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原発を強制停止するバックフィット 電力会社は戦々恐々

2020年3月18日

九州電力川内原発1号機(鹿児島県、出力89万キロワット)が16日、運転を止めた。東京電力福島第一原発事故の教訓で導入された規制強化策「バックフィット制度」のためだ。再稼働した原発は今後、次々と停止に追い込まれる。安全対策費の増大とあいまって、原発の収益性と電力会社の経営を直撃している。

停止した1号機は出力89万キロワット。16日午前9時、発電を停止。午後1時には原子炉の出力もゼロになった。新規制基準で義務づけられたテロ対策施設の設置が期限の17日に間に合わず、18日午前0時から「基準不適合」の状態に陥るからだ。

当初の計画では11月末まで運転できるはずだったが、8カ月も前倒しした。九電が自ら止めなければ、原子力規制委員会は停止命令を出す構えだった。事実上の「強制停止」だ。

強制力の根拠は、最新の知見で引き上げた規制のハードルを既存の原発にも義務づける「バックフィット制度」にある。福島の事故では、津波の想定が従来より高くなる科学的知見があったのに、東電が対策をとらなかったことが教訓となった。7年前、規制強化の目玉として新基準とともに導入された。

事故前は、規制が上乗せされても、電力会社は運転しながら対策をとることができた。この制度では、猶予期間が過ぎると運転中でも「アウト」になる。規制委の更田豊志委員長が「権限が強く、運用が難しい」と話すほど強力で、影響が大きい。

テロ対策施設の期限は当初「新基準施行から一律5年(2018年7月)」だったが、再稼働に向けた審査が長引き、規制委は「原発本体の工事計画認可から5年」に延ばした。それでも電力各社は工事が間に合わないと訴え、再延長を求めた。更田委員長は「訴えれば何とかなると思われたとすれば大間違いだ」と一蹴。工期の見通しの甘さに加え、国に対する姿勢の甘さも批判した経緯がある。

バックフィットはテロ対策施設以外にも適用される。今春にも決まる耐震規制の見直しでは、川内や玄海(佐賀県)で地震想定が引き上げられ、追加工事が必要になる見込み。電力各社は規制委に十分な猶予期間を求めている。九電幹部は「安全性の向上は当然だが、どこまで必要かは慎重に議論して決めるべきだ。無理なものは無理と訴えるしかない」と警戒する。(福地慶太郎

「余命」を削られる老朽原発

バックフィットによる「強制停止」は原発の収益性を揺るがす。特に、残り少ない運転期間を削られる老朽原発は影響が深刻だ。

福島の事故後、原発の運転期間…

 

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