2025年8月26日
製品評価技術基盤機構(NITE)は8月20日、台風による太陽電池発電設備の電気事故に関する注意喚起を行った。立ち入り検査で確認した事例や地形によって被害傾向が異なる調査結果を踏まえ、事故リスク低減に向け、台風の接近前・通過後に確認すべき対策ポイントをとりまとめ公表した。
NITEは、2019年度から2024年度に発生した台風による太陽電池発電設備の事故原因を、事業場の地形に着目し調査した結果、地形によって被害傾向が異なることが判明した。たとえば、平地などの風通しのよい地形では太陽電池パネル飛散などの強風被害が発生し、河川付近では河川氾濫によるパワコンの水没などの被害があるという。
また、立入検査では、太陽電池パネルの固定金具の緩みなど、台風により電気事故に至るリスクのある事例を確認しており、中には、架台を固定する杭が必要な深さより数十cm以上埋まっておらず杭のスクリュー部が地面から突出しているケースもあり、強風によって引き抜ける可能性を指摘している。
屋外に設置される太陽電池発電設備は、強風や豪雨の影響を受けやすく、破損や水没により、感電または物損による死傷事故・破損事故・物損事故・波及事故などのリスクが高まるため、NITEは、電気主任技術者などの管理・設置者に対し、継続的な安全対策の実施を呼びかけている。
今回、NITEでは電気工作物の事故情報データベースを用いて、自家用電気工作物を対象に、太陽電池発電設備の台風被害について、地形に焦点を当てて分析した。各地形に当てはまる場合には、事故が起きるリスクが高いため、特に注意が必要となる。
台風事故リスクを低減させるため、気象情報の収集や連絡体制の整備、設備の点検実施など、さまざま観点で対策となる。台風接近前の対策と台風通過後の対応ポイントは以下の通り。
気象情報の確認
・気象庁・自治体・防災機関などから最新の気象情報を入手し、現地の状況を把握
連絡体制の整備・確認
・災害時の緊急連絡体制を事前に整備
・非常時における設備の運用方法などを事前に定める
排水経路の確認
・大雨被害が想定される場合、構内と周辺の側溝や排水口の掃除を行い、落ち葉や土砂などを除去して水はけを確保。電気設備の水没、浸水や土砂流出などのリスクを低減へ
土砂流出・地盤崩壊リスクの確認
・「発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令」の第5条による「支持物を土地に自立して施設する場合には、施設による土砂流出又は地盤の崩壊を防止する措置」を講ずる
・電気設備の周辺にある崖や法面が豪雨によって土砂流出する恐れがある場合は、補強工事や防護壁の設置、追加の排水ルートの確保などを検討する。崩壊の兆候が見られる場合には、土地所有者・管理者・自治体へ通報
設備の固定状況の点検
・強風被害が想定される場合、太陽電池パネルの固定金具や、架台接合部のボルトが緩んでいないか、点検する。また、架台を固定する杭などがきちんと埋まっているかについても点検
設備の破損状況の点検
・太陽電池パネル・架台・PCS・受変電設備など、屋外の電気設備に破損や部品の外れがないか確認
設備の飛散対策
・屋外に飛散が懸念される設備・部品・資材などがないか確認し、屋内への移動や撤去、移動できない場合は固定するなどの飛散防止措置を行う
安全確認
・設備点検前には、感電や土砂崩れなどの危険がないかを確認する
・点検作業は、電気主任技術者など太陽電池発電設備の知識がある専門人材が行う
臨時点検の実施
・台風通過後は、速やかに臨時点検を行うこと。仮に外観に異常がなくても、内部や電気的な絶縁についても異常がないか確認する
・太陽電池パネル・集電箱・PCSが水没・浸水した場合や、ケーブルが断線した場合には、漏電や感電の恐れがあるため、電気主任技術者などに太陽電池パネルと接続箱の切り離しについて相談する
・電気事故もしくはその疑いがある場合、管轄する産業保安監督部に報告する
迅速な応急処置の実施
・設備の被害が認められた場合は、破損した電気設備の撤去、銅線が露出した電線の保護などの応急処置を行う
被害が生じた設備の修理・改修の実施
・被害が生じた設備は安全を確認した後、適切に修理・改修を行う
・改修に伴う対策としては、架台の補強、架台・設備をより高い位置に移設、排水ルートの改善などが考えられる
2次被害の防止
・破損・飛散した設備への接触による受傷、もしくは浸水した太陽電池パネル・集電箱・PCS・断線ケーブルなどに接近すると感電するため、第三者が感電、けがなどの二次被害に遭わないように対策を行う
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