九電みらいエナジー(福岡県福岡市)が保有する長崎県大村市の「大村メガソーラー第4発電所」で運用を開始した。この取り組みでは、太陽光発電設備と蓄電池を組み合わせ、周波数変動に応じて出力を自動制御することで一次調整力として機能する点が特徴だ。EMSと連携し、太陽光発電の出力変動と蓄電池の充放電を統合的に制御することで、系統要請に応じた高速な応答を可能としている。
出光興産(東京都千代田区)、三井住友ファイナンス&リース(同)、長瀬産業(同)、レノバ(同・中央区)が共同で開発し、2025年10月に運用を開始した「姫路蓄電所」(兵庫県姫路市、出力15MW/容量48MWh)では、需給調整市場と容量市場を活用。さらに、EPCを担った日揮(神奈川県横浜市)が、複数の蓄電池を統合管理するEMSなどを連携させ、需給調整市場、容量市場、卸電力市場での取引に活用できる蓄電所統括制御ネットワークを構築した。
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