2025年10月8日
北海道は10月3日、2025年度「省エネルギー・新エネルギー促進大賞」について、省エネルギー部門で3者、新エネルギー部門で2者の受賞者を決定したと発表した。
省エネルギー部門では、総合設備工事会社の池田煖房工業(札幌市)が、寒冷地「ZEB」の実証施設などの取り組みで、新エネルギー部門では、幌加内町バイオマス有効活用コンソーシアムが、そば殻を原料に用いたバイオマス固体燃料の製造実証業で大賞を受賞した。
北海道省エネルギー・新エネルギー促進大賞は、省エネルギーの促進と新エネルギーの開発・導入の促進に関して、顕著な功績のある個人・団体などを対象とした表彰制度で、2007年から実施している。
受賞企業に対しては、認知度向上や販路拡大など、さらなるステップアップに向けて、「表彰企業等プレミアムパッケージ支援事業」として、北海道が持つネットワークや道有施設を活用し、取り組みや商品のPRを支援する。
池田煖房工業(札幌市)は、省エネルギー部門において、「ZEBと省エネ診断で地域と歩むゼロカーボン」の取り組みで大賞を受賞した。同社は、2022年11月に、移転・新築した本社ビルを寒冷地「ZEB」の実証施設とし、再エネを加えた一次エネルギー消費量の削減量104%を達成し「ZEB」認証を取得している。また、この施設は、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)の最高評価である5スターに認証されている。
今回の受賞では、寒冷地における「ZEB」の実現だけではなく、エネルギー使用のモニタリングと運用改善により、設計値を大きく上回るエネルギー削減効果を得るなど、運用改善に力を入れていることも高く評価された。このほか、同社では、地域企業への省エネ診断事業を行い、地域のカーボンニュートラルへの取り組みに大きく貢献している。
幌加内町バイオマス有効活用コンソーシアムは、新エネルギー部門において、「そば殻を原料に用いた低コストバイオコークス製造技術の実証事業」で大賞を受賞した。
日本一のそばの生産地である幌加内町で、地域で発生するそば殻からバイオ燃料を製造する技術と、エネルギー地産地消の取り組みが高く評価された。灯油・重油が主体の農業用の暖房エネルギーを転換できれば北海道のCO2削減への効果は大きいと予想している。
バイオコークスは、近畿大学(大阪府東大阪市)の井田 民男教授が開発したバイオマス固体燃料のこと。北海道幌加内町、きたそらち農業協同組合、エア・ウォーター北海道(札幌市)、JFE条鋼(東京都港区)、巴商会(東京都大田区)によるコンソーシアムでは、2023年に北海道の補助金の採択を受けて、2026年度商用化を前提としたバイオコークス実証事業に取り組んでいる。
YKK AP 北海道支社(札幌市)は、既設住宅の煖房消費エネルギー削減に着目した改修用外窓・玄関ドアの開発と普及で、竹中工務店 北海道支店(同)は、北国の環境文化を取り入れたテナントオフィスの設計で、省エネルギー部門の奨励賞を受賞した。
竹中工務店は、オフィスビル「DーLIFEPLACE 札幌」の設計において、千鳥配置にすることで照度の均一化を図ったLED照明、札幌の冷涼な空気を活用した換気システム、札幌市が推進する地域冷暖房システムの活用など、随所に工夫が施されているが評価された。
北海道ワイン(小樽市)は、「地上太陽光×地下ヒートポンプの垂直統合型エネルギー供給 システムによる持続可能なワインづくり」で、新エネルギー部門の奨励賞を受賞した。太陽光発電で得た電力を用い、地中熱ヒートポンプを稼働させ、施設の暖房を行うとともに、発酵タンクの冷却を行うCO2削減効果の高い取り組みであり、他の食品工場などへの波及も期待できることが評価された。
同社では、太陽光発電や地中熱ヒートポンプなどの再エネを積極的に活用し、LED照明の導入によってエネルギー効率を向上させている。直轄農場「鶴沼ワイナリー」ではCO2の排出量測定にも取り組んでいる。また、いずれ広大な敷地の森林管理ができれば、カーボンマイナスも達成できるのでは、と考えている。
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