2026年7月18日
東京都、川崎市、仙台市、一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)は7月9日、太陽光発電の普及拡大に関する4者連携協定を締結した。東京都とJPEAが2022年12月に締結した協定に、2023年6月に川崎市が加わり、今回新たに仙台市が参加した。
3自治体はいずれも、中小規模の新築建築物を対象に、一定量以上を供給する建物供給事業者・建築事業者へ太陽光発電等の再生可能エネルギー設備の設置を求める制度を導入・予定している。東京都と川崎市は2025年4月1日に制度を施行済み。仙台市は2027年4月1日の施行を予定している。
同様の条例の施行・検討が進んでいる自治体もあり、企業の建築・不動産・店舗開発・施設管理の担当者にとっては、新築、建替え、拠点開設を計画する場合には、拠点所在地や建築規模により設計前の段階で自治体制度の対象有無を確認のうえ、太陽光発電設備、省エネ性能、ZEV充電設備などを確認する必要がある。
今回の協定では、太陽光発電に関する基礎知識の普及啓発、最新技術の情報収集・開発促進、持続的なサプライチェーンの構築や人権尊重などSDGsに配慮した事業活動、施工技術の向上、維持管理、廃棄・リサイクル、制度の円滑な施行・運用に向けた情報共有・発信などで連携することが表明されている。
また、太陽光発電の普及促進に係る他自治体等への政策波及に向けた取組も連携内容に含まれている。東京都は今回の取組を「2050東京戦略」のうち、ゼロエミッション分野の「再生可能エネルギーの基幹エネルギー化」を推進する取組と位置付けている。
東京都の参考資料によると、3自治体の義務化対象建物の規模・種類はいずれも延べ面積2,000平方メートル未満の住宅・非住宅(新築)で、その他の概要は以下の通り。
自治体 |
施行時期 |
義務の対象者と主な内容 |
|---|---|---|
| 東京都 | 2025年4月1日施行 | 都内年間供給総延べ面積2万平方メートル以上の建物供給事業者
太陽光発電等の再エネ設備の設置、断熱・省エネ性能の確保、ZEV充電設備の整備 |
| 川崎市 | 2025年4月1日施行 | 市内年間供給総延べ面積5,000平方メートル以上の建築事業者
太陽光発電設備等の再エネ設備の設置 |
| 仙台市 | 2027年4月1日施行予定 | 市内年間供給総延べ面積5,000平方メートル以上の建築事業者
太陽光発電等の再エネ設備の設置、断熱・省エネ性能の確保 |
3自治体の制度はいずれも、個々の建築主や住宅購入者に直接、太陽光発電設備の設置を求める制度ではなく、一定量以上の建物を供給する事業者を義務対象とする制度として整理されている。企業が自社拠点の新築を行う場合でも、所在地、建物規模、建築主・設計者・施工者の役割、発注先事業者の制度対象該当性を確認することが重要になる。
東京都が基本方針を打ち出した2022年頃から、建築物への太陽光発電設備等の設置義務は他の自治体でも導入または制度化が進んでいる。対象規模や義務対象は自治体ごとに異なり、太陽光発電に限定せず、再生可能エネルギー設備の導入義務として制度設計している例もある。
自治体 |
制度の状況 |
対象・概要 |
|---|---|---|
| 長野県 | 改正条例を段階施行予定 | 改正長野県地球温暖化対策条例により、新築建築物への再生可能エネルギー設備設置義務を創設。設置義務は2028年4月1日施行予定。 |
| 京都府 | 施行済み | 条例に基づき、特定建築物・準特定建築物に再エネ設備の導入義務を設定。2022年4月から義務を強化。 |
| 京都市 | 京都府・京都市の条例に基づき、一定規模以上の建築物に再生可能エネルギー利用設備の導入を求める制度を運用。 | |
| 群馬県 | 延床面積2,000平方メートル以上の建築物を新築・増築・改築する特定建築主に、再生可能エネルギー設備の導入を義務付け。 | |
| 福島県大熊町 | ゼロカーボンの推進による復興まちづくり条例に、特定建築物またはその敷地への再生可能エネルギー利用設備の設置義務を規定。 |
太陽光発電設備の設置義務は、建築確認申請や工事着手前の手続きと連動する制度が多い。事業者側は今後、たとえば次のような確認が発生することになる。
・建築予定地の自治体に、太陽光発電設備または再生可能エネルギー設備の設置義務があるか
・対象が建築主、建物供給事業者、建築事業者、設計者のどれか
・対象建築物の規模や用途、新築・増築・改築の別
・断熱・省エネ性能、ZEV充電設備、蓄電池、維持管理、廃棄・リサイクルに関する追加要件の有無
・計画書、届出、報告、公表、建築士による説明義務の有無
・補助金や上乗せ設置促進策の対象になるか
今回の4者協定では、連携項目に「他自治体等への政策波及」が含まれているため、今後同協定に他の自治体が参加することも十分に考えられそうだ。
当メディアでは以前に、東京都・川崎市の設置義務化による住宅用太陽光発電市場への影響について自然エネルギー財団(東京都港区)が分析したレポートの記事も掲載している。
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