2025年5月8日
長岡技術科学大学発のスタートアップ・パンタレイ(新潟県長岡市)は4月24日、風力発電の新技術である「縦型リニアドライブ風車」の実証実験を長岡市寺泊水族博物館(同)にて開始した。世界5カ国の特許を取得した低騒音・高トルクを実現する技術で、都市部の商業施設やビルの屋上、住宅地などへの設置を想定した「地産地消型」の新しい風力発電システムの社会実装に向けて評価を行う。
同社が開発した「縦型リニアドライブ風車」は、従来の風車とは全く異なる原理で回転し発電を行う。
円柱状のプロペラと、その後流に設置されたリング状の平板により3次元構造の縦渦を発生させ、前方の空気を強力に吸い込む事で回転力を得る。この構造により、極めて低い低騒音を実現しながらも、高トルクを発生させることができるという。また、強風や突風に強く、台風並みの風速20mでも安定した回転を保ち、理論上は70mまで回転可能だ。技術的にはシンプルであるため、高強度の装置を安価に製造出来るという特長ももつ。
実証の地に選んだ長岡市寺泊水族博物館は、日本海に面しており、冬場は厳しい高風速の環境。今回この環境のもと、安心安全に発電可能であることを実証し、長時間の可動で部品の脱落、共振の有無、異常な発熱、温度安定性、及び安定した風力発電の取り出し能力を社会実装に向けて評価する。
同社は、2050年までに世界全体発電量のうち風力発電が占める割合が25%となると予測されている一方で、日本の風力発電の導入はいまだ数%と遅れが顕著であると指摘。国内における風力発電の潜在的需要は高いが、従来型の風車は、強風や突風に弱く、発電の際に生じる騒音が住民問題を起こすなど様々な技術的な課題があり、普及の障壁となっていると分析する。
今回、同社が実証を開始した「縦型リニアドライブ風車」は、強風や突風に強く、また低騒音が特徴で都市部や住宅地などへの設置も可能としており、一基あたりの発電量は小規模ながら、普及が進めば将来的に重要なエネルギー源となる可能性があるとみている。
パンタレイは、長岡技術科学大学発のスタートアップベンチャー企業。レオロジー(流動学)の技術を基軸に、革新的なテクノロジーの開発を進める。再生エネルギーの問題解決に向け開発した「縦型リニアドライブ風車」は、すでに日本、アメリカ、ドイツ、イギリス、オーストラリアの5カ国で特許を取得している。
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