2026年5月6日
農林水産省は4月15日、有識者会議(望ましい営農型太陽光発電に関する検討会)を開催し、営農型太陽光発電の制度見直し案を提示した。
営農型太陽光発電は、農地の上部空間に太陽光パネルを設置し、下部で営農を継続する仕組みで、これまで導入が拡大してきた。2023年度までに許可件数は6,137件、面積は1,361.6haに達する。一方で、営農に支障が生じている案件も24%に上り、単収減少や生育不良といった問題が顕在化している。こうした状況を踏まえ、同省は制度の見直しを進めている。
今回の見直しでは、「望ましい営農型太陽光発電」の姿を明確に定義した。営農の継続を大前提としつつ、発電はあくまで付加的な位置付けとする考え方を打ち出した。
要件としては、農作物の単収が地域平均と比べて「おおむね2割以上減少しないこと」が求められる。設備面では、「遮光率30%未満」「地上高約3m以上」「支柱間隔約4m以上」といった条件が示された。なお、遮光率の評価が困難な場合には、ほ場全体での日射量の減少を20%未満とする代替指標も設けられている。
営農者については、地域計画に位置付けられた担い手であることに加え、50万円以上の生産・販売実績を有するなど、持続的な農業経営が可能であることが条件となる。さらに、地域合意の形成や利益還元の実施、撤去費用の確保といった「地域共生」の観点も制度要件として明示された。
見直しのもう一つの柱は、不適切事案への対応強化だ。従来は年1回の書面確認や個別判断が中心だったが、今後は国も関与する監視体制へと移行する。
具体的には、国が都道府県と連携して行う現地調査の対象の下部農地面積を、4haから2haへと引き下げるとともに、作物の生育期間中の現地確認をルール化する。また、栽培実績データに加え、衛星データも活用し、不適切案件を把握する仕組みを導入する方針だ。
あわせて、勧告や命令に関する判断基準を国として明確化した。改善が見られない場合には再許可を認めない運用とし、固定価格買取制度(FIT)の支払い停止や設備撤去に至る可能性もある。
今回の見直しでは、農地法に基づく一時転用許可に加え、農山漁村再生可能エネルギー法に基づく設備整備計画の認定を組み合わせる仕組みが示された。
営農型太陽光発電について、同法に基づく認定を受けることを一時転用許可の条件と位置付けることで、地域との合意形成や利益還元といった観点を制度に組み込む狙いがある。
これにより、市町村が基本計画の策定や認定を通じて導入可否を判断する枠組みとなり、営農の適切性だけでなく、地域との共生や農業振興との整合性を含めた総合的な評価が行われることになる。
なお、既存事業者については直ちに新基準が適用されるわけではないが、再許可時には新たな考え方に基づく審査が行われる可能性があり、今後段階的に影響が及ぶことが想定される。
こうした規制強化に対しては、懸念の声も上がっている。自然エネルギー財団は3月5日、遮光率などの一律的な要件設定が、地域特性や技術革新に応じた柔軟な取り組みを制約する可能性を指摘した。
営農型太陽光は農業の収益確保や脱炭素の両立に資する手段であり、検討会においても、厳格な基準は必要としつつも、地域が適切と判断する多様な取り組みや新技術の導入を阻害しない仕組みが求められるとの意見が出ている。
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