2026年9月7日
Linkhola(東京都港区)と浜屋(埼玉県東松山市)は8月24日、日本国内で回収・検査したリユース太陽光パネルをフィリピンへ輸出し、現地事業所の自家消費型太陽光発電に活用する事業を対象に、ボランタリーカーボンクレジットの新たな方法論の策定を開始し、第1号となるクレジット創出プロジェクトに着手すると発表した。
Linkholaが運営する、国内外におけるボランタリークレジット創出支援サービス「EARTHSTORY」において申請・登録する。
今回開発する方法論について、Linkholaは、国内の公的制度であるJ-クレジットや民間主導のボランタリークレジット制度で公開されている方法論の中では、国内初(2026年8月に実施したウェブ調査による)だとしている。
浜屋は、国内で不要となった太陽光パネルの調達や検品、流通を担う。今回の取り組みでは発電可能なパネルを選別してフィリピンへ輸出し、現地の事業所に自家消費型太陽光発電設備として導入する。
Linkholaは、カーボンクレジットに関する方法論の設計や制度運営の知見を生かし、対象事業によるCO2排出削減量の算定ロジックを構築する。専門家や有識者の意見も取り入れながら、方法論の策定手続きを進める。
対象となる太陽光パネルの枚数や発電容量、具体的な導入先、事業開始時期、クレジットの創出見込み量は公表していない。算定方法やプロジェクトの詳細は、方法論の策定完了時に公表する予定。
両社は、方法論開発の背景として、既存の再エネクレジット、ASEANにおける再エネ導入、日本の使用済み太陽光パネルをめぐる3つの課題を挙げる。
新設型太陽光発電によるクレジットでは、国際的な評価基準が厳格化し、クレジットによる支援がなければ事業が成立しないという「追加性」の立証が難しくなっている。このため、発電量だけでなく、透明性や信頼性を備えた持続可能な環境価値の仕組みが求められているという。
一方、フィリピンをはじめとするASEAN諸国では、経済成長に伴って電力需要が増加し、電気料金の高騰も事業者の経営課題となっている。再エネ導入への要請が高まる中、設備の初期投資が普及の障壁となっており、導入コストを抑えた自家消費型太陽光発電の拡大が求められている。
日本では2030年代半ば以降、耐用年数を迎えたり、設備更新に伴って撤去されたりする太陽光パネルの大量排出が見込まれる。
こうした課題を踏まえ、両社は、日本のリユース太陽光パネルを活用してASEANでの再エネ導入コストを抑えるとともに、その排出削減効果をカーボンクレジットとして評価する方法論を開発する。ただし、中古品の国際流通では、品質の不透明さや輸出先での不法投棄が課題となる。このため、両社は、この事業に日本国内での品質検査とトレーサビリティー管理を組み込み、リユース太陽光パネルの信頼性を確保する。
5月29日、使用済み事業用太陽光パネルのリサイクルを義務付ける「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」が成立した。同法では、多量の事業用太陽光パネルを廃棄しようとする太陽光発電事業者などに、国が定める判断基準に基づくリサイクルの実施に向けた取り組みを義務付けている。また、費用効率的なリサイクル事業の計画を国が認定する制度を創設し、都道府県ごとの廃棄物処理法の許可を不要とするなどの措置を行う。
3月25日には、東急不動産が使用済み太陽光パネルを北海道松前町の小学校と町営牧場に設置する国内循環モデルの実証実験を開始すると発表した。自治体新電力の松前再エネ電力(北海道松前町)がPPA事業者として、使用済み太陽光パネルを町立小学校と町営牧場に設置する。発電した電力は各施設で自家消費し、資源循環と再エネの地産地消を両立する。
Linkholaの「EARTHSTORY」は民間主導の「ボランタリークレジット制度」の申請、審査、発行までを一括して扱うサービス。初号案件は、沖縄県宮古島におけるオンサイトPPAを活用した自家消費型太陽光発電プロジェクトで、1159tのクレジットを発行した。
今回の浜屋との取り組みは、リユース先を海外へ広げるとともに、再エネ発電による排出削減効果をボランタリークレジットとして価値化する。
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