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人工知能と経済の未来 2030年~来るべき雇用大崩壊時代を読む(前)

2018年10月9日

駒澤大学経済学部准教授 井上 智洋 氏

 将棋や囲碁のトップ棋士を下すなどして、驚異の能力を世界中に見せつけている人工知能(AI)。開発競争の激化にともなって、性能向上のスピードも加速しているが、人工知能が実際に社会にどのような影響を与えるのかについては、まだわからない部分が多い。人工知能は人類を幸せにするのか、それとも仕事を奪うのか―「人工知能×経済」分野のトップランナーである井上智洋・駒澤大学経済学部准教授が、5月に福岡市で行った講演をまとめた。

日常にあふれている人工知能

▲質問に答える井上智洋氏

今日は人工知能と経済の未来というテーマで、お話をさせていただきます。まずは、人工知能(AI)とは何かという話から始めます。AIというのは、研究者によってその定義はさまざまですが、私は「ITのなかでも比較的賢いものがAIである」というぐらいに広く捉えています。

我々の身の回りにはいろいろなAIが使われていますが、一般の方にとって一番身近なのは音声操作アプリ「Siri」だと思います。最先端のものでは自動運転車にも人工知能が使われていて、これは運転手の代わりにAIが自動車を制御するというものです。2017年7月、トヨタが20年代前半には自動運転車を市場に投入すると発表しましたので、20年代の初めごろから完全自動運転の車が徐々に日本でも普及していくだろうと思っています。

AIは、芸術の分野にも進出してきました。たとえば、音楽の分野では、昔から自動作曲が行われていました。最も有名なのは作曲プログラム「エミー(Emmy)」で、これも一種の人工知能だといえます。バッハやベートーベン、モーツァルトなど過去の偉大な作曲家の曲を大量に読み込ませて、そこからパターンを抽出、それに基づいて作曲します。人工知能は、かなりモノ真似がうまくなっていますが、AIがつくったオリジナルの曲が大ヒットしたということは起きていないので、優れた人間の作曲家にはまだ勝てません。原理上、優れた作曲家を乗り越えるのはかなり難しいと思っています。

宅配サービスに自動運転車

今の人工知能は「機械学習」といって、データをたくさん読み込ませると賢くなるタイプのAIです。機械学習を実現する技術の1つとしてディープラーニングがあります。何ができるかというと、たとえばGoogle翻訳は、ディープラーニングを搭載することによって、翻訳の精度が格段に上がったと言われています。それから、Siriが音声を聞き取る精度が高くなったのも、ディープラーニングを搭載しているためです。

私は人工知能が一番得意とするのは、画像認識ではないかと思います。画像認識を何に使っているかというと、皆さまがスマホのロックを解除するときに使っている指紋認証も画像認識の一種です。iPhone 10に至っては、顔認証でロックが解除できます。

ですから実は、我々の生活の至るところに人工知能が使われているのです。例を挙げていけば枚挙にいとまがありません。新しい実験も行われています。その1つが、ヤマト運輸とディー・エヌ・エー(DeNA)が協力して開発している自動運転車「ロボネコヤマト」による宅配サービスです。家の前にロボネコヤマトがやってくると、メールで通知が来ます。家の外に出てロボネコヤマトに暗証番号を入力して、宅配ボックスから自分で商品をとって蓋を閉めると、自動運転車が次の目的地に向かうという仕組みです。私は、ドローンによる宅配サービスよりも、日本ではこちらのほうが実用的ではないかと思っています。

(つづく

 

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