2017年8月29日
太陽光や風力など、再生可能エネルギーの割高なコストを電気料金に上乗せし、消費者に負担してもらうことで普及を促す「固定価格買い取り制度」が2012年7月に始まってから5年が過ぎた。
再生エネルギーを使う発電設備の能力は16年12月末時点で、導入前に比べて2.7倍に増えた。順調な伸びだといえるだろう。半面、これからも着実に伸ばしていくための課題も見えてきた。
まず、量は増えても、制度が目指した発電コストの低減は十分とはいえない。
確かに太陽光(事業用)の買い取り価格は制度開始後の5年で、半分近くまで下がった。しかし、海外との比較では依然、2倍以上の高さだ。風力や地熱など他の再生エネルギーの買い取り価格はほとんど下がっていない。
買い取り制度は消費者が割高なコストを肩代わりすることで、競争力で見劣りする再生エネルギーに「ゲタを履かせている」状態だ。だが、17年度の買い取り費用は2兆円を超える見通しだ。
量の拡大と国民負担の抑制の両立を探らねばならない。そのためには、再生エネルギーのコスト競争力を高め、自立を促す仕組みに制度を変えていく必要がある。
政府は大規模な太陽光発電については今秋から、事業者を選ぶ入札制を導入する。売電価格の安い事業者から順番に選ぶ。
風力発電などは導入状況に応じて毎年決めていた買い取り価格を3年先まで決めるようにした。コスト低減を織り込んだ価格をあらかじめ示し、事業者の競争を促す。こうした工夫に期待したい。
再生エネルギーを日本全土で有効利用するための送電線の使い方も考える必要がある。
太陽光や風力発電所は自然条件などの理由で立地が偏る。再生エネルギーでつくった電気を、都市などの大需要地に持っていくための送電網の整備を進めたい。
地域をまたぐ送電網は現在、先着順で事業者に容量を割り当てている。来年度にも、事前に割り当てを固めず、卸電力市場での電力売買を通じて柔軟に決める方式に変える。送電網に無駄な空きをつくらず、最大限活用する道を考えることも大切だろう。
再生エネルギーは温暖化ガスを出さない国産のエネルギーだ。最大限増やしていきたい。自立したエネルギー源として育てる取り組みを続けていかねばならない。
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