2018年1月7日
日本の太陽光発電市場にとって、2017年は注目の年だった。固定価格買取制度(FIT)の改正法が施行され、「設備認定」から「事業計画認定」への移行に伴い、稼働見込みのない滞留案件が一掃され、2018年以降の市場規模が予測しやすくなると期待された。
しかし、新認定制度に移行するための事務処理が遅れており、太陽光の認定容量である約84.5GW(2017年3月末時点)のうち、事業計画認定に移行した容量は、まだ公表されていない。結果的に、新制度への移行容量の確定する2018年が注目の年になった。
経済産業省は2017年4月、新制度への移行によって「失効する見込みのある案件」を再エネ全体で約27GWと公表している。これは、2017年3月末時点で接続契約を締結していない案件を電力会社にヒアリングした数値だ。仮にこの「失効見込み」がすべて太陽光とした場合、新制度に移行したのは、差し引き57.5GWとなる。
だが、失効見込みにはバイオマスなど他の再エネが含まれる可能性があるうえ、系統入札プロセスの対象案件や2016年6月末以降に認定を取得した案件は9カ月間の猶予があり今回の見込み数から除外している。最終的に新認定制度に移行する太陽光の容量は57.5GWより多くなる可能性もある。
新制度への移行に伴い認定失効となる典型的なパターンは、電力会社との接続契約締結に必要となる工事費負担金を払えないケースだ。ただ、「売電単価の高いFIT初期案件に関しては、短期的なつなぎ融資を受けて接続契約を締結して、新制度に移行した滞留案件も多い」との声もあり、失効による減少は意外に少ないとの見方もある。
そうなると、新制度に移行する太陽光は60GWを超える可能性もある。稼働済み案件の33.5GW(2017年3月末)を引いた30GW以上が、今後3年程度のうちに太陽光設備市場に顕在化してくることになる。新制度に移行した案件は改正FITでルール化された「運転開始3年期限」を適用されないものも多いが、3年期限ルールの適用と引き換えに太陽光パネルを変更する事業者もおり、相当数の案件が3年内の完成を目指す可能性が高い。
こうして見ると、国内太陽光の設備市場は、2018~2021年程度までは、毎年10GW近い市場規模で推移することになる。これは、ここ数年の市場規模と、同水準もしくは上回る規模になる。富士経済の再エネ関連の市場予測でも、太陽光は今後3年間、高水準を維持すると見込んでいる(図1)。
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