2026年8月4日
電力広域的運営推進機関(OCCTO)は7月21日、容量市場「長期脱炭素電源オークション(応札年度:2026年度)」について、募集要綱案と容量確保契約約款案を公表し、意見募集を開始した。
今回の改定は、第3回オークション(2025年度)の結果や国の審議会での議論を踏まえたもので、長期エネルギー貯蔵システム(LDES)やLNG専焼火力の供給力提供開始期限を延長するほか、水素・アンモニア案件や蓄電池案件の参加要件、洋上風力の取り扱いなどを見直した。
これまでの実施から大きな変更点となるのが、各電源の供給力提供開始期限の延長だ。
供給力提供開始期限は、容量確保契約を締結した事業者が実際に運転を開始し、供給力を提供しなければならない期限を定めたもの。大型設備では建設や調達期間の長期化が進み、制度と実態との間にずれが生じていた。
長期エネルギー貯蔵システム(LDES)は、大型蓄電設備では設計・実証・建設まで長期間を要する案件も多いことを踏まえ、従来の4年から7年へ延長する。
LNG専焼火力は、2024~2025年度の8年から11年へ延長となる。環境アセスメントをすでに完了している、または不要な案件は7年とした。一方、太陽光(5年)、風力・地熱(8年)、水力(12年)、蓄電池(4年)、原子力(17年)の期限は変更しない。
2026年度オークションでは、脱炭素電源500万kW、LNG専焼火力600万kWを募集する。
脱炭素電源種別毎の募集上限は下記の通り。
・脱炭素火力:50万kW
・リチウムイオン蓄電池:40万kW
・非リチウムイオン蓄電池:40万kW
・揚水式水力・LDES:40万kW
・洋上風力:50万kW
・既設原子力の安全対策投資:150万kW
LNG専焼火力は制度開始当初、2023~2025年度の3年間限定で募集する予定だった。しかし、初回オークションで募集量の大半が落札されたことを受け、募集を継続する方針へ転換した。
広域機関の「将来の電力需給シナリオに関する検討会」では2040年の需要増加が見込まれており、LNG専焼火力の継続募集が必要と整理されている。
制度面では、水素・アンモニア案件に関する見直しも行う。
第4回オークションからは、水素社会推進法に基づく計画認定制度との整合を図るため、入札対象を「低炭素水素・アンモニア」に限定する。制度開始当初は市場形成の初期段階であることを踏まえ、「グレー水素・アンモニア」も対象としていたが、今回は対象外となる。
また、燃料サプライチェーンに関する事前審査を導入し、チェックリスト方式で適合性を確認する。さらに、水素・アンモニア、CCS、LNG専焼火力を対象とする案件では、2050年に向けた脱炭素化ロードマップの作成を求めることも明確化した。
洋上風力では、一定条件を満たす第2・第3ラウンドのゼロプレミアム案件について、長期脱炭素電源オークションへの参加を認める。これは、第1ラウンドの公募選定案件がすべて事業者撤退となるなど、洋上風力を取り巻く環境変化が変化したことが要因とみられる。一方で、プレミアム発生の可能性を完全に排除するため、公募占用計画における供給価格を0円/kWhへ変更するとともに、FIP制度の全支援期間にわたりバランシングコスト相当分のFIP交付金の受領を放棄することを条件とした。
蓄電池では、安全保障の観点を踏まえた見直しも実施する。第3回オークションで導入したセル製造国30%制限ルールに代わり、経済安全保障推進法に基づく供給確保計画の認定を受けたメーカー(株式・持分50%超の子会社・孫会社を含む)が製造したセルを使用するリチウムイオン蓄電池を優先的に約定する方針を盛り込んだ。
資本コストについては、応札価格に算入できる資本コスト上限を従来より0.5ポイント引き上げ、4.5%、5.5%、6.5%へ見直す。
LNG専焼火力ではLNG基地の整備の有無に応じた上限価格を設定するほか、一般水力・新設揚水・原子力については上限価格算定倍率を従来の1.5倍から2倍へ引き上げる。
制度適用期間は原則20年間としつつ、一般水力・新設揚水・原子力・LNG専焼火力は最長30年、それ以外の火力電源や蓄電池などは最長40年とする。
OCCTOは今後、8月3日まで意見を募集し、2027年1月に第4回長期脱炭素電源オークションを実施する予定だ。
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