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日本初、核融合発電の電力売買契約締結 2030年代にも実用化の見込み

2025年12月15日

日本独自のヘリカル型核融合炉を開発するHelical Fusion(ヘリカルフュージョン/東京都中央区)は12月8日、愛知県内で食品スーパーを展開するアオキスーパー(愛知県名古屋市)と、国内初となるフュージョン(核融合)エネルギーによる電力売買契約を締結したと発表した。

ヘリカルフュージョンは現在、核融合炉によって発電した電力の実用化を目指す「Helix Program(ヘリックス計画」を推進する。計画では、2020年代に重要な開発要素の実証を完了し、2030年代の実用発電達成を目指している。

 

核融合エネルギーをスーパーマーケットに供給する未来の実現に向けた第一歩

フュージョンエネルギーは、太陽のエネルギーを生み出す核融合反応を地球上で再現し、高効率で持続可能なエネルギーを創出する技術。石油や天然ガスなどの化石燃料に依存せず、主に海水に豊富に含まれる重水素などを燃料とするCO2を排出しない次世代クリーンエネルギーであり、世界中で開発の推進や早期の社会実装が期待されている。

これまでは、高度な知見を要する研究・技術開発の側面が注目されてきたが、同技術がエネルギーインフラとして社会実装されるには、実際にフュージョンエネルギーを「使おう」という需要家の存在が不可欠となる。

今回電力購入を決めたアオキスーパーは、愛知県内に食品スーパー50店舗を展開する1941年創業の小売企業。7月に、持続可能な社会の実現と地球環境保全への貢献を目指す活動の一環として、Helical Fusionへの出資に参画。以来、売電契約の実現性について協議を進め、今回の発表に至った。

 

「出口」を示すことで、さらなる投資を促す

日本初の電力売買契約締結を重要なマイルストーンと捉え決断したアオキスーパーに対し、Helical Fusion代表取締役CEOの田口 昂哉氏は、感謝の意を示すととに、「これから実装に向けた開発・投資をする人にとって「出口」を示すことができた」とその意義を語った。

また「同契約をきっかけに、フュージョンエネルギーの社会実装への機運が高まり、それが同分野の開発・投資を促進するという好循環につながってほしい」と期待を寄せる。

 

「ヘリカル型核融合炉」開発を推進するスタートアップ

Helical Fusionは2021年、大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所における核融合に関する研究成果を活用し創業したスタートアップ企業。日本独自の核融合炉形式である「ヘリカル方式」によるフュージョンエネルギーの実用化を目指す。

同社が掲げる「ヘリックス計画」では、2020年代中をめどに、二大開発要素である「高温超伝導マグネット」「ブランケット兼ダイバータ」の個別実証を終え、2030年代中には、最終実証装置「Helix HARUKA」による統合実証や発電初号機「Helix KANATA」による世界初の実用発電を達成する計画を打ち出している。

 

廃油活用などの取り組みを推進するアオキスーパー

アオキスーパーは、地球温暖化に伴う気候変動による農産物の栽培適地の変化や海水温の上昇による水産資源への影響を深刻な問題として認識。今回の核融合発電の導入検討以外にも、食料品を取り扱い、店舗などでエネルギーを使用する企業として、家庭・事業系の廃食用油をSAFの原料としてリサイクルする活動などを展開している。

 

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