2019年6月16日
国際的な環境保護の機運が高まる中、需要拡大が見込まれる再生可能エネルギー。東芝が研究開発を進めるのが太陽電池の新技術だ。素材や形状の工夫で設置場所の選択肢を広げたり、発電効率を高める技術で新たな需要を取り込んだりする狙い。昨夏に閣議決定された新たなエネルギー基本計画では、太陽光発電が令和12(2030)年の主力電源の一つに定められており、実用化への期待が高まっている。
太陽光発電は、住宅などの屋根や敷地内などに太陽電池を設置して発電する。太陽光を使うことで発電時に二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しないクリーンさが売りだが、主流となっている結晶シリコン太陽電池は「曲げ」に弱い。このためガラスなどで補強の必要があり、その形状や重量などから設置場所に制約があった。また、天候に左右される性質のほか、コストが課題で主力電源とするには発電効率の一層の向上が求められている。
東芝が設置場所の拡大を目指し、新エネルギー・産業技術開発機構と取り組んでいるのが、「ペロブスカイト太陽電池」と呼ばれる新技術の太陽電池。ペロブスカイトという結晶が太陽光を吸収して発電する仕組みだが、画期的なのはペロブスカイトがインクのように基盤材料に印刷できる点。このため、フィルムの上に印刷すれば、フィルム状の軽くて曲げられる太陽電池ができる。
また、従来の結晶シリコン太陽電池はパネル1枚の重量が15~20キロ程度で、柱が少ない建築物などには大量設置が難しい。現状では、一般の住宅の屋根や土地にパネルを敷き詰めるのが主流となっている。ペロブスカイトなら、建物だけでなく電気自動車の天井やテントのような場所にも、太陽電池を塗布することが可能だ。東芝研究開発センターの都鳥顕司シニアエキスパートは「体育館や郊外の商業施設など、設置できる建築物が飛躍的に増える」と、新技術の先進性を語る。
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