2026年6月8日
伊藤忠エネクス(東京都千代田区)は5月29日、大分県日出町で計画されている系統用蓄電池事業に参画すると発表した。
同社は本事業を推進する特別目的会社(SPC)に対し、国内企業3社と共同で匿名組合出資を行う。再エネの導入拡大に伴って高まる調整力需要への対応を図るとともに、電力系統の安定化に貢献する。
事業の対象となる蓄電池設備は、定格出力51MW・定格容量204MWhの特別高圧系統用蓄電所。九州エリアにおける大型案件のひとつで、2028年9月の運転開始を予定している。SPCでは、あおぞら銀行(東京都千代田区)をアレンジャーとするプロジェクトファイナンスを組成しており、事業キャッシュフローを返済原資とするノンリコース型の資金調達スキームを採用する。
九州エリアは全国有数の太陽光発電導入地域として知られ、再エネ比率の上昇に伴う出力制御や需給調整への対応が強く求められるエリアだが、再エネの有効活用や電力系統の安定化を支える重要なインフラとして系統用蓄電池への期待は一層高まっている。
発電設備に併設される蓄電池とは異なり、送配電網に直接接続される系統用蓄電池は、電力価格の変動に応じた充放電や需給調整市場への参加を通じて収益を確保するとともに、周波数調整や需給逼迫時の電力供給など、多面的な役割を担う。
上記のような背景もあり、容量市場や需給調整市場、卸電力市場といった新たな収益機会も整備され、国内の系統用蓄電池市場はここ数年で急速に拡大中だ。商社やエネルギー事業者、金融機関、インフラファンドなど幅広いプレーヤーが参入している。
伊藤忠グループも蓄電池事業を重点分野のひとつに位置付けており、伊藤忠商事は2023年に東京都と連携して日本初となる系統用蓄電池専業ファンドを立ち上げたほか、その後も運用規模の拡大を進めている。系統用蓄電所への投資を通じて、再エネ導入拡大と電力系統の安定化を後押しする考えだ。
また、伊藤忠商事はAIを活用した蓄電池運用技術の開発や蓄電システム事業にも注力しており、全国で系統用蓄電池プロジェクトへの参画を進めている。6月には福岡県筑前町における系統用蓄電所事業の共同推進も発表しており、蓄電池を活用した電力調整力ビジネスの拡大を加速している。
伊藤忠エネクスは、LPガスや石油製品販売を中心とした従来事業に加え、近年は再エネやPPA、蓄電池など脱炭素関連事業を強化している。自家消費型太陽光発電サービスや再エネ電力供給サービスの展開を進めるほか、企業の脱炭素経営を支援するソリューション提供にも力を入れている。
今回の出資参画もその一環と位置付けられる。再エネの普及が進むほど、発電量の変動を吸収する調整力の価値は高まる。系統用蓄電池は脱炭素社会を支える基盤インフラとして注目されており、伊藤忠エネクスは本事業を通じてエネルギー供給の安定化とカーボンニュートラル実現への貢献を目指す。
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