ソーラー大量発電時代へ 九州電力、綱渡りの制御現場 科学記者の目 | (株)成功コンサルタント
HOMEに戻るコンサルタント料金についてコンサルタントまでの流れ会社案内代表プロフィール

ソーラー大量発電時代へ 九州電力、綱渡りの制御現場 科学記者の目

2017年12月26日

九州地方では太陽光発電が急速に普及、その一方で原子力発電所が運転を再開している。このため電力の供給が需要を上回り安定した送電網の運用が困難になることが予想される。九州電力は需給バランスが危ういと見込まれた場合に太陽光発電事業者に送電を止めてもらう「出力抑制」の準備を進める。再生可能エネルギーの大量導入時代の入り口で対応を迫られる電力の現場をのぞいた。

■昼間の電気を大型蓄電池や揚水発電所に

ナトリウム硫黄(NAS)電池を入れたコンテナが並ぶ豊前蓄電変電所(福岡県豊前市)

ナトリウム硫黄(NAS)電池を入れたコンテナが並ぶ豊前蓄電変電所(福岡県豊前市)

「ゴォン」。重く低く響く音とともに装置が動き始めた。九州電力の豊前発電所(石油火力、福岡県豊前市)の敷地内にある豊前蓄電池変電所。サッカー場2面分ほど(14000平方メートル)の広さに大型コンテナが2段積みになって252台並ぶ。中身はナトリウム硫黄(NAS)電池。円筒状の単電池を192本パッケージにしたモジュールがひとつのコンテナに6台収められている。

取材に訪れた時間は午後4時半ごろ。夕暮れとともに昼間に充電してきた電気を放電に切り替えた瞬間だった。放電時に電池は発熱するため冷却用のファンなどが一斉に動き始めたのだ。

新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助金をもとに九州電力が建てた。設備(豊前蓄電池変電所)全体で30万キロワット時の電力をためることができる。最大出力5万キロワットで6時間の供給が可能だ。建設費は200億円。2016年2月から順次運転を始め「運用しながら最適な使い方を探っている」と石井清・九州電力送配電カンパニー北九州送配電統括センター課長は話す。

天山揚水発電所の水をためる天山ダム(佐賀県唐津市)

天山揚水発電所の水をためる天山ダム(佐賀県唐津市)

佐賀県のほぼ中央部、筑紫山地の天山(標高1046メートル)の山裾にある天山揚水発電所(唐津市)。標高760メートルの天山ダムから導水トンネルで約560メートル下にある発電所に水を落として発電する。出力30万キロワットの発電機が2台ある。

電気が余っているときは、発電所下流にある国土交通省の厳木(きゅうらぎ)ダムから水をもらい天山ダムに水を揚げる。天山ダムは流れ込む川を持たない人工的な貯水池だ。満杯で300万立方メートルの水がためられ、放水によって最大出力60万キロワットで約6時間、電力を供給できる。標準的な家庭20万軒分に相当するという。ここでも、ためるのは昼間で夜に電力を供給する。

揚水発電所はかつて、電気が余る夜に揚水し昼間に発電していた。それが「百八十度変わった」と川端一伸・佐賀水力事業所長は言う。活躍する季節もかつては電力が不足しがちな夏場だったが、今は「軽負荷期」と呼ばれる春、秋の天候がよく電力需要が少ない時期だ。九州電力では天山のほか熊本県八代市の大平(最大出力50万キロワット)、宮崎県木城町の小丸川(同120万キロワット)の2つの揚水発電所でも同様の運用をし始めている。

■増える太陽光の発電量 需給バランスの調整も限界に

電気が流れるパターンを変えたのは、急速に普及が進んだ太陽光発電だ。九州では9月末時点で752万キロワットの太陽光発電(離島を除く)が送電網に接続されている。接続がすでに決まっている設備も439万キロワットある。需要の少ない時期の昼間だと、太陽光発電だけで短時間なら全需要を賄える大きさに相当する。

例えば11月5日の日曜日の午後1時ごろ、約800万キロワットの需要に対し太陽光が549万キロワット(需要の69%)を供給する状態になった。九州電力は火力発電所の出力を絞り揚水発電所では電気を使って水をため、供給量が需要を上回らないように調整した。

「その日の調整力の余裕は80万キロワット程度まで縮まっていた。このまま太陽光の発電能力が増えていくと、需要が少なく好天に恵まれる春の連休、あるいは条件が整えばこの年末年始にも需給のバランスが崩れる事態がありうる」と和仁寛・九電送配電カンパニー系統運用部長は話す。

接続契約済みの太陽光発電が毎月約7万キロワットずつ付け加わる見通しだという。加えて玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町、同118万キロワット)がそれぞれ来年3月、5月に再稼働する予定だ。川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市、ともに出力89万キロワット)はすでに運転している。

火力や揚水による調整は限界に近づいているのが現状だ。火力は完全に止めてしまうと再立ち上げに時間がかかるため太陽光の急な出力変動や、夕方の需要増加に対応するのは難しい。出力を絞っても運転は続ける必要がある。揚水も雨などですでにダム水位が高くフルに揚水できないこともある。

関門海峡を通る送電線(連系線)を使って中国電力などへこれまでよりたくさんの電気を送ることも想定している。

■太陽光の発電抑制で調整へ 福岡市に運用システム

ただそうした対策では足りない場合を想定し、九電は一部の太陽光発電の送電を止めてもらう考えだ。太陽光の出力抑制はすでに種子島など離島では実施してきたが、九州本島では初めてになる。

