2020年2月25日
浜通り地方などの新たな産業基盤構築を目指す国家プロジェクト「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」では、再生可能エネルギー産業の集積が重点項目の一つだ。県は二〇四〇年度までに県内需要の全てを再生可能エネルギーで賄う目標を掲げる。再エネの普及に向けて取り組む企業の今を伝え、エネルギー産業の未来を展望する。
水素を充填(じゅうてん)した燃料電池車(FCV)「MIRAI」が、いわき市内を静かに駆け抜ける。市内の企業・団体が約四十台を導入し、今では見慣れた光景だ。同市鹿島町では、民間企業がFCVのエネルギー充填拠点「いわき鹿島水素ステーション」を運営し、普及を後押しする。蓄電池(バッテリー)関連産業の集積を目指す市の「いわきバッテリーバレー構想」の一翼を担う。
構想は、同市の二次電池試験装置メーカー「東洋システム」の庄司秀樹社長(58)が提唱した。構想の具現化を目指し、東洋システム、常磐共同ガス、ひまわり信用金庫などが二〇一五(平成二十七)年四月、いわきバッテリーバレー推進機構を設立した。庄司社長が代表理事を務める。
東日本大震災では、市内沿岸部の食品加工工場などが津波被害を受け、自宅を失った従業員も多かった。被災した企業の多くが、福島第一原発事故による風評の影響で業績を回復するのに苦労している。「新たな産業をおこし、若者が働ける場をつくらなければ。バッテリー産業には可能性がある」。将来への危機感が庄司代表理事を突き動かした。
機構は二〇一五年から毎年、「いわきバッテリーバレーフェスタ」を開き、燃料電池の組み立てのほか、移動支援ロボットや超小型電気自動車の試乗体験を企画している。二〇一六年からは高校生や福島高専の学生を対象に「いわきEVアカデミー」を開講している。電気自動車の分解や組み立ての実習を通じ、人材の育成にも取り組んでいる。
四月には市内で燃料電池バスが導入され、東北初の燃料電池バスが走るまちになる。浪江町の「福島水素エネルギー研究フィールド」で製造される水素の活用についても調査している。機構は、市内で使う電力を、水素や再生可能エネルギーで賄う構想を描く。
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