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国産パネルメーカーの社長が語る、PPAモデルで始める自家消費型太陽光発電

2022年7月20日

2012年の創業以来、産業用発電設備に特化してきた太陽光発電事業者である第二電力。同社は第三者所有型モデルで1,800件を超える施工実績を持ち、日本の再エネ普及の一翼を担ってきた。2018年からは、国内唯一の太陽光パネルメーカーであり、蓄電池などの開発製造販売も手がける長州産業のグループに加わった。2050年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、PPA事業者として、パネルメーカーグループの一員として、同社がどのような価値を創出していくのか、取り組みと合わせて聞いた。

2つのPPAサービスモデル

2022年2月15日、第二電力はセブン&アイグループの食品メーカーであるアイワイフーズへ太陽光発電設備を設置し、発電を開始したことを発表した。本社社屋の屋根上に太陽光発電機を設置する、いわゆる「オンサイト(屋根上・敷地内)PPA」だ。同設備の導入で、アイワイフーズでは電気コストの削減に加え、年間142.8tのCO2削減効果を見込んでいる。

「私たちはオンサイトPPAに特化して、長年活動してきました。このモデルのメリットとしては『初期費用がかからない』『再エネ賦課金を削減し電気代のメリットを出せる』といった点はもちろん、『CO2排出量の削減になる』という点がやはり大きく、脱炭素経営の手法として注目されています」こう語るのは長州産業社長 兼 第二電力社長の岡本 普氏だ。

第二電力が提案するオンサイトPPAとは、電力の使用者(需要家)が、電気を売る電力事業者(PPA事業者、この場合の第二電力)に敷地や屋根を提供し、電力事業者は発電システムなどの必要設備の無償設置と保守・運用を行うというものだ。発電した電力は需要家が使用し、その使用料を発電事業者に支払うことになる。

オンサイトPPAは非常時に電源として利用できるなどメリットも多く、日本国内に広まりつつある一方で、その事業モデル上、事業者は20年という長い期間、活動し続けることが求められている。

「第二電力は国内唯一の太陽光パネルメーカーである長州産業のグループ企業として、メイドインジャパンクオリティで25年出力保証の太陽光パネルと発電後のアフターサービスを提供しています」(岡本氏)

同社のように、メーカーが事業そのものを支えるという構造は、需要家にとって大きな安心につながるといえる。

さらに同社は、オンサイトと比較すると託送(送電)コストがかかるものの、電源から離れた需要家を繋ぐ「オフサイト」PPAの取り組みを始めた。

「オフサイトPPAは託送料や賦課金がかかるものの、発電設備と需要家を電力網で繋げて飛躍的に太陽光発電システムの普及を伸ばしていけるポテンシャルがあります。いわば究極的な手段であるオフサイトPPAの本格的な導入を目指して、すでに電力会社等と協業を開始しています」(岡本氏)

2030年へ向け、生産能力の強化

1980年、第二次石油ショックの翌年に、山口で太陽熱温水器のメーカーとして誕生した長州産業。現在は、住宅エネルギー機器、真空プロセス装置・サービスなどを提供する総合エネルギー機器メーカーへと成長している。

太陽光発電システム事業の本格的な開始は1999年。当初、太陽電池セルの原料となるウェハーからモジュールまで国内一貫生産体制を構築し、現在は日本唯一の太陽光パネルメーカーとして山口県の本社工場をはじめ、広島県、福岡県などにも工場を持つ。第二電力をグループ化したのは2018年。

「長州産業では基本的に住宅向けの販売モデルを展開してきました。産業用の本格的な事業化を考えていた矢先に第二電力とのご縁をいただきました。PPAモデルに強みを持ち、屋根上の設置に特化する同社は、長州産業の事業モデルを補完して成長できると考え、グループ化を決めました」

日本では現在、2050年のカーボンニュートラル宣言の実現を目指し、2030年の46%削減目標に向けた動きが活発化している。長州産業としては、日本での太陽光パネルの生産を強化すると共に、太陽光発電の導入パターンを多様化し普及の裾野を広げていきたいと、岡本氏は述べる。

「2030年に向け、長州産業グループとしてギガワットレベルでの導入に貢献していくためには、生産能力の拡大は重要です。また、需要家にメリットのあるPPAモデルで、現在活用されていない工場の屋根や電力使用が少ない所でも上手く発電に使っていくことが重要と考えています。2030年の削減目標に、我々としても実質的に意味あるレベルのボリューム感で応えていきたいと思っています」

変わる脱炭素への意識

経済・社会における脱炭素の意識は年々強まり、環境対応をしっかり行わなければ、経営上の負担にもなりかねない。例えば製造業でいえば、製品のライフサイクルアセスメントで考えたとき、サプライチェーン全体でCO2削減の対応ができていないと、マーケットの反応もシビアになる。また、昨今の電力コスト高騰や電力不足による停電といったエネルギーリスクへの対応策も急務と言える。脱炭素への取り組みが、業績や株価への影響というかたちで現れることが、現実として起こっている。

「私たちはオンサイト/オフサイトPPAを通じて、あらゆる企業様の脱炭素経営のお役に立っていきたい。国産メーカーである長州産業が提供するメイドインジャパンの品質はもちろんですが、綿密なシミュレーションを重ねたうえで行う適切な設備設計と、発電量が94%を下回る場合は電気代を補填する『最低発電量保証』も、私たちの特長といえます」

そのほか、契約期間中の定期メンテナンスや設備の遠隔監視で必要に応じたメンテナンスにも対応するなど、需要家の安心面に応えるサービスを展開する。自社工場を持ち、太陽電池セルの研究からモジュール組み立てまで一貫して行う長州産業をバックボーンにしているため、万が一の不具合や部品交換が必要となった場合にも、素早く丁寧な対応が可能だ。

「20年間の確実な保証が必要なPPA事業において、第二電力は長州産業の品質や生産体制が下支えする安心・安全なPPAモデルを展開しています。こうしたグループ一体の取り組みを多くの企業様に知っていただき、ご利用をいただくことで、脱炭素社会の実現に大いに貢献していきたい」岡本氏は力強く語った。

 

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