2026年8月30日
電力アグリゲーション事業を展開するBluefield Energy(東京都港区)と再エネ事業を手がけるエンブルー(同・千代田区)は8月6日、低圧系統用蓄電池の開発から市場運用までをワンストップで提供できる体制を構築すると発表した。
この協業では、エンブルーが用地開発、電力申請、機器調達、建設、事業化を、Bluefield Energyが電力申請、アグリゲーションの支援を担うことで、2028年までに2000件の低圧系統用蓄電池の事業化を目指す。
高圧・特別高圧の系統用蓄電池は、接続検討から運転開始まで長い時間を要してきた。しかし2026年4月の制度改正で低圧電源・低圧蓄電池も需給調整市場に参加できるようになった。これにより、接続申込から数カ月で稼働できる低圧案件は、短期間で事業化を狙える選択肢として関心を集めている。一方、低圧リソースの市場参加には、電力申請をはじめ、需給計画の策定、市場入札、精算・報告業務など、高度かつ煩雑な実務が伴う。
エンブルーとBluefield Energyは、「制度が整っても、それを実際に動かす実行の担い手がいなければ、市場は前に進まない」と指摘する。両社は、こうした課題認識のもと、それぞれの強みを持ち寄り、低圧系統用蓄電池の事業化を実務面から支える体制の構築を進めている。
エンブルーは、今回の協業では、低圧系統用蓄電池を設置できる適地の探索から、事業性評価、最適なシステム構成の設計、機器の選定・調達、各種電力申請、建設、販売までを一気通貫で提供。案件ごとに立地条件や系統状況、収益性を総合的に評価し、最適な事業スキームを構築する。
同社は、再エネ事業において、これまでに、163カ所、DC容量22.5MWの太陽光発電所を手がけている。低圧太陽光発電所向けのケーブル盗難対策ソリューションや、太陽光発電所の発電量最大化をサポートする遠隔監視システムなども展開する。また、再エネ事業で培った用地開発力と事業化ノウハウを強みに、機器メーカーや施工会社をはじめとするパートナーと連携しながら、開発から建設、販売までを一貫して推進し、低圧系統用蓄電池の事業化を実現している。
Bluefield Energyは、今回の協業で、開発初期に必要となる電力申請の支援を行い、案件ごとの事業性を早期に判断できる環境を提供する。申請が通過した後は、AIアグリゲーションシステム「BF Cloud」により、蓄電池オーナーに対する充放電の最適制御・市場取引・精算業務を担う。需給調整市場におけるネガポジ運用に加え、時間前市場も活用した最適運用を実施することで、蓄電池オーナーの収益最大化と安定運用を支援する。ネガポジ運用は、需要を抑制する「ネガワット」と、放電などで供給力を増やす「ポジワット」の双方を、同一の設備で組み合わせて提供する運用方法をいう。
Bluefield Energyは、AIを活用したアグリゲーション技術と市場運用ノウハウを有し、発電事業者と小売電気事業者を支える事業を展開している。5月に、低圧太陽光発電所を対象としたFIP転換向けアグリゲーション支援サービスの提供を開始したことを発表している。
同社は、低圧から特別高圧までの太陽光発電所・蓄電池などをAIで需給最適化するアグリゲーション事業と、小売電力の非効率なバックオフィス業務をシステム化し、柔軟な料金設計やPPAにも対応するデジタルソリューション事業の2軸を展開している。デジタルソリューション事業において、「BF Cloud」を提供している。
また、同社では、今後の事業拡大に伴い、事業開発、オペレーション、エンジニアリングなど複数ポジションで採用を強化している。
2026年4月の制度改正で、低圧電源・低圧蓄電池の需給調整市場への参加が可能になったことを受けて、低圧電源・低圧蓄電池に注目が集まっている。
たとえば、リンナイ(愛知県名古屋市)やShizen Connect(東京都中央区)は、家庭用給湯器を電力需給の調整力として活用する取り組みを開始している。
また、低圧系統用蓄電池事業では、太陽光発電所や蓄電池の運用・財務管理をAIで自動化するクラウドサービスを手がけるTensor Energy(福岡県福岡市)も蓄電池設備の企画・販売・施工会社との協業を推進している。LC-JAPAN(千葉県千葉市)、グリーンロードエナジー(神奈川県横浜市)、ライジングコーポレーション(大阪府池田市)との協業では、3社が蓄電池設備の企画・販売・施工を担い、Tensor Energyがアグリゲーション運用を担当し、それぞれと1,000基の低圧系統用蓄電池の組成を目指すこととしている。
こうしたニーズの高まりを受けて、宣伝会議(東京都港区)では、10坪の遊休地を活用した低圧リソースを含めた蓄電ビジネスの最新動向や制度変更の解説、参入のためのポイントなどを網羅的に解説するセミナーを9月18日にリアル会場とオンラインで開催する。
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