2025年6月10日
九州大学発のスタートアップ企業であるJCCL(福岡県福岡市)は6月5日、世界で初めて家庭用給湯器からCO2を回収し高濃度に濃縮する実証に成功したと発表した。この取り組みでは、同社が開発したCO2回収装置を活用した。
使用した「VPSA1」は、「減圧蒸気スイング型CO2回収装置」と呼ばれるもので、地域に分散する小規模なCO2排出源から直接CO2を回収する。
1日2キロ程度のCO2を97%以上に濃縮・回収できる。
同社は今回、福岡市が実施する研究開発型スタートアップ成長支援事業補助金の支援を受け、「VPSA1」を使って家庭用のガス焚き給湯器の排気ガス(CO2濃度5.7%)から実際にCO2を回収し、99%以上の高濃度まで濃縮する実証に成功した。
同社によると、同装置を使用することで、学校や自治体、企業の事務所、家庭などのCO2排出源から安全かつ低コストにCO2を回収できるという。
回収したCO2は純度が非常に高いため、ドライアイスや都市ガスなどへの転換も見込まれる。
今後は、ガスヒートポンプや空調設備、ボイラー、自動車などさまざまな小型CO2排出源からの回収ニーズに対応していく考えだ。
なお同社は、科学技術振興機構(JST)・宇宙航空研究開発機構(JAXA)・福岡市の支援を得て、「VPSA1」とともに、CO2分離膜の性能を評価する装置「VSS1」も開発している。
カーボンニュートラル社会の実現に向け、化石燃料の燃焼によって発生するCO2を分離回収する技術への注目度が高まっており、火力発電所や製鉄所など大規模なCO2排出源からCO2を回収するプロジェクト(CCS)が国内のさまざまな場所で実施されている。
一方で、冷暖房装置や家庭用の湯沸かし器など小規模な燃焼装置からCO2を回収する装置はこれまで上市されていない。
現在は、燃焼装置から空気中に放出されたCO2を空気から回収するDAC技術の検討が進められているが、一度空気中に放出されたCO2は濃度が400ppmまで希釈されるため、回収にかかるコストの経済的負担が課題となっている。
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