2026年6月28日
クラダシ(東京都品川区)は6月24日、辻・本郷スマートアセット(同・渋谷区)と、系統用蓄電所開発事業に関する匿名組合契約を締結したと発表した。
2025年11月に公表した両社による合弁事業を具体化するもので、まず国内3案件の事業化に着手する。
今回の契約により、両社が共同設立した合同会社「クラダシ・インベストメント」(東京都品川区)を事業主体として、系統用蓄電所の開発・運用業務を行う。
事業スキームには、合同会社(GK)と匿名組合(TK)を組み合わせた「GK-TKスキーム」を採用した。クラダシ・インベストメントがAM契約に基づき各蓄電所の開発・運営実務を担い、辻・本郷スマートアセットが匿名組合員として出資および収益配分を受ける。
合同会社の出資比率は、クラダシが51%、辻・本郷スマートアセットが49%。蓄電所の建設・施工(EPC)はYKエンジニアリング(東京都新宿区)との連携を予定している。
クラダシは、自社運営によるノウハウ蓄積とファンド形式による資金レバレッジを組み合わせることで、単独投資を上回るスピードで蓄電所ポートフォリオの拡大を目指す。
対象となる系統用蓄電所は「埼玉県蓄電所」「岐阜県蓄電所」「熊本県蓄電所」の3案件。いずれも出力2MW・容量8MWhの案件で、合計出力は6MW・合計容量は24MWhとなる。
埼玉県と岐阜県の案件については、それぞれ2026年10月および11月の受電を予定しており、熊本の案件は2027年5月の受電を見込む。3案件を順次稼働させ、早期の収益化につなげる考えだ。
両社は2025年11月、系統用蓄電所の共同開発・運用を目的とした合弁事業の実施に向けて基本合意した。
当時の発表では、2年以内に5件以上の系統用蓄電所を共同開発・運用する方針を掲げたほか、蓄電所投資ファンド組成についても検討するとしていた。
今回の匿名組合契約は、その基本合意を具体的な事業として実行に移すものであり、共同事業スキームが本格的に始動した格好だ。
クラダシは、賞味期限が近い食品や規格外品などを販売するソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」の運営を主力事業とする。一方で近年は、新たな収益基盤の構築に向けて再エネ関連事業への投資を進めている。
2026年2月には、系統用蓄電所開発を手がける合同会社への匿名組合出資を実施した。同社によると、すでに自社による系統用蓄電所の運営も開始しており、開発案件への投資と運営の両面から事業拡大を図っている。
今回の案件は、こうした蓄電池事業への取り組みをさらに前進させるものとなる。今後は辻・本郷スマートアセットとの連携を通じてポートフォリオの拡大を図るとしている。
辻・本郷スマートアセットは、再エネ発電所事業を主力事業の一つに位置付け、太陽光発電所の開発・運営やアセットマネジメントを展開している。あわせて、自家消費型太陽光発電システムの導入支援や家庭用蓄電池「Tesla Powerwall(テスラ・パワーウォール)」の販売・施工にも取り組み、法人・個人向けの再エネソリューションを提供する。
近年は系統用蓄電所分野にも事業領域を広げており、再エネ関連事業で培った知見を生かしながら蓄電池事業の拡大を進めている。
系統用蓄電所は送配電網に直接接続し、電力需給に応じて充放電を行う設備だ。再エネの導入拡大に伴い、出力変動への対応や需給バランスの調整を担うインフラとして重要性が高まっている。
同蓄電所を巡っては、再エネ導入量の増加を背景に事業開発が全国で活発化。需給調整市場や容量市場、卸電力市場など複数の収益機会が期待されることから、電力会社や再エネ事業者に加え、金融機関や異業種企業の参入が相次いでいる。
一方で、系統接続の混雑や設備価格の変動、収益予測の不確実性といった課題も残る。このため、開発事業者と投資家が連携するGK-TKスキームやファンドを活用した資金調達の重要性が高まっている。
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