原発ゼロ法案の落とし穴は何か 国際環境経済研究所理事・竹内純子 | (株)成功コンサルタント
HOMEに戻るコンサルタント料金についてコンサルタントまでの流れ会社案内代表プロフィール

原発ゼロ法案の落とし穴は何か 国際環境経済研究所理事・竹内純子

2018年3月10日

立憲民主党は近く、全ての発電用原子炉廃止を政府目標とする「原発ゼロ基本法案」を国会に提出する予定であるという。具体性も現実性もあまりに欠如した内容だからか、話題に上ることはほとんどないようだが、少し真面目に「原発ゼロ」を考えてみたい。

 政策変更の責任は必要だが…

この法案が目指す「施行後5年以内に全ての原発の廃炉を決定」することは可能だろうか。

筆者は、それ自体は可能だと考える。しかし、課題は多い。まず、投資回収の終わっていない原子力関連施設に対する補償が考えられる。法的に電力の供給責任を課せられた事業者が建設し、政府が認可した発電所を、政策変更によって予定の稼働年数より早く廃炉にするということであれば、何らかの補償が求められるであろうことは、原発ゼロ基本法案にも言及されている通りだ。

また、発電所が生涯働いてためるはずだった自分の「お葬式代」、すなわち廃炉費用の積み立てが間に合わないことへの手当ても必要だ。その他、当面原子力を代替する火力発電所の燃料費や、将来の経済効果への期待を持ちつつ、これまで国に協力してきた立地地域への補償などが挙げられる。

しかし政策変更の責任として応分のコストを国が負担すれば、事業者としては反対するものではないだろう。もし私が電力会社の経営者であったなら、地元の合意や裁判の結果で、いつ停止するか分からない原子力発電の事業リスクを遮断してもらえることに、むしろ安堵(あんど)するかもしれない。

廃棄物処分事業のリスクは依然残るが、それはこれまでの発電事業の結果として当然責任を負うのであり、発電事業の継続による大差はない。

 課題は国民が負う「リスク」

しかし問題は、そのときに国民が負うことになる「原子力がないことによるリスク」だ。再生可能エネルギーの導入も急速に進んではいるが、まだ太陽光や風力発電が賄うのは電力需要全体の5%程度にすぎず、その発電量は天候次第だ。これまでのところ原子力が停止したことで大停電に至るなどの事態は発生していないが、発電設備の余裕が少なくなっていることは事実だ。

実は今年の冬、東京電力管内は深刻な需給逼迫(ひっぱく)に陥った。厳冬による暖房需要の急増に加えて、火力発電所のトラブルや、太陽光パネルの上に雪が積もり数日間発電できなかったことなどが重なり、他社からの融通や、大口ユーザーに電気の使用を停止・抑制してもらって何とか乗り切ったというのが実情だ。

課題は電力の短期的な安定供給だけではない。火力発電所の稼働が増えたため燃料コストが増大し、ピーク時には家庭用で25%、産業用で40%電気料金が上昇した。電力多消費の企業の中には、廃業を決めたところもある。

電気料金だけが理由ではないが、一因となったことは確かだ。ここ2年ほど原油安が続いたが、上昇局面に転じていることは大きな懸念要素である。石油や天然ガスの輸入は、地政学的リスクをはらむ。原子力がなければ、燃料調達の交渉において今以上に足元を見透かされることとなるだろう。

発電に伴って排出される二酸化炭素(CO2)も大きく増加している。パリ協定成立以降、低炭素化を求める声は高まっており、大幅な温暖化対策が求められる。ドイツやスペインなど再生可能エネルギーを大量に導入した国でもCO2削減が思うほど進んでいないことには留意が必要だ。

放射性廃棄物の処分や廃炉を進める上でも必要な技術・人材の維持も必要だ。原子力をなくすことで生じるこれらのリスクについて、法案はほとんど言及していないし、当面原子力を利用するならどうやって安全性を高め、国民生活に対し貢献させるかの視点は一切ない。

 政府は日本の脆弱性説明せよ

原子力技術の利用を継続するかどうかは、利用することに伴うリスクと利用しないことで生じるリスクとを比較衡量し、国民が判断すべき問題だ。原発ゼロ法案に迫力がないのは、「原子力事業をやりたがっている悪者」という仮想敵を置いて、それを法律で縛りさえすれば問題が解決できるかのような思考に陥っているからだろう。本当の敵は、利用しないことで生じるリスクであり、それをいかに回避するかが重要なのだ。

しかし一方、わが国のエネルギー政策が現状どのようなリスク想定の下に描かれているのか、政府の説明が国民に届いているとは言い難い。日本のエネルギー供給の脆弱(ぜいじゃく)性に加え、原子力の安全対策や賠償制度、廃炉や放射性廃棄物処分の課題など、政府の責任ある発信が求められている。

福島原子力発電所の事故によって、原子力技術の利用に伴うリスクは国民の目に明らかにされた。しかし、国民から見えづらいリスクにも備えを講じておくことこそ、政治や行政の重要な役割であろう。(国際環境経済研究所理事・竹内純子 たけうち すみこ)

 

記事内容へ

 


 

 

 

 

 

 

 

成功コンサルタントは九州エリア(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・鹿児島県・宮崎県)対応

太陽光発電、オール電化、蓄電池の訪問販売ビジネス専門コンサルティング。株式会社 成功コンサルタント

成功に向けてのお問合せは、0120-946-581.営業時間10時~19時 ※日曜除く メールお問合せ

HOMEに戻るコンサルタント料金についてコンサルタントまでの流れ会社案内代表プロフィール

 

 

業界最新ニュース!
太陽光発電・蓄電池・オール電化などの新着情報をお届けします。

 

⇒ 全て見る

 

 

ページのトップへ戻る