2020年5月27日
東北大学の研究グループは2020年5月、導電助剤を全く用いない高容量な有機蓄電池を開発したと発表した。蓄電池の実質的な高容量化が可能になる外、材料の多様な組み合せが可能であり、有機蓄電池の更なる高性能化や低価格化が期待できるという。
有機蓄電池は、低環境負荷・安価・高容量が期待できる次世代蓄電池として世界的に研究が進められている。現在普及している蓄電池と異なり、希少金属などに依存しない蓄電池が実現できれば、環境負荷の低減やコスト面で大きなメリットがあるからだ。
一方、普及に向けた課題の一つが蓄電容量である。有機材料の多くは絶縁性を示し、導電性が低い。これを補うために大量の導電助剤を利用すると、実質的な蓄電容量が小さくなってしまう。導電性ポリマーや電荷移動錯体、有機ラジカル塩といった、比較的高い導電性を示す有機半導体材料も一部で実用化されているが、合成の煩雑さや導電性の低下などが指摘されており、本格的な実用レベルには至っていないという。
そこで東北大学の研究グループは、今回2つの有機分子材料を混ぜることで導電性が現れる電荷移動現象と、充放電時の導電性有機ラジカル塩生成機構を組み合わせた「導電性リレー機構」を考案。有機分子材料のテトラチアフルバレン(TTF)とテトラシアノキノジメタン(TCNQ)を混合した電極と、臭化ナトリウム(NaBr)電解液を組み合わせた。これによって、導電助剤を全く用いなくても、充電/放電時間が約10分という高速充放電を繰り返し行えることを確認した。
この機構を用いることで、絶縁性のため利用できなかった多彩な有機材料を利用した有機蓄電池が実現できる可能性があり、電池の高性能化などに貢献できるとしている。
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