2026年3月21日
環境省は3月17日、市場連動型電気料金プランやEVなどを活用した上げDRの実証を実施したと発表した。
再エネ導入の拡大により生じる昼間の余剰電力を有効に活用し、脱炭素につながるライフスタイル転換を促進することを目的とした実証で、自動制御による上げDR効果の安定的な発現や、EV・エコキュートの複数制御による電気代削減効果の向上を確認した。今回の結果を踏まえ、上げDRの社会実装に向けた検討を進める。
この実証事業は、2050年ネットゼロの実現に向けて推進している「デコ活」(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動)の一環として、Looop(東京都台東区)、ボストン コンサルティング グループ(同・中央区)とともに実施したもの。
上げDRとは、太陽光発電の増加で電気が余る昼間などに電気の消費を促して需要を増やす取り組みのこと。今回、アプリを通じてDR行動のレコメンドやインセンティブ提供を行う行動変容型DRと、EV・エコキュートを自動制御する機器制御型DRの2つの実証を行った。
行動変容型DRでは、レコメンドを提供したグループにおいて上げDRの傾向が確認された。機器制御型DRでは、市場価格が安い時間帯に自動制御を実施した結果、自動制御による上げDR効果が安定して発現することが確認された。
環境省とLooopが2つの実証内容と結果について報告している。概要は以下の通り。
Looopの市場連動型電気料金プランの契約者に対し、アプリを通じてユーザー特性に応じたDR行動のレコメンドやインセンティブ提供を行い、DR量の定量的評価とユーザーの受容性と行動変容の実態把握を行った。
実証期間中、行動変容型DRに参加した利用者群において、DRが観測された日数について着目すると、レコメンドを提供したグループにおいて上げDRの傾向が確認され、過半数の参加者がDR行動をとったことが確認された。この結果は、レコメンデーションにより継続して行動変容を実施するハードルを低減する効果があることを示唆している。
ユーザーの受容性と行動変容の実態把握では、DR行動の促進要因としては、「稼働時間帯をシフト可能な設備の保有」「家庭内の協力」などが挙げられた。DR行動を実施できなかった理由としては「昼間の外出」「稼働時間帯をシフト可能な設備をあまり保有していない」などが挙げられた。
また、インセンティブを提供したグループでは、推奨されるタスクを参加者に提示し、達成量が多いほどランクが上昇するインセンティブプログラムを提供した。このグループにおけるDR量は、一般的なDRグループとレコメンデーション提供グループよりも少ない結果となった。しかし、アプリログイン頻度、再エネ余剰に対する認知と参加意欲が比較的高かったことから、インセンティブの提供が関心の醸成に寄与し得ることが示唆された。
Looopは今後、個別最適化された行動提案、効果の見える化と次アクション提示、予約運転・自動制御などを組み合わせ、上げDRの安定性・再現性を高める設計が重要だとしている。
・期間:2025年10月30日~同年11月19日
・サンプル数:約9,000世帯(一般的なDRグループ、レコメンデーション提供グループ、インセンティブプログラム提供グループの3群を用意し、それぞれ約3,000世帯を割り当て)
Looopの市場連動型電気料金プランの契約者で、対象のEVとエコキュートを有する需要家を対象に、電気代が安い時間帯にEVプラグインを促すメッセージを送信する「EVレコメンド」と、電気代が安い時間帯にEV充電とエコキュート沸き上げの自動制御を実施。電気削除効果とDR量の変化の検証と、ユーザーの受容性と行動変容の実態把握を行った。
EVとエコキュートの複数機器制御においては、エコキュートでは自宅の太陽光発電余剰電力を優先的に利用する制御ロジック、複数機器で大量に電気を使うことで契約電力(ピーク)を超過しないようにする制御ロジック(ピークカット)を組み込んだ。
市場価格が安い時間帯に自動制御を実施した結果、自動制御による上げDR効果が安定して発現することが確認された。また、EVとエコキュートの複数機器制御とEV単独制御を比較した際に、相対的に電気代削減効果とDRの絶対量が増加することも確認された。
一方で、電気代の安い時間にEV充電を促すレコメンドによる電気代削減効果とDR量の定量的な差は確認されなかった。しかし、レコメンドを参考にする旨の意見も多くみられ、一定の行動変容を促す結果となった。
ユーザーの受容性については、実証期間中、EVの充電制御・エコキュート沸き上げ制御ともに、手動での充電や沸き上げをほとんど使用せず自動制御を利用しており、肯定的な評価も多かったことから、一定の受容性を確認できた。
また、EV制御においては特に追加機器なしで、エコキュート制御においてもHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)と無線通信用の機器を追加することで、多くの需要家が昼の再エネ余剰にあわせた自動制御実証を利用できることを確認した。
・期間:
機器制御型DR(EV制御)2025年10月1日~2026年1月31日
機器制御型DR(エコキュート制御) 2026年11月1日~同年12月25日
・サンプル数:124世帯(内訳)複数機器制御10名(※)、EV単独制御52名(※)、エコキュート単独制御62名
※「EVレコメンド」施策を、EV単独制御の実証参加者には約半数に、複数機器制御の実証参加者には全員に実施
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