2026年9月19日
経済産業省は8月31日、2027年度(令和9年度)の概算要求を公表した。経産省関係の要求額は7兆7859億円。資源エネルギー・GX分野に1兆9838億円を求め、系統用蓄電池、水素、持続可能な航空燃料(SAF)、GXサプライチェーンなどの支援を盛り込んだ。
農林水産省・文部科学省も、今年度の概算要求でGXや環境関連の予算を計上している。
経産省は、資源エネルギー・GX分野として1兆9838億円を要求した。このうち投資枠は1兆1426億円で、2026年度当初予算の1兆2107億円から減少した。
GX関連では、GXサプライチェーン構築支援事業に1134億円を要求。2026年度当初予算の497億円から増額し、国内のGX関連製品・技術の供給基盤を整備する。
次世代革新炉の技術開発・産業基盤強化支援事業には1411億円、フュージョンエネルギー発電実証推進事業には326億円を計上した。
再エネの導入拡大では、系統用蓄電池などの電力貯蔵システム導入支援に399億円を充てる。2026年度当初の350億円から増額となった。
水素関連では、水素等のサプライチェーン構築に向けた価格差に着目した支援事業に655億円を求めた。2026年度当初の363億円から増額する一方、低炭素水素等拠点整備支援事業は275億円で、同年度当初の415億円から減額となった。
SAFでは、製造・供給体制構築支援に700億円を要求。2025年度補正予算では100億円を計上していた。
主な事業は以下の通り。
・地熱発電の資源量調査・理解促進事業【132億円(R8当初126億円、R7補正12億円)】(エネ特)
・先進的CCS支援及び国内外での貯留適地調査事業【101億円(R8当初8.7億円、R7補正339億円)】(エネ特)
・カーボンリサイクル・次世代火力発電の技術開発等事業【70億円(R8当初71億円)】(エネ特)
・次世代燃料の生産・利用技術開発等事業【61億円(R8当初34億円)】(エネ特)
・石油天然ガス田の探鉱・資産買収等事業に対する出資金【604億円(R8当初427億円、R7補正197億円)】(エネ特)
・国内石油天然ガスに係る地質調査・メタンハイドレートの研究開発等事業【270億円(R8当初252億円)】(エネ特)
・緊急時放出に備えた国家備蓄石油及び国家備蓄施設の管理委託費(石油分)【569億円(R8当初468億円)】(エネ特)
・原油供給源多角化促進事業【150億円(新規)】(エネ特)
・離島・SS過疎地等における石油製品の流通合理化支援事業費【62億円(R8当初41億円)】(エネ特)
・災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金【41億円(R8当初49億円、R7補正8.2億円)】(エネ特)
・SSネットワーク維持・強化支援事業費補助金【120億円(R7補正160億円)】(エネ特)
・再生可能エネルギー導入拡大に向けた分散型エネルギーリソース導入支援等事業【101億円(R8当初3.7億円、R7補正81億)】(エネ特)
・洋上風力発電の導入促進に向けた採算性分析のための基礎調査事業【153億円(R8当初122億円)】(エネ特)
・再生可能エネルギー事業規律強化事業【4.0億円(R8当初4.0億円)】(エネ特)
・再生可能エネルギー主力電源化へ向けた太陽光発電の課題解決のための技術開発事業【32億円(R8当初31億円)】(エネ特)
・福島県における再生可能エネルギー等の導入促進のための支援事業費補助金【52億円(R8当初52億円)】(エネ特)
・競争的な水素等サプライチェーン構築に向けた技術開発事業【78億円(R8当初78億円)】(エネ特)
・エネルギー構造高度化・転換理解促進事業費【73億円(R8当初73億円)】(エネ特)
・電源立地地域対策交付金【842億円(R8当初794億円)】(エネ特)
・大規模系統整備等事業【368億(新規)】(エネ特)
・GXサプライチェーン構築支援事業【1,134億円(R8当初497億円、R7補正55億円)】(投資枠(GX))
・次世代革新炉の技術開発・産業基盤強化支援事業【1,411億円(R8当初1,220億円、R7補正60億円)】(投資枠(GX))
・水素等のサプライチェーン構築のための価格差に着目した支援事業【655億円(R8当初363億円)】(投資枠(GX))
・クリーンエネルギー自動車導入促進補助金【1,100億円(R7補正1,100億円)】(投資枠(GX))
・クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てん設備等導入促進事業【426億円(R7補正500億円)】(投資枠(GX))
・排出削減が困難な産業におけるエネルギー・製造プロセス転換支援事業【881億円(R8当初417億円)】(投資枠(GX))
・省エネルギー・非化石転換の投資促進・社会実装支援事業【2,108億円(R8当初840億円、R7補正550億円)】(投資枠(GX)
・高効率給湯器導入促進による家庭部門の省エネルギー推進事業費補助金【530億円(R7補正570億円)】(投資枠(GX))
