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「台風」と「電力」〜長期停電から考える電力のレジリエンス

2020年1月24日

2019年9月に上陸した台風15号、および10月に上陸した台風19号は、各地にさまざまな被害をもたらしました。とりわけ台風15号によって起こった停電は長期間におよび、日常生活や経済活動に大きな影響を与えました。今回の経験を今後の対策に生かすため、経済産業省の「電力レジリエンスワーキンググループ」は、「台風15号の停電復旧対応等に係る検証結果取りまとめ」を発表しました。報告をもとに、長期停電の原因や、実施できる対策とはどのようなものか見ていきましょう。

台風15号による停電が長期化したのはなぜ?

台風15号の接近・通過にともない、伊豆諸島や関東地方南部を中心に猛烈な風、猛烈な雨となりました。特に、千葉市では最大風速35.9m/s(メートル毎秒)、最大瞬間風速57.5m/sを観測するなど、多くの地点で観測史上1位の最大風速や最大瞬間風速を観測する記録的な暴風となりました。

停電被害は最大約93万戸で、2018年に近畿地方をおそった台風21号の際の停電被害(最大約240万戸)には戸数ではおよばないものの、千葉県を中心に停電が長期化しました。おおむね停電の復旧(停電件数がピーク時と比較して99%解消)にかかった時間は約280時間で、近年の停電被害のなかでは突出しています。

また台風19号については、停電被害は台風15号と比べると小さかったものの、静岡県や関東甲信地方、東北地方を中心に記録的な大雨が発生し、電気設備などが浸水した地域では停電が長期化しました。

2018年9月の台風21号と台風24号、2019年9月の台風15号、同年10月の台風19号の停電戸数と解消までの時間をグラフで比べています。最も停電戸数が多かったのは台風21号で、次に台風24号、台風15号と続き台風19号はこの中では最も停電戸数が少なくなっています。

これまでの台風被害における停電戸数の推移

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台風15号の停電が長期化した原因はいくつかあります。まず、記録的な暴風にともなう倒木や飛来物によって電柱の破損や倒壊が起こり、それによる断線がとても多かったことです。2018年の台風21号は、最大停電件数で見れば今回の被害を上回っていましたが、破損や倒壊した電柱は1,343本でした。その一方、台風15号では1,996本と約1.5倍になっています。

電柱の折損・倒壊や傾斜が起こった場所を地図上で示しています。被害は太平洋側の広範囲にわたりますが、中でも千葉県に被害が集中しています。

電柱の被害発生状況

(提供)東京電力パワーグリッド株式会社

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倒木は電柱破損の原因となっただけでなく交通の妨げともなり、倒木で立ち入りが困難な地域の被害確認や復旧作業には時間がかかることとなりました。

写真

実際の被害の写真。なぎ倒された電柱(左)、電柱にかぶさる倒壊した家屋(右)

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立ち入りが困難な地域では巡視を十分におこなうことができず、そのため復旧見通しの公表が遅れることとなりました。また、情報が不足していたことから、当初は過去の台風被害に照らし合わせて復旧見通しを作成しましたが、予想以上の被害状況が明らかになるにつれて、たびたび訂正されるなどの事態も発生しました。さらに、電力会社の発表では停電が解消しているエリアとなっているものの、個別の地域や住居などを詳細に見ていくと停電が解消されていないところがあるという点については、いわゆる「隠れ停電」として報道されました。

浮き彫りになった課題にどう対応するか

「電力レジリエンスワーキンググループ」は、2018年に発生した多くの自然災害により電力供給に大きな被害が出たことを受け、電力インフラのレジリエンス(強靭性)を高めることを目指し、設置されたものです。詳しく知りたい

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 より強い電力インフラ・システムをつくるために~災害を教訓に進化する電力供給の姿

このワーキンググループの報告書「台風15号の停電復旧対応等に係る検証結果取りまとめ」では、台風15号などでの経験をもとに、課題を整理し、安定的な電力供給や早期の停電復旧に必要な対策がまとめられています。主なものをご紹介しましょう。

被害状況をすみやかに把握・共有・発信する:ドローンやスマートメーターも活用

災害復旧の第一歩は、すみやかに正確な被害状況を把握することです。

そこで期待されるのが、カメラを搭載したドローンやヘリコプターの活用です。被害が広域にわたる場合には、衛星画像などのデータやAIも活用して、早期に精度の高い見通しを立てる工夫も考えられます。また、内閣府が中心となって構築している「防災情報共有プラットフォーム」に、停電復旧見通しに関するデータを連結することで、関係者間のスムーズな情報共有をおこなうことも求められます。こうした取り組みにより、さらに精度の高い復旧見通しを算出し、情報の共有・発信ができる体制を整えていきます。

