2026年9月26日
スズキ(静岡県浜松市)とスズキ自販浜松(同)は9月4日、中部電力ミライズ(愛知県名古屋市)などと進める「遠州脱炭素プロジェクト」を活用し、オンサイトPPAとオフサイトPPAを組み合わせた電力利用を開始したと発表した。
スズキ自販浜松の「スズキアリーナ磐田」(静岡県磐田市)の屋根に、店舗の電力需要を上回る約82kWの太陽光発電設備を設置。発電した電気を店舗で自家消費し、休業日などに生じる余剰電力はオフサイトPPAによりスズキ本社へ供給する。
遠州脱炭素プロジェクトは、中部電力ミライズが、スズキなど静岡県の遠州地域に拠点を持つ15社と2025年1月に開始した取り組み。参画企業の敷地にオンサイトPPAで太陽光発電設備を設置し、自社で使い切れない余剰電力を、中部電力ミライズを介して別の参画企業へオフサイトPPAで供給する。
これにより、太陽光発電設備を設置する企業は、自社の電力需要に発電規模を合わせる必要がなく、屋根などの設置スペースをより広く利用できる。一方、屋根面積や耐荷重などの制約で太陽光発電設備を十分に設置できない企業も、遠州地域の別企業で発電した再エネ電力を調達できる。地域内で余剰電力の受け皿を確保することで、太陽光発電の導入量を増やす仕組みだ。
スズキがこの枠組みで余剰電力の供給を受けるのは、スズキの取引先で構成する「スズキ協力協同組合」の組合員企業3社に続き、4社目となる。
今回、スズキ自販浜松の店舗である「スズキアリーナ磐田」(静岡県磐田市)の屋根上スペースにおいて、中部電力ミライズのオンサイトPPAサービスにより、スズキアリーナ磐田の電力需要以上の電気を発電する設備(総出力約82kW)を設置し、9月1日から発電を開始した。
発電した電力は同店舗において自家消費するとともに、休業日などに生じる余剰電力は、スズキが、オフサイトPPAサービスの仕組みにより、本社に供給することで、無駄なく活用する。
これにより、スズキアリーナ磐田は、余剰電力を気にすることなく、屋根上の設置スペースを最大限に活用して太陽光発電を導入することが可能になる。同時に、スズキは、スズキアリーナ磐田から余剰電力を調達し、自社のサプライチェーンの脱炭素化を進めることができる。
今回の取り組みで活用する太陽光発電設備で発電される電力は、年間で約9万1000kWh(スズキ:約4万1000kWh、スズキアリーナ磐田:約5万kWh)となる見込み。
スズキは、これまでに、スズキ協力協同組合のアイゼン(浜松市)、コーリツ(磐田市)、イオインダストリー(湖西市)の3社と、同様のスキームでオンサイト・オフサイトPPAサービスの利用を開始している。
なお、中部電力ミライズのPPAサービスでは、太陽光発電所を設置・運営は、中部電力ミライズのグループ会社であるシーエナジー(愛知県名古屋市)が行う。
中部電力ミライズは2025年11月に、「遠州脱炭素プロジェクト」の取り組みとして、クラベ(静岡県浜松市)、ソミック石川(同)、DOWAメタニクス(磐田市)の3社に、オフサイト型フィジカルPPAサービスの提供を開始している。
具体的な取り組みとして、浜松市の「クラベ都田北工場」の屋根上スペースを活用し新たに設置した太陽光発電設備(出力1,579.5kW)で発電される全電力を、同サービスにより、同市の「クラベ浜北工場」「ソミック石川鶴見工場」、磐田市にあるDOWAメタニクス本社に供給する。この太陽光発電設備で発電される電気は、年間で約182万kWhとなる見込みだ。
クラベ都田北工場では、2021年6月から、中部電力ミライズのオンサイトPPAサービスにより、屋根上の太陽光発電設備(パネル出力:486kW)で発電された電気を自家消費する。同工場の屋根上には太陽光発電設備をさらに導入する余地があったことから、設置スペースの最大限の活用を図るクラベからの発案と、再エネ由来の電気の導入拡大を目指すソミック石川とDOWAメタニクスのニーズがマッチしたことにより、このサービスが実現した。
また、中部電力ミライズと、「遠州脱炭素プロジェクト」に参画するヤマハ発動機(磐田市)は6月、「カーボンニュートラルに向けたパートナーシップ協定」を締結している。この協定に基づく活動の1つとして、同プロジェクトを通じて、ヤマハ発動機の再エネ比率の向上を図るとともに、サプライチェーンの脱炭素化に取り組む。
具体的には、ヤマハ発動機の取引先(サプライヤー)である、遠州トラック(袋井市)、古山精機(磐田市)、A.I.S(浜松市)の3社に設置する太陽光発電設備において生じる余剰電力を、2027年4月(予定)から順次、中部電力ミライズがヤマハ発動機に供給する。ヤマハ発動機が活用する太陽光発電の余剰電力は、年間で約132万kWhとなる見込み。サプライヤーの太陽光発電設備において生じる余剰電力の活用は、ヤマハ発動機として初の取り組みとなる。
地域内での脱炭素化を目的とした「遠州脱炭素プロジェクト」では、こ中部電力ミライズが参画企業に太陽光発電設備の設置を提案するとともに、余剰電力を参画企業間で融通し、地域全体での太陽光発電の導入量の最大化と有効活用を図る。
プロジェクト参画企業は、中部電力ミライズ、スズキのほか、以下の13社。ヤマハ、ヤマハ発動機、ローム浜松、アイゼン、イオインダストリー、遠州、キャタラー、クラベ、コーケン工業、コーリツ、古山精機、ソミック石川、DOWAメタニクス、浜松ホトニクス(2025年1月時点)。
一般的に、企業が自社の屋根などを活用し太陽光発電を導入する場合は、発電された電気を敷地内で同時に消費する必要があり、時間帯ごとの電力消費量に応じた規模の発電設備を設置する。そのため、電力の利用状況によっては、屋根上などの設置スペースを十分に活用することができないケースがあった。
今回のプロジェクトでは、オンサイトPPAサービスを活用し、太陽光発電設備を導入する余地のある参画企業の敷地内に、その企業の電力需要以上の電気を賄う発電設備を設置する。
自家消費分以外の余剰電力に関しては、中部電力ミライズが、その時間帯に電力を消費できる別の参画企業とのマッチングを行い、オフサイトPPAサービスの仕組みを通じて、参画企業内で融通させる。
これまで屋根上のスペース・耐荷重の不足などを理由に、太陽光発電の導入・拡大を断念していた参画企業は今後、別企業から遠州地域由来の余剰電力を調達することで、自社の脱炭素化を進められるようになる。
中部電力ミライズは、同プロジェクトについて、遠州地域由来の余剰電力を「選ぶ」・「使う」ことが、遠州地域全体の再エネを「増やす」ことにつながる点を強調する。これにより、参画企業は自社の脱炭素化だけでなく、再エネの「追加性」に貢献できるとしている。
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