気象予報などをもとに翌日の電力需給を予測する再生可能エネルギー運用システム(福岡市)

気象予報などをもとに翌日の電力需給を予測する再生可能エネルギー運用システム(福岡市)

送電網全体をコントロールする中央給電指令所(福岡市)に太陽光を含む再生可能エネルギーの出力抑制のための特別な運用システムを導入した。気象予測などをもとに太陽光などの発電量を事前に予測し、太陽光発電事業者にメールや電話で翌日の発電を抑制するよう求める。指令所からオンラインで制御できる設備もあるが、遠隔制御の設備をもたない事業者もいるからだ。

確実に抑制できるよう訓練も繰り返している。9月の平日、11月、12月の休日にこれまで5回、出力抑制の指示連絡の訓練を行ったが、訓練用の模擬指令の受信を確認できたのは平日では97%、休日では92%にとどまった。

再エネの固定価格買い取り制度(FIT)で太陽光発電事業者は発電すればするほど利益が上がる。発電を止めたい事業者はいないだろう。送電網の安定運用のため止めてもらうには「公平さが大事だ」と中央給電指令所の中村浩幸・再エネ運用グループ長は話す。

「ある業者が1回しか抑制を受けていないときに3回目になる事業者があってはいけない」。九州電力が導入したシステムは、抑制が必要な日と必要量を予測するだけでなく、抑制に伴う負担が事業者間で公平になるように配分することも目指す。その点からは、連絡が行き届かない事業者がいるのはシステムの信頼性を揺るがす課題だ。訓練結果を受けて、九州電力は事業者の携帯電話にも指令が届くようにするなど連絡態勢の徹底をはかる方針だ。

太陽光発電事業者はどうみているか。「出力抑制はやむを得ないかもしれないが、本当に抑制する必要があったのか。抑制量は妥当だったのかを検証する必要がある」と太陽光発電協会の増川武昭事務局長は話す。抑制の検証は電力広域的運営推進機関(OCCTO)が事後的に行うことになっているが、同機関だけでなく関連する事業者が検証し納得できるものでなければいけない。

また増川氏は「九州電力は関門海峡の連系線の運用見直しで抑制を大きく避けることができるとしているが、ぜひ実現してほしい」とも話す。

<取材を終えて> 周波数の乱れ招く発電の急変動 再エネ普及の課題

なぜ出力抑制が必要か。こんな例えを考えてみた。重い鉄のバーベルの重りのようなものを回す作業をしていたとする。一定した速度で回し続けるにはいつも同じ程度の力を加えていればよい。しかし重荷が突然減らされると、回転が速くなってしまう。回転数を一定に保つには力を調整しなくてはならない。

火力発電所からみた場合、太陽光発電からの送電が増えると需要(負荷)が減ったようにみえる。出力を調整しないと回転数(電気の周波数)が乱れる。周波数の乱れは電気で動くモーターや時計などに悪い影響を与えてしまう。乱れが一定限度を超えると発電所を止めなくてはいけない事態になる。このため電力会社は常時、発電機の出力を調整しそうした事態が起きないようにしている。

この周波数の問題は、送電線の容量問題と並んで、再生可能エネルギーの大量導入を実現する上での大きな技術的課題だ。上手にクリアしなければ大量導入は実現しない。またこの問題の未解決を理由に再生エネ導入に歯止めをかけるのも望ましくない。

資源エネルギー庁や電力広域的運営推進機関は、既存の送電網を最大限利用しつつ再生エネなど新規電源を取り込んでいく「日本版コネクト・アンド・マネージ」と呼ぶ考え方を打ち出し、送電網の運用ルールなどを見直していく計画だ。揚水発電の運用を変え太陽光発電を抑制する九州電力のケースは「コネクト・アンド・マネージ」の段階にはまだ達していないが、その先駆けになる試みといえそうだ。

2014年9月、九州電力は太陽光発電などの新規接続契約の「留保」を発表した。同年3月末までにFITに基づき申し込まれた接続希望量が大きすぎるというのが理由だったが、突然の発表は太陽光発電事業者らを困惑させ、再エネ導入の機運に水を差した。東北電力など他電力も追随した。いわゆる「九電ショック」である。

その後FIT法が改正され、新たに接続を申し込んだ太陽光発電事業者は需給バランスを維持するため「出力抑制はありうる」との前提で参入してきている。「寝耳に水」の事態はないはずだ。しかし原発が再稼働する一方での太陽光の出力抑制となれば、原発と再生エネの二項対立が頭をもたげる。これが第2の「九電ショック」とならない配慮が必要だろう。

 

記事内容へ

 


 

 

 

 

 

 

 

成功コンサルタントは九州エリア(福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・大分県・鹿児島県・宮崎県)対応

太陽光発電、オール電化、蓄電池の訪問販売ビジネス専門コンサルティング。株式会社 成功コンサルタント

成功に向けてのお問合せは、0120-946-581.営業時間10時~19時 ※日曜除く メールお問合せ

HOMEに戻るコンサルタント料金についてコンサルタントまでの流れ会社案内代表プロフィール

 

 

業界最新ニュース!
太陽光発電・蓄電池・オール電化などの新着情報をお届けします。

 

⇒ 全て見る

 

 

ページのトップへ戻る