衛星画像をAIで解析するしくみと、共通情報システムのしくみを図解しています。

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一方、いわゆる「隠れ停電」が発生する原因は、現在の電力会社の停電情報システムにあります。現在のシステムでは、高圧線の復旧作業が完了すると「停電解消」と表示されます。もし、高圧線から個別の需要家(電力の消費者)をつなぐ低圧線や引込線が損傷して停電していたとしても、現在のシステムでは認識できないのです。

「隠れ停電」が発生するしくみを図解しています

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この問題の解決策のひとつには、普及が進むスマートメーターの活用があります。スマートメーターの電力使用情報によって、停電している可能性のある場所をしぼり込むことができるからです。詳しく知りたい

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 2019年、実績が見えてきた電力分野のデジタル化③~電力データ編

そこで、スマートメーターの導入をより一層進めるとともに、スマートメーターから得られる個人情報を含むデータについての活用方法を考えていく必要があります。「電気事業法」では、こうしたデータについて「情報の目的外利用の禁止」が定められていますが、そこに例外を設けることで、災害時に電力データを活用し、地方自治体や自衛隊などに提供する制度を整備していきます。

さまざまな関係先との連携を強化する:復旧作業や倒木対応などをスムーズに

災害の復旧を効率的におこなうには、関係機関との連携をスムーズにする必要があります。台風15号では、連携不足により、全国の電力会社から派遣された電源車の稼働率が当初低かったということが課題となりました。また、電力会社によって復旧手順が異なることも復旧の壁となりました。

そこで、連携をスムーズにおこなうことができるよう、事前に災害時の連携計画を作成したり、復旧手順の統一化を進めたりするしくみづくりを進めていきます。復旧手順の統一化は、災害現場におもむく作業員の安全確保、適切な作業環境の確保という観点からも重要なことです。

特に、復旧の大きな壁となった倒木の問題は、電力会社だけで対応できるものではありません。復旧作業をになう自衛隊や建設業者、道路管理者である地方自治体、道路周辺の山林の所有者など、多くの関係者が存在します。そこで、これらの関係先とふだんから連携を深めることが検討されています。これにより、災害時の倒木処理だけでなく、平時の事前伐採などの対策も立てやすくなります。

和歌山県と関西電力の協定内容を、停電のケースごとに「従来の考え方」と「協定による連携」で比較しています。

和歌山県と関西電力の災害時における停電復旧作業の連携などに関する協定

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政府としても、「電気事業法」で定められた「所有者不明などの理由で承諾が得られなくても伐採が可能なケース」について、災害時を想定して適用可能なケースを明確化し、手続きも簡素化できるよう運用を見直していきます。

電力ネットワークのレジリエンス強化:鉄塔・電柱の基準見直しや無電柱化の推進

現在の鉄塔・電柱は風速40m/sの風圧荷重にも耐えられるように設計されていましたが、今回の台風15号で倒壊した鉄塔は、特殊な地形に突風が吹いたことで、設計強度をおおきく上回る荷重が発生し、倒壊したと考えられています。そこで今後は、こうした特殊な場所を設計の段階で考慮し、また風速についても「40m/s」という基準は維持しつつ、地域の実情を踏まえた「地域風速」を適用するなどの対策が考えられています。

また、電柱の被害は、倒木や建物の倒壊に巻き込まれたり、物が飛んできたことで引き起こされた二次被害が多くを占めます。

中間整理の中で、鉄塔についてどのような対応をするか方向性をまとめたものです。

中間整理における対応の方向性

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中間整理の中で、電柱についてどのような対応をするか方向性をまとめたものです。

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これら二次被害への対策として、電線を地中に埋める「無電柱化」が有効な手段のひとつとして考えられます。ただし、敷設コストが高く、工期が長いなどの課題があることから、課題解決に向けた取り組みを進めつつ、無電柱化を推進していく必要があります。

地中設備と地上設備の建設コストの差を表であらわしています。

地中設備と地上設備の建設コスト比較

電柱が折損した場合と地上機器が損壊した場合の、復旧までの作業内容と時間のイメージを図であらわしています。

電柱と地上機器における設備単体での復旧時間(イメージ)

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災害は日常的に起こるものと考え、関係者それぞれが準備し、改善を続ける

このほかにも、復旧までの代替電力となる電源車の燃料を平時から確保する取り組み、太陽光発電などの再生可能エネルギーをはじめとした電源「分散型電源」(発電施設が中央集約ではなく、あちこちに分散していること)の促進などが提言されています。さまざまな課題と対策は、今後それぞれの専門的な会議などで検討を重ね、進められていく計画です。

報告書は、「数十年に一度」と言われる規模の災害が近年立て続けに起こっており、もはや災害は日常的に発生するものとして備えることが当然のものとなりつつあると述べています。こうした時代には、電力会社や政府、地方自治体などさまざまな組織、そして国民ひとりひとりが、それぞれにできる対策をうち、おたがいに助けあうこと、そして、常に対策を改善し続けていくこと―――つまり、「自助」「共助」「公助」の組みあわせが求められているのです。

 

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