2025年11月17日
総合マーケティングビジネスの富士経済(東京都中央区)は11月12日、太陽電池関連ビジネスの市場調査結果を公表した。2040年度国内市場では住宅向け太陽光の「初期費用ゼロ」モデルの市場規模が2024年度比4倍の1278億円に達すると予測。次世代太陽光として期待されるペロブスカイトの実用化の期待もあり、建材一体型太陽電池(ガラス基板型BIPV)の市場も倍近くに膨らみそうだ。
2025年から東京都などの新築住宅で太陽光発電システムの設置義務化が始まるなど、短期的には太陽光の導入補助で市場がさらに拡大する可能性が高い。長期的にも太陽光発電システムの導入・使用を促す政策により、さらに市場が活性化するとみている。
調査は2025年7~10月、太陽光事業の参入企業や関連企業・団体などへのヒアリング、関連文献調査に富士経済社内データベースを加味して実施した。
住宅向け初期費用ゼロモデル(PPA・リース・割賦)は、初期投資なしで太陽光発電システムを設置し、発電した電気を利用できる住宅向けのサービス。2024年度は300億円程度だった市場規模は、2040年度に1278億円に達するとみられる。
初期費用ゼロモデルは家庭向け電気料金とFITの売電価格が逆転し始めた2010年代後半にサービスの注目度が高まった。地方自治体が太陽光発電システムの設置義務付けや設置推進・補助支援を行ったことも大きな要因という。特に2025年4月からは東京都で住宅太陽光の義務化が始まったことから、初期費用ゼロモデルの採用は今後も増えると予測した。
建材一体型太陽電池については2024年度の市場規模が1000億円程度だが、2040年度には1958億円(2024年度比93.7%増)になる見通しだ。特に薄型・軽量のペロブスカイト太陽電池などの新型・次世代型の需要が高まるとされる。まずは天候の変化に強いガラス基板型の普及が有力とみられ、今回の調査で市場規模が大きく伸びている。
さらに多様な用途が期待できるフィルム基板型ペロブスカイトの市場形成は2030年度以降とみられ、「屋根材や窓ガラスなど、建材の種類によって耐候性や美観性などに最適化された製品への採用が進むと予想される」(富士経済)と分析する。
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