2026年6月11日
東海旅客鉄道(JR東海/愛知県名古屋市)は6月3日、愛知県小牧市の小牧研究施設内に蓄電システムを設置し、需給調整市場を通じて電力系統に調整力を提供すると発表した。
蓄電池の出力は2MW、容量は6.7MWh。2026年度に着工し、2028年度の運用開始を目指す。再エネの拡大に貢献するため、受変電設備など既存の鉄道アセットを活用し、電力の安定供給に必要な調整力を提供する蓄電システムを初めて設置する。
このシステムは、リチウムイオン蓄電池・制御装置などで構成され、小牧研究施設の受変電設備を通じて電力系統に接続する。需給調整市場を通じて、このシステムによる調整力を提供し、需給バランスの調整が必要な場合に、このシステムが充電/放電を行う。
今回の取り組みは、実質的には系統用蓄電池事業への参入とみられる。現時点で蓄電池システムのメーカーは公表されていない。
政府の掲げる「2050年カーボンニュートラル」に向けて、太陽光発電や風力発電などの再エネが拡大しつつあるが、再エネの出力は気象条件などにより大きく変動するため、電力の安定供給に必要な需給バランスの調整力として蓄電システムなどの普及が期待されている。
JR東海は、このシステムの検討・運用を通じて得られる知見を活かし、今後もカーボンニュートラルへのさらなる貢献を目指していく。
これまで、鉄道事業では、電車のブレーキ時に発生する回生電力の活用や、駅や鉄道施設の使用電力削減に向けた取り組みで、蓄電池が活用されてきた。
系統用蓄電池関連では、東日本旅客鉄道(JR東日本/東京都渋谷区)など9社が2025年3月、北海道札幌市に「北海道札幌蓄電所」(出力10MW、容量30MWh)を新設し、系統用蓄電池事業を展開することを発表している。稼働開始は2027年4月の予定。JR東日本は電力取引結果の管理を担う。この事業では国の補助金を活用している。
鉄道事業者関連では、東急パワーサプライ(同・世田谷区)が4月、「創エネ」「蓄エネ」のさらなる拡大を目指し、系統用蓄電所事業に参入すると発表している。同社は、再エネ100%電力による東急電鉄(同・渋谷区)の東急世田谷線の運行サポートをはじめ、東急線沿線を中心として「脱炭素・循環型社会」に向けた取り組みを展開している。
また、東急(同)は、東京都の系統用大規模蓄電池導入支援事業に採択され、2027年度までの稼働開始を目指す総開発規模46MW/184MWhの系統用蓄電所事業を推進している。この事業では、東急と東急パワーサプライの両社がそれぞれ投資を行う予定。
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