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風力発電、目標の3割どまり 送電線の整備遅れ

2018年1月19日

風力による発電が伸び悩んでいる。2017年の導入量(発電所新設分)は16万9千キロワットと16年に比べて12%減少した。17年末の累積導入量は16年末より5%増えたものの、政府目標の約3割にとどまる。「太陽光偏重」となっている再生可能エネルギー。基幹電源となるためには、規制緩和や家庭などに届ける「送電線」など、風力発電事業で解決すべき課題は多い。

稼働ベースで国内最大の発電規模の新青山高原風力発電所(青山高原ウインドファーム提供)

稼働ベースで国内最大の発電規模の新青山高原風力発電所(青山高原ウインドファーム提供)

日本風力発電協会が17日に発表した統計によると、17年単年の導入量は2年連続で前年実績を下回った。「環境影響評価(アセスメント)に時間がかかっている案件が多い」(同協会)のが理由だ。

環境アセスは4~5年かかるうえ、風車の配置変更や基数減少が求められるケースも少なくない。グリーンパワーインベストメント(東京・港)が17年末に着工した発電所も、国定公園に近いことから計画の変更を迫られた。当初は15年に着工する予定だった。農地や保安林を守る規制も影響した。

送電線について、風の強い地域で不足していることやコストが高いことも大きい。

欧州では発送電分離が進み、送電線への投資を電力料金を通じて社会全体で賄おうとする傾向がある。日本では送電線は大手電力会社が持つ。大手電力が送電線を新設する際の費用の一部を発電事業者が負担しなければならず、負担は大きくなりがちだ。日本の送電線関連費用はドイツの約3倍になっているとの調べもある。

既存の送電線についても問題を指摘する声は多い。運用指針によって、接続申し込みの早い順に発電事業者が決まる仕組みになっている。この結果、稼働していない原子力発電所や火力発電所がフル稼働することを想定した送電線が空いたままの状態になっているケースもある。

政府は30年度に風力発電の導入量を1千万キロワットとする目標を掲げる。同協会によると、17年末の累積導入量は339万キロワットで、3分の1にとどまる。今のままでは「達成できない可能性がある」と風力発電大手幹部は不安を募らせる。

「今後は海外の案件発掘に注力する」(オリックスの錦織雄一環境エネルギー本部長)。事業の軸足を海外に移す日本の再生エネ事業者も出始めている。

ただ全ての再生エネが同じ状況ではない。経済産業省によると太陽光発電の17年3月時点の導入量は3910万キロワットで、政府目標の6割を達成した。18年3月末には政府目標の7割近くに到達するとの見方が強い。

太陽光はアセスが不要なうえに電力の買い取り価格は当初、風力の2倍だった。空き地活用など設置が容易なため多くの異業種が参入した。買い取り価格は年々下がり、規制が強化されたが、固定価格買い取り制度により20年間は高額で売電できるため、急増した太陽光発電所は当面稼働が続く。

「日本は海に囲まれているのになぜ風力発電が普及しないのか」。17年秋に都内で環境省が主催した日独の電力関係者の交流会。ドイツの発電事業者から疑問の声が上がり、日本側は説明に追われた。世界を見回すと再生エネの主軸は風力になっている。ドイツは3分の1を占め化石燃料含めた総電力の1割に達する。それでも年10%以上のペースで成長する。

輸入化石燃料に多く依存する事情から、多様な自給自足エネルギーの確保を目的に導入促進された日本の再生エネ。太陽光に偏っていては、エネルギーの安定供給に不安を残す。政府も手をこまねいているわけではなく、空き容量を見ながら、既存送電線を有効利用する英国の制度に習い「日本版コネクト&マネージ」と呼ぶ取り組みを開始している。

 

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