2020年4月25日
電力会社が新型コロナウイルスの感染拡大に備えて発電所の運営体制の見直しを始めた。国内火力最大手のJERAは電力供給の司令塔である中央制御室への入室も担当者以外は禁止にした。関西電力は稼働中の原子力発電所で通勤バスを増便した。発電所の稼働停止で停電が起こらないように感染拡大の防止に向けた取り組みを徹底する。
東京電力ホールディングスと中部電力が折半出資するJERAは、発電所の作業員に自家用車での出勤を求めている。外部との接触を避けるためだ。電力供給の司令塔である中央制御室への入室も担当者以外は禁止した。発電所の勤務経験者を集め、予備の班を編成。ほかの班に欠員が生じた時、すぐに支援に入れる体制にした。
JERAは中央制御室への入室を担当者以外は禁止にした(千葉県内の発電所)
本支社でも体制を改めた。JERAは本支社で1700人の社員が在籍する。2月に全社員の約1割、180人がいれば、最低限必要な業務をできると試算し、在宅勤務や時差出勤を導入した。さらに感染拡大で東京都内にある本社ビルが封鎖されることに備え、本社機能を移せる代替の場所も確保。同社は「最低限の出社でも電力供給を続けられるようにする」と語る。
このエレベーターは一部の職員専用となります――。東京・内幸町の東電本店では3月から複数あるエレベーターのうち1基で一般職員による利用を制限。東電本店に構える「中央給電指令所」を運営する東京電力パワーグリッド(PG)の20人の社員のみが使えるようにした。
中央給電指令所は地域の電力の需給調整を行う中枢施設だ。電力は需給が崩れると大規模な停電につながる。需給調整は専門知識が必要で、他の職務と比べ人材の代替が容易ではない。担当者が他の社員との接触する機会を減らし、感染を防ぐようにした。
関西電力も大飯原子力発電所(福井県)と高浜原発(同)の作業員が通勤に使う専用バスを増便。
関電は原発で通勤バスを増便し、車内混雑による感染拡大を防ぐ(福井県の高浜原発)
バスに乗る作業員を分散させることで感染拡大のリスクを抑える。中国電力は発電所や中央給電指令所の職員を対象に公共交通機関での通勤を原則禁止にした。私用車などでの通勤が難しい職員には勤務地近くに宿泊する施設を提供する。四国電力は伊方原発(愛媛県)の通勤に使う専用バスについて、実際に原発の運転にあたっている職員と、総務や広報など事務方の職員が同乗しないように利用を制限した。
電力各社は原発を中心に地震や津波など災害対策に万全の体制を敷いてきた。「最も安全なのは原発だ」(電力幹部)と胸を張ってきたが、感染症が出ればその災害対策も役に立たない。発電所が停止すれば停電に陥るだけに、感染症対策に万全を期す必要がある。
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