2025年9月4日
日立製作所(東京都千代田区)、トクヤマ(同)、イトーキ(同・中央区)は9月1日、廃棄が課題となる太陽光パネルから板ガラスを回収し、オフィス家具の部材に再利用する実証を行ったと発表した。トクヤマの技術で太陽光パネルから高品質ガラスを回収し、日立の評価技術で劣化を確認することで粉砕せず再利用を実現。イトーキが会議ブースを試作し、CO2排出量を最大50%削減した。
寿命を迎えた太陽光パネルの大量廃棄が2030年代以降に見込まれる中、その約6割を占める板ガラスの再利用方法の構築は急務といえる。従来は粉砕して路盤材やガラス原料として活用する方法などが検討されてきたが、長期間の屋外使用で生じる「亀裂」や「アルカリ溶出」といった劣化の影響を評価せずに再利用することは、安全性や耐久性の面で課題となっていた。
こうした状況を受け、日立製作所・トクヤマ・イトーキの3社は2024年9月から共同研究を開始し、太陽光パネルから回収した板ガラスを粉砕せず家具部材に活用する実証を実施した。
今回、トクヤマが低温熱分解法で高品質な板ガラスを回収し、日立が非破壊強度推定技術により劣化の有無を検証。イトーキが回収ガラスを活かした会議ブースを試作した。回収したガラスの強度を推定し、合わせガラスに仕上げることで、オフィス家具部材として使用可能であることを確認。また、新規にガラスを製造する場合と比較し、CO2排出量を最大50%削減できると推算した。
3社は今後、オフィス家具のほか建材分野など多様な領域のパートナーと連携し、サプライチェーンの構築や事業モデルの検討、さらなる品質検証と評価技術の標準化を推進する。業界全体での協創や標準化を呼びかけることでリサイクルの社会実装を目指す。
今回の取り組みでは、それぞれが開発した技術やソリューションを集結し、太陽光パネルから回収した板ガラスを、安全かつ高品質なままで再利用することが実現した。
トクヤマは、使用済み太陽光パネルを構成する板ガラスやセル、インターコネクタを高品質に回収できる技術を独自の低温熱分解技術を用いて確立した。熱分解条件と処理工程を最適化することで、主な部材の原料化(水平リサイクル)する技術を活かし、板ガラスをそのまま製品化するための品質管理や処理工程に反映。より高品質な部材供給を可能にした。
日立は、ガラスの劣化要因である「亀裂」と「アルカリ溶出」の強度への影響を複合的に評価し、劣化要因を判別する画像処理と組み合わせることで、回収ガラスの強度を推定する技術を開発した。これにより、回収ガラスの安全性と耐久性を確保したアップサイクルが実現した。
イトーキが試作した会議ブースは、回収ガラスの微細な凹凸をそのまま活かし、視線を遮る意匠に取り込んだ。板厚が限定されサイズも不均一な回収ガラスを効率的に再利用する為、合わせガラス化で安全面へ配慮。ガラス面とスチール面を混合させて強度を保持したパネル構造で再設計したという。さらに、ソファ張地にはイトーキが取り組んできたアップサイクル素材も組み合わせるなど再生材への新たな価値の創造に取り組んだ。
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