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卸電力市場の取引を爆発的に増やす

2018年3月23日

 電力全面自由化からちょうど2年が経過した。新電力は480社に増え、主要な電力調達先である卸電力取引所の重みが増している。一方、夏冬の価格高騰など、市場の恐ろしさを知った新電力も多いだろう。市場の課題と今後の展望を、市場監視のトップである八田達夫 電力・ガス取引監視等委員会委員長に聞いた。(聞き手は中西清隆=日経エネルギーNext)

八田達夫 電力・ガス取引監視等委員会委員長(撮影:尾関裕士)

――電力全面自由化から2年が経とうとしている。自由化の進展具合をどう見ているか。

八田 2016年に新たに自由化された低圧分野では、件数ベースでスイッチング率が13.6%に達した。このうち、大手電力の自由化メニューへの切り替えを除いた、新電力への移行が8.2%を占めている。

自由化で先行していた欧州でも自由化以降に参入した新規参入組へのスイッチング率は現時点で英国が8%、フランスが10%程度。つまり、日本は2年という短い期間で現在の英仏に匹敵する水準に到達したわけで、新電力への切り替えという点ではずいぶん進んだと評価していいのではないか。

卸分野もスポット市場(日本卸電力取引所)の取引量は、全面自由化前に販売電力量の2%程度だったものが、8%まで高まった(2017年12月時点)。足元ではおそらく10%近くになっているのではないか。市場取引も急速に伸びた。

全体的には順調に推移してきたと言っていいと思う。ただ、まだまだ課題が多いのは事実だし、現状で十分などとはとても言えない。2年間の総括としてはそういうところだ。

監視が市場を成長させた

――電力・ガス取引監視等委員会が果たした役割についてはどう評価しているか。

八田 スポット市場の取引が大きくなったのは、(大手電力に)玉出しを促すべく日々、監視してきたから。我々は時々刻々の取引を見ている。個別事業者ごとに売買を逐一、チェックしている。こうしたシステムや仕組みは全面自由化以前にはなかったもので、これを実現したことが大きい。

事業者の監督ということでは、2016年度は業務改善勧告を2件、17年度は1件出した。

実は勧告のように大掛かりなものだけではなく、日常的に注意や警告は頻繁に発している。文書指導は16年度は9件、17年度は12件に上った。

市場活性化の点では、実同時同量から計画値同時同量に切り替わったことも大きかったと思う。発電事業者は計画値さえ守れば、需要の変動を最後まで追う必要がなくなり、余裕があれば電力を市場に売りやすくなった。

ここまでの卸電力市場の成長という点では、監視と計画値同時同量の2点が大きな要因と見ている。

――取引量が増えた一方で、市場価格についてはどう見ているか。今冬は昨年11月から2月にかけて西日本が高騰し、1月以降は東日本でも跳ね上がった。

八田 今冬、高値が多かったのは、根本的には天候の問題が大きかったと見ている。何十年ぶりという寒気が電力需要を押し上げた。

3月以降は東西ともに価格は落ち着いている。気温が低い日に電力価格が上昇したのは、ある意味、市場の価格機能が機能した結果と見ることもできる。

インバランス料金が需給実態を反映していない

――多くの新電力が大きな打撃を被った。

八田 今冬の価格高騰の原因は何かと聞かれたら天候だというのが答えだが、ベースとしてこれでいいのか、天候が原因だとしても、もっと価格水準は抑えられたのではないかと聞かれれば、それはその通りだと思う。私も今の市場が完璧だとは考えていないし、価格形成に問題がないとは思わない。むしろ、課題は山ほどあるという認識だ。

大きなものとして2つ挙げられるのではないか。

1つは、インバランス料金が実需給断面の電気の価値を反映していないことだ。卸電力市場の価格は、インバランス料金との裁定で決まる性格を持つ。その意味で、インバランス料金が需給実態を反映したものであることが本来の姿だ。

具体的には、最終的な需給調整を行う調整力の限界費用が反映されるべき。だが、現行のインバランス料金精算制度は過渡的に設計されたもので、本来の形になっていない。

インバランス料金に実需給断面の電気の価値がきちんと反映されるようになれば、電力が本当に不足しているときにはインバランス料金が切り上がり、市場価格も高騰するが、全体ではもっと落ち着いた価格形成になるのではないか。