・脱炭素電源地域貢献型投資促進事業【260億円(R8当初400億円)】(投資枠(GX))
・GX分野のディープテック・スタートアップ支援事業【100億円(R8当初185億円)】(投資枠(GX))
・フュージョンエネルギー発電実証推進事業【326億円(R7補正200億円)】(投資枠(GX))
・成長志向型の資源自律経済加速化事業【56億円(新規)】(投資枠)など
財政投融資では、財政融資として1兆3379億円を要求した。2026年度計画の1兆1870億円から増額となる。
電力広域的運営推進機関(OCCTO)には、2026年度計画の540億円から大幅に増額し1660億円を計上した。大規模な電源・系統整備を行う発電事業者や一般送配電事業者などへの融資に充てる。
産業投資は4027億円(2026年度計画の1644億円)を要求した。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)には1727億円を計上。天然ガス、重要鉱物、水素、地熱の探鉱・探査・製造・開発段階における出融資や債務保証などに充てる。
産業革新投資機構(JIC)には800億円を投じて、次世代産業の育成・創出、成長投資、事業再編などによる競争力強化を支援。情報処理推進機構(IPA)には、次世代半導体の量産に取り組む事業者への出資として1500億円を新規要求する。
経産省はあわせて、2027年度税制改正要望も公表した。
GX関連では、「GX等の戦略分野国内生産促進税制」の延長・見直しを要望する。同制度は、電気自動車(EV).グリーンスチール、グリーンケミカル、SAF、半導体(マイコン・アナログ)を対象に、生産・販売量に応じて税額控除を行う投資促進策。各分野の投資促進の必要性を踏まえ、対象物資などを見直した上で延長などを求めた。
また、電気供給業とガス供給業に対する法人事業税について、収入金額を基準とする課税方式から、他の事業と同様の課税方式への変更を要望した。
法人事業税は通常、企業の所得などに応じて課税する一方、電気・ガス供給業では収入金額に応じて課税する「収入金課税」が採用されている。2020年度に電気供給業、2022年度にガス供給業で課税方式の一部が見直されたものの、収入金課税の仕組みは残っている。小売全面自由化や経過措置料金規制の撤廃など自由化が進展する中、合成メタンなどの生産・調達拡大やメタネーションの技術開発、脱炭素電源の整備といったGX投資を促進し、一般の事業との課税の公平性を確保する。
車体課税では、カーボンニュートラルへの貢献を踏まえ、保有時の重量やCO2排出量削減に資する環境性能に応じて負担を決める、公平・中立・簡素な制度への抜本的な見直しを要望した。次世代半導体については、量産などに向けた税制上の措置として、情報処理促進法に基づく選定事業者への現物出資に伴う税負担の減免措置などの創設を求めた。
農林水産省は、2027年度予算として3兆1377億円を要求した。食料・農林水産業分野のGXを進める「食農GX」には48億円を新規計上。環境負荷の低減や気候変動への適応、国内バイオマスの活用、地域内での資源循環などを進める。
「みどりの食料システム戦略推進総合対策」には76億円を要求。森林分野では、森林の循環利用や木材の価値向上に向けて186億円(内数)、森林整備に1653億円を計上した。
気候変動への適応では、高温耐性品種や高温に対応する栽培管理技術の開発・導入、フードテックの推進、農作業中の熱中症対策などを進める。予算は「生産性の抜本的な向上を加速化する革新的新品種開発」の33億円(内数)、「みどりの食料システム戦略推進総合対策」の76億円(内数)など。
農業・農村整備には4375億円を充て、農業水利施設の更新・長寿命化、省エネや再エネの導入などを後押しする。水産分野では、水産基盤整備に960億円、漁村環境関連に39億円を計上。藻場・干潟の保全や使用済み漁網などの資源循環、気候変動に対応した漁場・漁港整備などを盛り込んだ。
文部科学省は2027年度予算として、一般会計で8兆7750億円、科学技術関係で2兆4453億円を要求した。
公立学校施設の整備には4308億円を要求。「新しい時代の学校施設」の実現に向け、新しい時代の学びに対応した教育環境の向上と老朽化対策を一体的に進める。この一環として、ZEB化や省エネ、再エネの導入などを進める。
ムーンショット型研究開発制度には577億円を要求・要望し、このうち561億円を「強く豊かな日本」投資枠として計上する。研究開始5年目のCSTI評価を受ける目標8「気象制御による極端風水害の軽減」など、重要技術領域への支援を充実させる。
そのほか環境関連として、「地球環境の状況把握と観測データによる付加価値情報の創生」に369億2500万円を計上した。このうち112億7000万円は「強く豊かな日本」投資枠として、海洋研究開発機構(JAMSTEC)が整備する超深海探査母船に充てる。
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