2026年9月15日
損害保険ジャパン(東京都新宿区)は8月26日、ペロブスカイト太陽電池メーカー向けの新たな保険の提供を開始した。メーカーが顧客に対して製品の性能に関する保証制度を設ける際に負うリスクを補償する。
ペロブスカイト太陽電池の開発を牽引する積水化学工業(大阪府大阪市)および同社のグループ会社である積水ソーラーフィルム(同)と共同で開発し、積水ソーラーフィルムが同保険を採用した。
新保険は、メーカーが安心して製品保証を提供できるようにする仕組み。ペロブスカイト太陽電池の運用過程で、性能などをめぐってメーカーによる保証対応が必要となった場合、メーカー側に生じる費用損害を包括的に補償する。
メーカーの保証リスクを軽減し、導入企業や地方自治体が保証制度のある製品を選択できる環境の整備につなげる。
革新的な新技術は、リスク評価に必要な運用データが十分に蓄積されていないため、導入者とメーカーの双方がリスクを抱えやすい。導入者側には、長期間にわたって性能が維持されるか、万が一の場合に適切な保証を受けられるかといった懸念がある。一方、メーカー側には、保証対応に伴う費用負担が発生する可能性がある。
こうした課題を踏まえ、損保ジャパンは、積水化学工業、積水ソーラーフィルムとともに独自の評価方法を構築し、新たに保険を開発した。保険料や補償限度額、補償対象となる具体的な保証項目は明らかにしていない。
ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイトと呼ばれる結晶構造を持つ化合物を発電層に用いる、日本発の次世代型太陽電池。積水ソーラーフィルムが手がけるフィルム型は、シリコン系太陽電池と比べて薄くて軽く、曲げられるという特徴がある。
このため、耐荷重の制約から従来型の太陽光パネルを設置しにくかったビルの壁面や工場の屋根のほか、窓や曲面などへの導入が期待されている。
主要原料の一つであるヨウ素は、日本が世界有数の生産シェアを持つことから、国内でサプライチェーンを構築できる次世代エネルギー技術としても注目されている。
積水化学工業は3月27日、フィルム型ペロブスカイト太陽電池の製品設計・製造・販売を担う積水ソーラーフィルムとともに開発してきた「SOLAFIL」の本格的な事業化を開始したと発表した。2026年度は既存設備を使って限定的に生産・供給していく。また、2027年度に100MW規模の生産ラインを立ち上げる計画を発表しており、現在、大阪府堺市に量産工場を建設中だ。
同社はこの事業化において、環境省の2025年度公募「ペロブスカイト太陽電池の社会実装モデルの創出に向けた導入支援事業」で採択された福岡市および滋賀県のほか、さいたま市、西日本高速道路(NEXCO西日本)の4者へ製品を供給する。同事業の2026年度公募では、福岡県北九州市がPPAモデルで同社のペロブスカイト太陽電池を導入する。また、東京都の「都有施設へのAirソーラー先行導入事業」にも参画。晴海客船ターミナルに国内最大規模となる50kW程度を設置する。
政府は「次世代型太陽電池戦略」において、2030年までのできるだけ早い時期にGW級の生産体制を構築し、2040年までに約20GWを導入する目標を掲げる。損保ジャパンは、新保険の提供で得た知見を活用し、技術革新や多様な設置ニーズに対応する保険商品・サービスの開発を進める。
損保ジャパンは、同保険を通じてメーカーの保証制度を支援し、企業や地方自治体が次世代太陽電池などの革新的な新技術に投資できる環境を整備することで社会実装につなげていく考え。
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