2025年4月25日
高機能で脱炭素など環境にも配慮した素材の研究や開発、販売が大手だけでなく、中小企業にも広がってきた。次世代の機能性フィルムやプラスチック、セルロース、炭素繊維複合材など様々な素材があり、再生可能エネルギー、半導体、IT、医療、航空宇宙など最先端産業での需要創出を模索する。素材関連業界の行政の政策や産業の動向をまとめた。
経済産業省は2022年、「新・素材産業ビジョン」という素材産業に関する戦略の方向性(中間整理)をまとめた。政府はこのビジョンに基づき、現在も政策を進めている。
1)ビジネスイノベーションの促進
2)グリーンマテリアル産業への転換
3)サプライチェーンにおける業界間連携
という3項目を柱とし、脱炭素につながる高機能素材の開発と用途開拓、需要創出に向けた体制作りを急いでいる。
三菱ケミカル・旭化成・住友化学という化学大手企業の社長が2025年の展望と戦略を日刊工業新聞「ニュースイッチ」で語っている。炭素繊維複合材、半導体向け、医療など、各社に共通するのは、まさに高機能で多用途の素材開発だ。
静岡県と同県富士市が2024年10月24日~25日に開催した「ふじのくにセルロース循環経済国際展示会」では、植物由来の成分であるセルロースを新たな素材として製品開発に活用に向けた技術などが展示された。セルロース事業が広がれば、高機能素材の裾野は大きく広がることになる。
日本国内では、「ペロブスカイト」などの薄型太陽光開発競争が激化している。国内メーカーでは、25年に量産化を目指す積水化学工業をはじめ、カネカ、東芝、パナソニック、エネコートテクノロジーズ、アイシンなどが製品開発を取り組んでいる。こうした次世代太陽光に関する素材開発の需要は高く、今後の日本の産業にとっても極めて重要だ。
パナソニックホールディングスは、植物由来のセルロースファイバーを高濃度に海洋生分解性の植物由来樹脂等に混ぜ、海洋環境で完全生分解性をもつ成形材料を開発した。2027年に海洋生分解性ペレットの販売を開始する予定という。家電や自動車、衣料品、日用品など幅広い用途が見込まれ、環境配慮と高機能を両立した製品に成長する可能性がありそうだ。
東北大学と住友ベークライトは、「次世代半導体向け素材・プロセス共創研究所」を東北大青葉山キャンパス内に設置した。研究所の名称は「住友ベークライト×東北大学 次世代半導体向け素材・プロセス共創研究所」で、設置期間は2025年1月1日~2028年3月31日。パワーモジュール、パワーデバイス、AI関連デバイスに関する高機能素材・プロセス・評価技術の創出を目指す。開発力、研究力が高い企業や研究機関同士の連携は、今後日本の素材産業が世界で生き残る上でも極めて重要になる。
機能性フィルムやプラスチック、セルロース、炭素繊維複合材、金属・セラミックスなどの最先端の素材技術をもつ企業が多数出展する西日本最大規模の展示会「高機能素材 Week[大阪]」が2025年5月14~16日にインテックス大阪で開かれる。材料だけではなく、材料の製造加工機械、検査測定分析機器など素材産業に関わる企業も多く、今後の素材開発・研究の推進につながる機会となる。
日本は長らく化学、繊維などを中心に素材系産業が強く、「お家芸」と言える得意分野だった。だが、デジタル化や気候変動、少子化、中国をはじめとする新興国の急速な技術の進化などの影響で時代が大きく変わり、高機能で環境配慮型、かつ多様な用途で使用可能な素材開発が不可欠になった。各企業や研究機関は競争・競合するだけでなく、様々な分野の企業などと連携・協力して最先端素材の開発や販売、需要創出に動き、時代に合わせて進化ことが必要である。
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