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蓄電池が切り拓く未来

2019年10月28日

旭化成名誉フェローである吉野彰さんがノーベル化学賞を受賞した。日本人のノーベル化学賞受賞は8人目となり、リチウムイオン蓄電池の実用化に向けた取り組みが評価された。

ハウジング・トリビューン誌では、2010年11号の「検証 蓄電池の実力 蓄電池が環境時代の住まいと暮らしを変えていく」の特集のなかで、吉野さんにインタビューを行っている。(今号15頁に再録)

リチウムイオン蓄電池の商品化は1990年代初頭で、1991年にソニーが、翌1992年には旭化成と東芝が共同で商品化した。以降、電池の小型化、軽量化が進み、携帯電話やノートパソコンなどのIT機器で導入されていく。

インタビューのなかで吉野さんは「今後は自動車や住宅分野へと進出していくための技術開発が進む」、「自動車の分野での普及が進めば大型のリチウムイオン二次電池の価格も下がっていく。その技術を住宅にスライドさせれば、ムリなく住宅用の普及を図ることができる」などと指摘していた。

インタビューから10年弱が経過するなかで、ほぼ吉野さんが話された通りに進みつつある。

住宅においては、エネルギー対策への取り組みが急速に進むなか、太陽光発電の普及もあいまって蓄電池の提案は決して珍しいものではなくなっている。特にFIT切れの問題は、太陽光発電による電力を売電から自家消費へという新たな流れを生んだ。また、自然災害の多発、大規模化のなか停電への対応が大きなテーマの一つとなり、災害への備えという視点からも蓄電池への注目が高まっている。

スマホを筆頭にIT機器のモバイル化でリチウムイオン蓄電池は社会に不可欠のものとなっている。EVの普及も加速度を速めており、遠からず社会で一般的なものとなるだろう。住宅向け蓄電池の普及を待たずVtoHが広がるかもしれない。

ノーベル委員会によると、今回の受賞理由は「化石燃料が不要となる社会が実現する可能性を切り拓いた」こと。その切り拓かれた未来をカタチづくることが、今の住宅産業界の役割となってくる。

 

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