2017年10月28日
太陽光パネル、LED照明、蓄電池といった普及途上にある環境関連製品のリサイクルが始まっている。廃棄が本格化する前に先行メーカーが再生方法を確立した。ただ将来の大量廃棄を考えると、参入企業の少なさが気がかりだ。
エヌ・ピー・シー(NPC)は太陽光パネルの分解技術を開発した。ガラス板から金属を含む樹脂層をはがし取る。ガラスは再利用でき、樹脂から金属を回収できる。主力製品の太陽電池製造装置で培った搬送技術を用い、ガラスと樹脂層の間にナイフを当てるのがノウハウだという。
太陽光パネルは屋外で使うため、頑丈にできており、ガラスと樹脂層は密着している。現状ではパネルごと砕いて埋めるしか処分方法がなかった。2040年に5000万枚の廃棄が発生するとの試算があり、対策が求められていた。NPCの技術は家庭用パネル1枚を2000円以内で処理できる。
アイリスオーヤマ(仙台市青葉区)は他社に先駆けてLED照明のリサイクルを始めた。使い終わった商品を回収し、ハリタ金属(富山県高岡市)で分解する。金属類は精錬して再生し、LED素子は法政大学で処理して希少金属を取り出す。
電池メーカーのエリーパワー(東京都品川区)も業界で初めて蓄電池の回収に取り組む。使用済み商品を家庭やビルから引き取り、リサイクル業者に依頼して再資源化している。
LED照明、蓄電池とも環境負荷低減を訴求している。しかし、埋め立て処分ではかえって環境に負荷を与えるため、リサイクルに乗り出した。
これまで普及後に処理が問題となった商品も多い。携帯電話やデジタルカメラなど小型家電のリサイクル法は13年に施行されたばかり。再生コストが高く、採算に合わずに廃棄が続く商品もある。
これら環境関連製品は手がけるメーカー数は多いものの、リサイクルへの参入は少ない。大量廃棄時代を迎えても資源循環が進むように、多くの企業に参入の準備を始めてほしい。
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