2026年7月23日
大阪ガス(大阪府大阪市)と大阪ガスマーケティング(同)は7月10日、新築の太陽光発電設置住宅向けに家庭用蓄電池を電力取引市場で活用する新サービス「スマイ電池EX」の実現に向け、京セラ(京都府京都市)製家庭用蓄電システム「Enerezza(エネレッツァ)PlusⅡ」の販売を開始したと発表した。
同サービスは、住宅に設置した家庭用蓄電池を遠隔制御し、需給調整市場や容量市場などの電力取引市場へ調整力を供出する仕組み。新築の太陽光発電設置住宅を対象に、家庭用蓄電池を市場取引へ活用する取り組みとして日本初を掲げる。
「スマイ電池EX」は、家庭用蓄電池を遠隔で制御し、多数の住宅設備を束ねて一つの発電所のように機能させるアグリゲーション技術を活用したサービス。
各家庭の蓄電池を統合的に制御し、需給調整市場や容量市場へ調整力を提供。その対価として得られる市場収益の一部を利用者へ還元する仕組みを想定している。
利用者は通常時には太陽光発電の余剰電力を蓄電し、停電時には非常用電源として利用できる従来の機能に加え、蓄電池を市場取引へ活用することで新たな経済的メリットを得られる可能性がある。
近年は再エネ比率の上昇に伴い、天候によって変動する発電量を柔軟に調整できるリソースの重要性が高まっている。一方で、大規模蓄電池だけでなく家庭用蓄電池など分散型設備を活用する動きも広がっており、電力会社やアグリゲーターによるVPP(仮想発電所)の構築が進んでいる。今回の取り組みは、こうした市場環境の変化を背景に、新築住宅に設置される家庭用蓄電池をエネルギーマネジメントへ組み込み、住宅設備の付加価値向上につなげる狙いがある。
同サービスは早ければ2026年内に提供が開始される予定。
京セラの「Enerezza PlusⅡ」は、京セラ独自のクレイ型リチウムイオン蓄電池を採用し、高い安全性と長寿命を両立したことが特徴。約2万回の充放電サイクルに対応し、長期間にわたり性能を維持できるという。
LTE通信機能を標準搭載しており、家庭内の通信環境に依存せず遠隔制御やデータ取得が可能となる。各蓄電池を個別に制御・監視できるため、市場取引に必要な高精度な制御にも対応する。
加えて、太陽光発電設備との連携や停電時のバックアップ機能も備えており、平常時の自家消費拡大と災害時のレジリエンス向上を両立する仕様となっている。
政府は住宅分野の脱炭素化を進めるため、高断熱化や太陽光発電、蓄電池を組み合わせたGX ZEHの普及を後押ししている。こうした流れを受け、住宅に設置される蓄電池にも、非常用電源や自家消費設備としての役割に加え、電力系統を支える分散型エネルギーリソース(DER)としての機能が期待されている。
大阪ガスは、家庭用蓄電池を電力市場へ参加させることで、住宅そのものが電力システムを支える社会インフラとして新たな価値を創出していく。今後は住宅メーカーなどとの連携を進め、新築住宅への導入拡大を図る方針だ。
Daigasグループは長期経営ビジョン「エネルギートランジション2050」の下、2050年のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを進めている。蓄電池事業を再エネの導入拡大と電力系統の安定化を支える重要分野と位置付け、系統用蓄電池と再エネ併設型蓄電池を合わせて2030年度までに1,000MWの運用規模を目指す。今回の「スマイ電池EX」もその戦略の一環であり、家庭用の制御可能な蓄電池を拡大し、DER活用を通じて電力需給の安定化につなげるとしている。
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