そうした仕組みは、市場機能を使って調整力の価格を決める需給調整市場の創設を待ってつくることになっている。その意味で、2020年に立ち上げる需給調整市場は非常に重要だ。そして、需給調整市場の価格を反映させたインバランス料金精算制度をどう設計するかだ。小売電気事業者や発電事業者が最終段階の調整を行う時間前市場の活性化も絡んでくる。

これらの制度設計は、資源エネルギー庁や電力広域的運営推進機関と連携して取り組むことになる。大事なテーマだと認識している。

――卸電力市場の問題は制度の不完全性が一番大きな問題なのか。

八田 もちろん、事業者に市場支配力を行使させないことが重要だ。この点は、繰り返しになるが、全面自由化前にはなかった改善勧告や改善命令などの監視制度や、取引実態を細部までチェックできる仕組みの導入や運用で、事業者側も見られていることを前提に行動するようになっている。監視精度をもっと上げるなどの課題はあると思うが、我々もここは粛々とやっていく。

もう1つ、卸電力市場の問題として提起したいのが、将来の特定期間の受け渡しを取引する先渡市場が弱すぎることだ。

スポット市場が当日の需給実態を反映するようになっても、高騰するときは高騰する。もともとボラティリティ(変動)は大きいのがスポット市場だ。

そうした日々の価格変動リスクをヘッジする方法は2つしかない。常時バックアップを含む相対取引か、先渡や先物といった将来の価格を固定する市場取引だ。

先物市場の創設は現在議論が進んでいる最中だが、先渡市場は既に存在しているにもかかわらず取引量が総電力需要の0.002%しかない(2017年10月時点)。スポット市場の1000分の1にも満たないというのが実態だ。

市場分断リスクを抑える

――先渡市場の活性化は、昨年10月や今年1月の有識者会議(監視委員会の制度設計専門会合)でもテーマに挙がった。これまで、なぜ使われてこなかったのだろう。

八田 現時点では市場分断リスクが大きな障壁になっている可能性がある。

スポット市場の取引量が増えるに連れ、スポットの価格変動リスクを深刻に受け止める事業者は売り手、買い手ともに増えていると思う。先渡市場への潜在ニーズは高まっていると見ている。

一方で、周波数が異なる東日本と西日本間は市場分断が常態化している。北海道・本州間も多い。エリアをまたいだ取引が増えている現れだが、全面自由化後にこれほど頻繁に市場分断が発生する事態は誰も想定していなかっただろう。

*編集部注:先渡市場で約定した電力はスポット市場を経由して受け渡しがなされ、約定価格とシステム価格(全国価格)との差額を精算する。エリアをまたいだ受け渡しの場合、連系線制約から市場分断が起きると、売り手と買い手で異なるエリアプライスでの精算が追加され、両者の約定価格に差が生じる(価格を固定できない)。現行制度では市場分断時の価格をヘッジできないため、事業者が損失を被るリスクがある。

そこで、監視委員会としては活性化策の第一弾として、先渡市場の単位をいくつかに分ける案を検討していきたい。現在は全国で1市場だが、市場範囲を「東日本」と「西日本」の2つに分ける。あるいは「北海道」も分けて3市場とする案もあり得る。

売買入札をそれぞれの市場範囲内で実施し、それぞれのエリアプライスを基準に精算する。市場分断のリスクを最小限に抑える考え方だ。詳細については今後、有識者会議で詰めてもらう。

――市場はどう変わるか。

八田 欧州などの先行事例からは、先渡市場というヘッジ手段が発達すれば、スポット取引も大きく増えるという循環が生まれてくる。それまでの相対取引が先渡市場にシフトするインセンティブも出てくる。

先に触れた需給調整市場やインバランス料金精算制度がきちんと設計されることと合わせて、先渡市場も使いやすくなれば、市場取引は爆発的に増えていきますよ。逆に言えば、先渡市場が十分発達していない中、スポット市場だけでここまで成長したのが不思議なくらいだ。大手電力にも安心できる価格で固定できるなら、先渡市場に売りたいというニーズは出てくるだろう。

先渡市場活性化の意義は限りなく大きいと考えている。

 

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