2020年12月1日
広島大学、山形大学、京都大学、千葉大学らの研究グループは2020年11月25日、有機薄膜太陽電池の発電効率を高める手法を発見したと発表した。少量の長波長吸収材料を加えるだけで、発電効率を約1.5倍に高めることができるという。
有機薄膜太陽電池は半導体ポリマーをプラスチック基盤に塗布して作製できるため、コストや環境性能に優れる太陽電池として期待されている。軽量かつ柔軟、さらに透明という特徴から、従来の太陽電池では設置しにくかった場所にも導入しやすく、建材としての注目も高い。よって、さらなる発電効率の向上に期待が掛かっている。
太陽電池の効率向上には、半導体層の光吸収波長領域を拡大し、より多くの太陽光を吸収できるようにすることがポイントとなる。そのためには長波長領域に吸収体を持つ化合物を加えるという方法が検討されているが、材料の使用量が多くなり、コスト高になるという点が課題だった。
今回共同研究チームは、広島大学が以前に開発した結晶性の高い半導体ポリマーとフラーレン誘導体の混合膜に、長波長吸収帯を持つ化合物を、重量比で6%という少量添加した。その結果、発電効率が1.5倍向上することを突き止めたという。これは光干渉効果によって、少量添加した化合物の光吸収強度が大幅に増強されたことが要因になったとしている。
さらにこの性能向上の要因を解析したところ、少量添加した化合物は、半導体ポリマーとフラーレン誘導体の界面に偏在しており、これにより効果的に電荷が生成されることもわかった。
研究グループでは、このような光増感作用と緻密に制御された材料のミクロな集合構造が有機薄膜太陽電池のさらなる発電効率向上の鍵であり、半導体層に用いる材料の改良で、より飛躍的な発電効率の向上が期待できるとしている。今後は、光干渉効果を高めるため、半導体層をさらに厚膜化できる電荷輸送性の高い半導体ポリマーの開発を進める方針だ。
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