2020年4月28日
太陽光発電設備大手のウエストホールディングス(HD)はドローン(小型無人機)世界最大手の中国DJIと組み、ドローンを使った太陽光発電設備の保守管理事業を始めた。NEC系なども関連サービスを展開する。太陽光など再生可能エネルギーは需要拡大が見込まれるが、設備の点検などを担う人材が不足。ドローンなどデジタル技術の活用が急務となる。
ウエストHDはこのほど、DJIの高性能ドローンを使った保守管理事業を始めた。上空から赤外線サーモグラフィーなどで太陽光パネルや関連機器を点検。画像解析技術と組み合わせて設備の破損部分などを分析し、パネルの取り換えなど補修にも対応する。
従来こうした業務は担当者が目視など人力で行い、確認漏れなどのミスも起こりやすかった。ドローンを活用することで少人数での正確な点検が可能になる。当初は大規模発電所を対象にするが、順次工場や農地、住宅での中小型設備についてもサービス展開する。
DJIは日本で産業向けのドローン販売を拡大するため、クボタやコマツなどと提携しており、再生エネの分野にも手を広げる。DJIが認定するドローンの技能操縦者は日本に約8300人いる。こうした技能者を増やすためのスクール運営などでもウエストHDと協業する。
政府はドローンの商業利用を推進するため、ドローンの登録を義務化し、2022年度には人がいるエリアでの目視外飛行を実現させるための法改正を目指している。活用に期待が高まる中、重要な分野の一つが再生エネのインフラだ。
山間部の設置が多い太陽光や今後洋上での事業が広がる風力は、電力会社やガス会社のように十分な管理体制が整っていないケースも多い。近年は大型台風で設備が損壊する被害も目立ち、防災対策や災害復旧が課題だ。一方、大規模設備の保安に必要な「電気主任技術者」の有資格者は30年に約2000人が不足し、需給ギャップが1割に及ぶとの試算もある。
こうしたなか、ドローンなどを活用して効率的な管理サービスを提供できれば、ニーズを取り込める余地は大きい。IT(情報技術)大手やスタートアップも事業化の取り組みを進めている。
システム開発のNECネッツエスアイは19年、ドローンと人工知能(AI)を組み合わせた太陽光発電の点検サービスを開始。ドローンで太陽光パネルを撮影し、AIで自動的に異常を識別する。NTT西日本も同年からグループ会社を通じて太陽光や風力向けに点検サービスを提供する。
ドローン関連事業を手がけるセンシンロボティクス(東京・渋谷)は、各メーカーのドローン機体に飛行経路を指示し太陽光発電所を自動点検できるソフトを開発する。
電力大手でも、東京電力ホールディングスが19年に銚子沖洋上風力発電所で、水中ロボットやドローンを活用した設備点検の実証実験を実施した。実用化が進めば事業モデルや技術の開発でも競争が活発になりそうだ。
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