2025年8月27日
三菱電機(東京都千代田区)は8月21日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の宇宙戦略基金事業で、低軌道衛星向けの国産太陽電池セルや放射線から守るカバーガラス、それらに適合する太陽電池アレイの開発が採択されたと発表した。同社は代表機関として国内サプライヤーと連携し、国内一貫生産体制を構築することで、宇宙用太陽電池部品の低価格化と供給力強化、衛星サプライチェーンの強化を目指す。
特に重要な部品である太陽電池セルの開発では、次世代太陽電池を開発するスタートアップ・PXP(神奈川県相模原市)と連携する。PXPの高度な太陽電池セル製造技術と、三菱電機の多岐にわたる衛星システムの開発・製造技術を組み合わせることで、宇宙空間においても高い信頼性と変換効率を維持できる太陽電池セルの、低価格化・量産化実現に向けた開発に取り組む。
具体的には、太陽電池セルの光電変換素子に、製造コストを抑制しやすいペロブスカイト構造と、高い放射線耐性を持つCIGSを採用し、宇宙空間においても高い変換効率を維持できる、価格かつ量産可能な太陽電池セルの開発に取り組む。
ペロブスカイト太陽電池セルとCIGS太陽電池セルを組み合わせた、ペロブスカイト/CIGSタンデム太陽電池セルは、従来品と同等の変換効率を持ち、従来品よりも宇宙放射線への耐性が高いため、変換効率の劣化を回避し、効率を維持できると期待されている。また、ペロブスカイト太陽電池セル、CIGS太陽電池セルは、それぞれ従来品と比較して容易に製造できる点から、低価格化、量産化に適している。
今回、JAXAが実施する宇宙戦略基金第1期の公募テーマの一つである「衛星サプライチェーン構築のための衛星部品・コンポーネントの開発・実証」(分野:衛星等)において、三菱電機を代表機関とする、技術開発課題「国産太陽電池セル・カバーガラスおよび搭載アレイの開発」が採択された。
近年、地球の低軌道に多数の小型衛星を配置し、連携して機能させるシステム「低軌道衛星コンステレーション」をはじめとした衛星市場が拡大している。これに伴い、衛星に搭載される宇宙用太陽電池セルと、宇宙放射線から太陽電池セルを守るカバーガラスの需要が増加し、世界的な供給不足による価格高騰・長納期化が課題となっている。また、宇宙用太陽電池は海外に大きく依存している。
PXPは、極薄金属箔を基板に曲がる太陽電池のセルをつなげる技術などを用いて、超軽量薄膜太陽電池セルを開発している。太陽電池セルの材料として使用されるペロブスカイト構造や、銅・インジウム・ガリウム・セレンを主成分とする化合物半導体材料CIGSの研究開発を手がけている。
PXPは、2024年1月には「曲がる太陽電池」を搭載した電気自動車(EV)を作製し、「第16回オートモーティブワールド」に出展している。また、2025年7月に、サントリーホールディングス(大阪府大阪市)と、カルコパイライト太陽電池で稼働する自動販売機の実証実験を開始することを発表している。
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