2026年8月1日
経済産業省(東京都千代田区)は2026年7月21日、「電気事業法の一部を改正する法律案」が同年7月17日の参議院本会議で可決、成立したと発表した。
本改正法では、大規模送電線・大規模電源の整備の促進による供給力の確保や、電力の卸取引の活性化、太陽電池発電設備の安全性の向上などに関する措置が講じられている。一部の規定を除き、公布後9カ月以内(2026年度中)に施行される予定だ。
今回の法案は3つの柱で構成される。
1つ目の「大規模送電線・大規模電源の整備促進」では、経済産業大臣が一般送配電事業者などの地域内送電線などの整備計画や、大規模発電事業者の大規模電源の整備計画を認定し、電力広域的運営推進機関(電力広域機関)が財政投融資などを活用し、整備などに必要な資金の貸付けを行うことを設ける。また、大規模発電事業者が大規模電源を休廃止する際に、一般送配電事業者などと事前に協議を行うことを定める。
2つ目の「電気事業の安定的・持続的な発展のための環境整備」では、小売電気事業の登録の取消事由として、小売電気事業者が正当な理由がないのに、小売電気事業を一年以上引き続き休止したときなどを追加する。
また、卸電力取引所の多様化を踏まえて、現行の翌日市場(翌日の電力の取引を行う市場)に加えて、今後、安定供給の確保の観点で重要となる中長期市場(翌々日以降の将来の電力の取引を行う市場)や需給調整市場(需給バランスを一致させるために必要な電力(調整力)の取引を行う市場)を開設する各卸電力取引所を経済産業大臣が指定・監督できるものとする。
3つ目の柱である「太陽電池発電設備等の安全性の向上」では、再エネ設備を導入・運営する事業者にとって特に直接的な影響がある。近年、災害時の土砂流出や設備の破損といったメガソーラーをめぐるトラブルが各地で報告されており、2025年12月には政府の「メガソーラーに関する対策パッケージ」が取りまとめられていた。
今回の改正により、10kW以上の太陽電池発電設備について、土木建築の専門性を有する第三者機関(登録適合性確認機関)による工事前の構造に関する技術基準への適合性確認が義務化される。これにより、設計不備による事故の未然防止を図る。
また、設置者が事故調査を行う際、製造事業者、輸入販売事業者、工事業者といった関係事業者の協力を得られるよう措置を講じる。さらに、経済産業大臣による関係事業者への報告徴収や立入検査、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)による製造事業者等への立入検査を可能とする規定も盛り込まれた。
改正法の概要は以下の通り。
1.大規模送電線(地域内送電線・地域間送電線)の整備の促進など
・経済産業大臣が一般送配電事業者などの地域内送電線などの整備計画を認定し、電力広域的運営推進機関(電力広域機関)が整備などに必要な資金の貸付けを行う(財政投融資などを活用)。
・電力広域機関が行っている一般送配電事業者などに対する地域間送電線などの認定計画に基づく整備などに必要な資金の貸付けの原資を拡充し、財政投融資などを活用できるようにする(財政投融資などを活用)。
・広域での電力取引によって生じる資金(値差収益)を国庫納付することとし、電力広域機関への補助を通じた地域間・地域内送電線の整備などに活用する。値差収益は、卸電力取引所において電気を北海道・東京などの供給エリアを越えて売買するときに発生する差額をいう。
2.大規模電源の整備の促進
・経済産業大臣が大規模発電事業者の大規模電源の整備計画を認定し、電力広域機関が整備などに必要な資金の貸付けを行う(財政投融資などを活用)。
・大規模発電事業者が大規模電源を休廃止する際に、一般送配電事業者などと事前に協議を行うことを定める。
1.小売電気事業の事業環境整備
・小売電気事業の適正化のため、小売電気事業者の登録取消事由に一定期間の休止などを追加する。2.電力取引の促進
・現行の翌日市場などを開設する短期卸電力取引所に加えて、中長期市場などを開設する中長期卸電力取引所、需給調整市場などを開設する需給調整卸電力取引所について、経済産業大臣の指定などに関する規定を整備する。
1.太陽電池発電設備の設計不備による事故を防止するため、その支持物などについて第三者機関(登録適合性確認機関)による工事前の技術基準への適合性確認の対象とする。これにより強度などの構造の安全性を高める。
2.製品・施工不良など、設置者のみでは原因究明・再発防止などが困難な場合に、製造・輸入販売事業者、工事業者に必要な協力を求める措置を設ける。
ロシアのウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー安全保障の強化、および国内のDX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(グリーントランスフォーメーション)の進展による電力需要の増加に対応し、電力の安定供給を確保することを目的としている。
また近年、データセンターや半導体工場の新設ラッシュに伴い、国内の電力需要は増加傾向にある。同時に、国際的な燃料価格の変動リスクが高まる中、エネルギー安全保障の強化と脱炭素化の両立が喫緊の課題となっている。このような背景から、今回の法改正では、電力の安定供給体制の構築と、持続可能な電気事業の環境整備が図られた。
この改正法案の提出前には、自民党は3月23日に公式ウェブサイト上で「太陽光発電パネルの飛散により民家を破損するケースや、発電設備の中核であるPCS(パワーコンディショナー)が発火、下草等に引火して延焼を引き起こす等、大きな事故の発生も多数指摘されている」、「出力の小さい設備は設置者が自ら確認することが義務付けられているが、小規模事業者のうち、義務化された構造計画書の提出率は約7割にとどまっている」と指摘し、「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)の地域共生・規律強化に向けて法的規制の強化・適正化を求める」と主張している。
なお、太陽光発電設備の「支持物に関する基準」は改正法成立以前から既に存在しており、経産省の現行技術基準省令・解釈ではJIS C 8955に基づく荷重設計や、架台・基礎・接合部の安全確保が求められている。今後の第三者確認制度でも、こうした既存の国内基準群が中核になる可能性がある。
記事内容へ





2026.08.01
経済産業省(東京都千代田区)は2026年7月21日、「電気事業法の一部を改正する法律案」が同年7月17日の参議院本会議で可決、成立したと発表した。 本改正法では、大規模送電線・大規模電源の整備の促進による供給力の確保や、…続きを読む
2026.07.31
アストマックス(東京都品川区)は7月17日、長野県小諸市で開発を進める系統用蓄電池事業について、事業権利と事業用地をヒューリック(同・中央区)へ譲渡すると発表した。 今回、譲渡対象となった施設は、長野県小諸市で計画してい…続きを読む
2026.07.30
グリーングロース(東京都千代田区)は7月16日、かがし屋(福岡県うきは市)保有の高圧太陽光発電所に設置した蓄電池設備が本格運転を開始したことを明らかにした。同社はこの取り組みにおいて、設備導入から市場運用までを一貫支援し…続きを読む