2026年4月2日
環境省は3月27日、国や地方自治体、業界団体・企業、金融機関との連携により、今後の再生材サプライチェーン構築に向けて、進むべき方向を示した提言を公表した。
この提言では、主要な循環資源の位置付けと再生材サプライチェーン構築上のボトルネックを明らかにし、2030~2035年を目途とした再生材サプライチェーンの強靭化に向けて、5つの対策の方向性に沿って対策を整理している。
日本では金属・石油などの資源の多くを輸入に依存する一方、国内で発生するリサイクル可能な資源の多くが海外流出、焼却・埋立されている。環境負荷低減のみならず、経済安全保障、産業競争力の強化の観点において、日本の製造業に、質・量・コストの面で安定的に再生材を供給できるサプライチェーンの強靭化と再生材の需要創出・拡大を起点とした市場形成が求められている。
そこで環境省は、2025年度に、主要な循環資源10カテゴリーと2地域を対象に、現状と課題・ニーズを洗い出すため、文献や統計データを用いた文献調査に加え、広く製造業・資源循環業など計241者に対するヒアリング調査を実施した。
循環資源における10のカテゴリーは、鉄スクラップ、鉄スクラップ(シップリサイクル由来)、アルミスクラップ、電子スクラップ(e-scrap)、使用済自動車、廃プラスチック、廃リチウムイオン電池、使用済風力発電設備、使用済太陽光パネル、廃食用油。2地域におけるケーススタディは、北九州市と室蘭市で行った。
環境省では、「資源循環ネットワーク形成・拠点構築に向けた調査事業に係る検討会」を設置し、調査結果に基づき、再生材サプライチェーンの強靱化に向けた対策の方向性について検討し、今回、「資源循環ネットワーク形成・拠点構築に関する提言~再生材サプライチェーン強靭化に向けて~」を取りまとめた。
提言では、検討結果を基に、2030年から2035年頃を見据えて、再生材サプライチェーンの強靭化に向けてカギとなる、(1)公正な競争環境の整備および適正処理の確保(2)循環資源の回収量拡大(3)再生材の品質の確保(4)再生材・再生材利用製品の需要の創出、(5)規模拡大や効率性向上などを通じた事業性確保、の5つの観点に沿って、目指す姿を設定した。
また、循環資源10カテゴリーの各カテゴリーについて、2030~2035年に向けた目指す姿と、目指す姿と現状とのギャップ、対策の方向性に関して検討を行った。
たとえば、アルミスクラップでは、再生地金は新地金と比較して、CO2排出を98%削減できる低炭素素材として、需要が高まっている。一方、アルミ製品は合金種類ごとに成分が異なること、解体・回収段階におけるさまざまな合金の混在が、特に展伸材への再生材利用拡大を阻害していることをボトルネックとして挙げている。
また、廃リチウムイオン電池では、国内のレアメタル精錬施設が本格稼働していなこと、国内製造した精錬原料(ブラックマス)が海外へ流出していることを課題として挙げ、発火事故への対策も急務と指摘。2030年台後半に急増するとされている使用済み太陽光発電パネルでは、リサイクルにおけるコスト高、異物を多く含むパネル由来のガラスカレットの水平リサイクルへの技術開発の必要性を挙げた。
このほか、各カテゴリーにおいて構造上の課題を分析したほか、再生材サプライチェーン構築に向けたボトルネックとして、以下のようにまとめた。
・公正な競争環境の未整備:不適正スクラップヤード問題と、不透明な商流や海外輸出ルートの存在により、公正な競争環境が損なわれている
・原料となる循環資源が集まらない:経済合理性に基づき、金属資源は海外流出・埋立、プラスチックなどは焼却が優位。海外の輸出管理措置等により循環資源の輸入に課題
・リユース・リサイクル技術等が未成熟:製造業が使いこなせる品質を供給できる技術やインフラ等が未整備
・再生材需要・市場が未形成:再生材の需要を創出するためのルールやインセンティブの不足、再生材利用価値が未浸透で市場が未形成
・資源循環ビジネスの事業性が未確立:資源循環産業の産業競争力が弱く、規模拡大・高効率化に向けた投資が進まない
今後、各カテゴリーにおける取り組みの進捗状況や課題の違いを踏まえつつ、資源循環ビジネスの投資予見性を高めるため、国内循環のインセンティブ創出や資源循環業の規模拡大・効率性向上を通じて、強力に施策の実現を図る必要があるとしている。
再生材サプライチェーン強靭化に向けた戦略的方向性として、資源循環を通じた日本の自律性・不可欠性の確保の必要性を挙げている。
自律性を高めるには、国内での循環資源の回収拡大や不適正な国外流出抑制などを進めつつ、資源循環から得られる再生材の質・量の確保と利用拡大を推進することにより、基幹産業に安定的に再生材を供給する再生材サプライチェーンの強靭化が必要であり、同時に再生材の需要の創出・拡大 を起点とした市場形成の取り組みも重要となる。
不可欠性では、日本のリサイクル技術や製錬技術、家電リサイクルや自動車リサイクルなどの制度運用に関する知見やノウハウなどの優位性を活かし、同志国とも連携し、日本をハブとする国際的な資源循環ネットワークの構築を目指していくべきだとしている。
記事内容へ





2026.04.02
環境省は3月27日、国や地方自治体、業界団体・企業、金融機関との連携により、今後の再生材サプライチェーン構築に向けて、進むべき方向を示した提言を公表した。 この提言では、主要な循環資源の位置付けと再生材サプライチェーン構…続きを読む
2026.04.01
東京都は4月15日から、新規事業 「ZEB化・廃熱利用設備導入促進事業」の募集を開始する。 この事業では、中小規模事業所などのZEB化や工場などの廃熱の有効利用に向けた経費の一部を助成するもので、資金援助とともに導入検討…続きを読む
2026.03.31
京セラ(京都府京都市)とコスモエネルギーホールディングス(東京都中央区)は3月26日、互いが運営する風力発電・太陽光発電による再エネの相互調達を4月から始めると発表した。再エネ電源の調達先を広げるとともに、環境価値も融通…続きを読む