2026年8月31日
旭テクノロジー(兵庫県姫路市)は8月6日、茨城県内の大規模太陽光発電施設で、ドローンを活用した無人警備システムの実証を完了したと発表した。
約2カ月の実証期間中、対象施設では盗難被害が発生しなかった。同社は今後、既存の防犯カメラやセンサーと連動して、異常検知後にドローンを自動で緊急発進させる仕組みを構築し、実用化を目指す。
実証は、茨城県鹿行地域にある総公称出力2000kW以上、太陽光パネル8000枚以上の発電施設で、約2カ月間行われた。
同システムは、自動離着陸・充電が可能なドローンポート「DJI Dock 3」、ドローン「DJI Matrice 4T(D)」、遠隔監視システムで構成する。通信回線には、衛星インターネットサービス「Starlink」を採用。クラウド管理基盤「DJI FlightHub 2」を通じて、フライト計画の作成・自動実行、リアルタイム映像の配信、AIによる映像解析を遠隔で一括管理する。
今回の実証では、設定したルートを定期的に巡回する運用や、ドローンの映像から人物・車両を検知する機能を検証した。
同施設内で、あらかじめ設定したルートに沿ってドローンを自動飛行させ、夜間を含め毎日複数回の巡回を実施した。
自動航行による安定した巡回飛行を行ったほか、AI(人工知能)による映像解析での人物・車両の検知、昼間の人物の顔や車両ナンバーの識別、夜間の赤外線サーマルカメラによる侵入検知が可能であることを確認した。
人物や車両を検知すると、カメラが自動で対象をズームして撮影する。異常を検知してからドローンが離陸し、対象地点へ短時間で到達できることも確認した。また、目視外飛行の包括許可を取得し、現行法令の下で継続運用できることも検証した。悪天候時には、ドローンポートが飛行の可否を自動で判断する仕組みも正常に機能した。
実証期間中、対象施設では盗難被害が発生しなかった。同社は、警備システムの運用と告知看板の設置により、犯罪抑止につながる可能性を確認したとしている。
同実証は、茨城県が進めるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進事業の一環として実施された。
今後は、防犯カメラや侵入センサーが異常を検知した際、ドローンを自動で緊急発進させる仕組みの構築を進める。
併せて、複数の発電施設を一つのオペレーションセンターで集中管理する運用モデルの確立にも取り組む。全国の太陽光発電施設のほか、広い敷地を持つ重要インフラ施設への展開を目指す。
同社は、太陽光発電設備の設計・調達・建設(EPC)やO&M(運用・保守)、発電所・プラント設備のメンテナンスに加え、ドローンを活用したサービスの開発を手がけている。
太陽光発電所では近年、銅線ケーブルを狙った盗難被害が全国で相次いでいる。2026年4月に公表された警察庁の「令和7年における組織犯罪の情勢(確定値版)」によると、2025年中の太陽光発電施設における金属ケーブル窃盗の認知件数は3,856件に上った。
当メディアでも、長野県のガス会社であるサンリン(長野県東山形村)が所有するサンリン松本発電所(長野県松本市、パネル出力1.923MW)で6月1日、電気ケーブルの盗難被害が発生し、発電できない状況が続いている事案を紹介した。
太陽光発電協会(JPEA)は、ケーブル盗難を防ぐには、発電所に「入らせない」、ケーブルを「取らせない」、盗品を「買い取らせない」という多層的な対策が必要だとしている。
「入らせない」「取らせない」ための具体策として、フェンスや鍵の強化、地下埋設配管、侵入検知システムや監視カメラの導入、異常検知時の緊急駆け付け、アルミケーブルへの張り替えなどを挙げる。
盗品の流通を防ぐ対策としては、2025年6月13日、「盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律(金属盗対策法)」が国会で成立した。同法は、特定金属くずの買い取り業者に届け出を義務付けるとともに、買い取り時の本人確認、取引記録の作成・保存、盗品の疑いがある場合の警察への申告を求めるものだ。また、犯行に使われるおそれのあるケーブルカッターなどを、正当な理由なく隠して携帯する行為も禁止する。
犯行用具の規制などは2025年9月1日、特定金属くず買受業者に対する規制は2026年6月に施行され、ケーブル盗難を抑止する仕組みが整備された。
太陽光発電施設では、ドローン以外にも、センサーやカメラを組み合わせた盗難対策の導入が進んでいる。
NTTドコモビジネス(東京都千代田区)とパナソニック コネクトグループ(同・中央区)は2026年5月、NTTアノードエナジー(同・港区)のメガソーラーに、ミリ波レーダーとPTZカメラを組み合わせた侵入検知システムを導入した。ミリ波レーダーが侵入者を捉えると、カメラが自動で追尾・ズーム撮影し、映像を監視センターへ送信する。夜間や雨、霧の中でも検知でき、レーダー1台で最大半径70mの半円状エリアを監視する。
ケーブル自体を、盗難の対象になりにくいアルミケーブルに転換するサービスもある。たとえば、損害保険ジャパンと古河電気工業は2023年12月15日、太陽光発電設備の銅線ケーブルが盗まれた際の早期復旧と再発防止に向け、銅より転売価格が低いアルミ導体ケーブルの活用を促すサービスを開始した。
エクソル(東京都港区)も2024年11月28日、太陽光発電所の銅線ケーブルをアルミニウムケーブルに取り替えるサービスを開始すると発表した。災害補償を付帯するとともに、アルミニウムケーブルを使用していることを看板で表示し、窃盗の抑止につなげる。
さらに、GBP(東京都港区)は2026年4月16日、アルミケーブルと警報線を一体成型した「警報線一体型アルミケーブル」の提供を開始した。ケーブルが切断されると警報線も断線し、接続した監視システムが異常を検知する。転売価値の低いアルミへの切り替えと切断検知を組み合わせた仕組みで、利用には別途、監視システムが必要となる。
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